デジタルペイメント比率が2018年時点で20%、2020年には30%へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月13日

国連資本開発基金(UNCDF)が2012年に設立し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、シティ財団、フォード財団、アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)などが資金を拠出する官民パートナーシップ「ベター・ザン・キャッシュ・アライアンス(Better Than Cash Alliance)」は12月2日、フィリピンにおけるデジタルペイメントの実態に関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、2018年時点でフィリピン国内の取引額の20%、取引件数の10%はデジタルペイメントによるものだったとした。

ベター・ザン・キャッシュ・アライアンスは報告書の中で、2013年時点で取引額の8%、取引件数の1%にしかすぎなかったデジタルペイメントの比率が、2018年時点でそれぞれ20%(243億9,000万ドル)、10%(4億9,000万回)と大幅に拡大したとした。

個人、ビジネス、政府の3要素で分析すると、特に個人のデジタルペイメントの利用比率がこの5年間で大幅に拡大したとされ、2013年時点で取引額の5%、取引件数の0.3%だった個人のデジタルペイメントの利用比率は、2018年にはそれぞれ25%(70億1,000万ドル)、12%(4億1,000万回)に拡大した(表1、2参照)。

表1 フィリピンにおけるデジタルペイメント比率(取引額)
表2 フィリピンにおけるデジタルペイメント比率(取引件数)

フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は、ベター・ザン・キャッシュ・アライアンスの調査結果について、政府が一丸となって取り組むキャッシュレス化に向けた各種政策が実を結んでいるとし、今後も金融包摂(注)のための取り組みを進めるとした。

BSPは11月20日、2020年までに国内の決済額に占める電子決済額の比率を20%とする従来の目標を、30%に引き上げると発表(2019年12月2日記事参照)。米国のグーグルとシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは10月、フィリピンで現在、GDPの2.1%(70億ドル)を占めるインターネット経済の比率が、2025年までに5.3%(260億ドル)となると予測した(2019年10月15日記事参照)。

世界銀行のデービッド・マルパス総裁は10月、フィリピン財務省のカルロス・ドミンゲス長官と米国ワシントンで会談した際、フィリピン政府が進める国民IDの発行とそれを利用した貧困対策プログラムを評価するとし、デジタル通貨やデジタル送金といった新しいテクノロジーを活用して金融包摂の取り組みを進めれば、フィリピン経済はさらに安定した成長が期待できると説明した(2019年11月11日記事参照)。

(注)国民全員が、基本的な金融サービスを受けられること。ファイナンシャル・インクルージョン。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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