多くの日系企業が医療保険などの福利厚生をカバー、2019年度米国進出日系企業実態調査

(米国)

米州課

2020年02月07日

ジェトロは2月6日に発表した「2019年度米国進出日系企業実態調査」において、今回調査で初めて聞いた、在米日系企業による福利厚生の提供状況や賃金額の調査結果を公表した。これによると、多くの企業が、「医療保険」(96.2%)、「歯科保険」(88.6%)、「401kプラン(確定拠出型年金)」(79.8%)などをカバーしている(添付資料図1参照)。また、2019年の職種別賃金(基本給・月額)の中央値は3,000~6,683ドルだった(添付資料図2参照)。昇給率は2019年度全職種平均(中央値)で3.0%となった。2020年度の昇給率も3.0%が見込まれている。なお、本調査の対象は製造業企業。

コスト上昇要因は労働者の確保や賃金などが引き続き課題

コスト上昇につながる経営上の課題を聞いたところ、「労働者の確保」が68.8%で前年(69.0%)に続き筆頭要因となり、「賃金(給与・賞与)」が64.6%(65.6%)、「労働者の定着率」が49.8%(46.3%)と続いた(添付資料図3参照)。米国で失業率が50年ぶりの低水準(2019年12月:3.5%)を維持する中、日系企業にとっても人材の確保が大きな課題となっている。こうした課題への対応策を聞いたところ、「人件費以外の経費削減」(49.0%)、「社内コミュニケーションの活発化」(42.5%)、「労働環境の改善(福利厚生の改善など)(38.7%)、「賃金の引き上げ」(37.7%)などが上位に挙がった。人件費以外のコストを削減する一方で、福利厚生や賃金の引き上げや社員との意思疎通の改善などにより、人材の確保に努めている様子が浮き彫りになった。

ビザ取得は、35%が「難しくなっている」と回答

米国で外国人就労ビザ審査の厳格化の動きが見られる中、実際のビザ取得状況を聞いたところ、トランプ政権発足(2017年1月)以前と比べて「変化はない」(64.8%)との声が最も多かったが、「やや難しくなっている」は26.0%、「非常に難しくなっている」は9.1%となり、35.1%の企業が難しくなったと感じている。最も取得が難しくなっているビザは「L-1ビザ(企業内転勤者用ビザ)」(41.4%)で、「E-2ビザ(投資駐在員用ビザ)」(35.0%)が続いた(添付資料図4参照)。

営業利益の見込みについては、2020年2月6日記事参照。調査結果の概要はジェトロの「2019年度米国進出日系企業実態調査」(2020年2月)参照。

(野口真緒)

(米国)

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