2020年までに電子決済比率30%へ、中銀が目標を上方修正

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月02日

フィリピン中央銀行(BSP)は11月20日、2020年までに国内の決済額に占める電子決済額の比率を20%とする従来の目標を30%に引き上げると発表した。

BSPのベンジャミン・ディオクノ総裁は、政府が進める国民IDの導入や、国内2社が寡占していた国内通信事業への第3通信事業者の参入により、決済のデジタル化や通信速度の高速化が図られ、2020年までに30%の電子決済比率は達成し得るとした。

BSPは、オンラインでの決済システムの許認可を進めており、ここ数カ月だけで22の事業者の電子決済システム事業への参入を許可している。フィリピンにおいて電子決済システム事業を行う事業者は事前にBSPへの許認可申請が求められている。

フィリピン政府は、公的医療保険のPhilHealth、持ち家促進相互基金のPag-IBIG、年金保険のSSSをはじめ、政府の各種支払い手続きのオンラインシステムであるEGov Payの普及を進めており、2023年までには全ての公的機関において支払いのオンライン化を達成するとしている。政府の徴税主管庁である内国歳入庁(BIR)は2019年8月に既にEGov Payを導入しており、まもなく貿易産業省(DTI)、フィリピン国家警察(PNP)、そしてマニラ首都圏の各都市の役所においてもEGov Payが導入される。

米国のグーグルとシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは10月、フィリピンで現在、GDPの2.1%(70億ドル)を占めるインターネット経済の比率が、2025年までに5.3%(260億ドル)となると予測した。また、フィリピンの電子商取引(EC)の市場規模は、2015年時点の5億ドルから2019年時点の30億ドルに、年平均成長率(CAGR)47%のペースで伸びた。2025年には120億ドルの市場規模に拡大し、2015年からのCAGRは36%と見込んでいる。

電子決済サービス国内大手のペイマヤ・フィリピンズは、2023年までに年間決済額が現在の5倍以上の1兆ペソ(約2兆1,000億円、1ペソ=約2.1円)となり、ユーザー数は4,000万人に達する見込みだと発表している(2019年10月9日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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