エコノミストによる最新の経済見通し、落ち着きを取り戻す

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月07日

アルゼンチン中央銀行は10月2日、国内外45人の民間エコノミストらによる最新の経済見通しの集計値(REM)を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。前回発表(9月3日)の経済見通しは、8月11日に行われた大統領選挙の予備選挙結果による経済指標の悪化を受け、数値が大きく変わったが、今回は大幅な変化はみられなかった(表参照)。

表 最新の主要経済指標の見通し(かっこは前回数値)

名目為替レート(対米ドル)は(中央値、以下同じ)、2019年末が65.0ペソ、2020年末が88.0ペソとなった。前回発表の見通しでは、2019年末の数値が50.0ペソから66.7ペソへと急激なペソ安が進むとされ、9月1日に資本規制策が導入されたことで、さらなる通貨下落は限定的と判断されたとみられる。

インフレ率は、2019年末が54.9%、2020年末が40.5%、2021年末が28.8%となった。今後は、2019年9月の月間インフレ率が5.8%、10月が4.4%となり、2020年3月までは3%台といった厳しい数値が続く見込みだ。

政策金利〔7日物中央銀行債(LELIQ)の利率〕では、2019年末が73.00%、2020年末が42.50%と予測されている。足元では、2019年10月末が79.00%、11月末が76.00%、12月末が73.00%と、新大統領が就任する12月までは高止まりが続く見通しだ。10月27日に実施される大統領選挙を目前に控え、選挙戦で優勢な、野党のアルベルト・フェルナンデス候補は高金利政策の是正を唱えており、中長期的な数値は、選挙結果によっては下がる可能性がある。

GDP成長率は、2019年がマイナス2.9%、2020年がマイナス1.5%、2021年は1.6%と予測されている。大統領選挙戦で、現職のマウリシオ・マクリ大統領が勝利しても、野党のフェルナンデス候補が勝利しても、2020年以降の経済見通しには特段の影響を与えないとみられている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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