インフレ率が再び上昇、9月の月間インフレ率は5.9%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年11月11日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は10月16日、9月の月間インフレ率(CPI上昇率)は5.9%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます) した。月間インフレ率は3月以降、落ち着きをみせ、7月には2.2%まで低下していた。しかし、8月11日に行われた大統領選挙の予備選挙でマウリシオ・マクリ大統領が予想外の大敗を喫したことから、各種経済指標が悪化した。8月のインフレ率は4.0%に上昇し、9月はさらにこれを上回る結果となった(図参照)。INDECによると、年率(過去12カ月の累積)では、53.5%となった。

図 インフレ率の推移

月間インフレ率を項目別にみると、最も高い上昇率を記録したのは衣類・靴類(9.5%)で、次いで医療・健康(8.3%)、その他の財およびサービス(8.2%)、娯楽・文化(7.6%)、家財道具・住宅管理(7.4%)、通信(6.7%)と続く(表参照)。一方、教育(1.0%)や住宅・光熱・その他燃料(2.0%)は前月に引き続き、比較的低いインフレ率を保っている。

表 2019年9月の産業別インフレ率

なお、今回の月間インフレ率は、6.5%となった2018年9月以来の高い数値となる。2018年9月の高インフレの原因は、同年8月に同じ新興国通貨のトルコ・リラが急落したこと、また政府がIMFと融資前倒しの協議に入ると発表したことにより政治・経済の先行き不透明感が高まった結果、為替レートが1ドル=約30ペソから約40ペソに急落したことにある(2018年10月22日記事参照)。今回も同様に、自国通貨の急落がインフレ率上昇の主たる要因だ。政府は予備選挙の直後に、基礎的商品の付加価値税(IVA)免除(2019年8月19日記事参照)や、燃料および公共料金の価格を凍結するなどの対策を講じたが、インフレに歯止めをかけることはできなかった。

ただし、中央銀行が10月2日に発表した民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計中央値(REM)では、10月の月間インフレ率は4.4%に落ち着くと予想されている(2019年10月7日記事参照)。同見通しでは、9月の月間インフレ率は5.8%と予想しており、今回の発表はおおむね予想されたとおりの結果となっている。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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