ユーラシア経済連合、セルビアとFTA締結

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア、セルビア)

欧州ロシアCIS課

2019年11月07日

ユーラシア経済委員会(EEC)は10月25日、ユーラシア政府間評議会をロシア・モスクワで開催し、ユーラシア経済連合(EEU)とセルビアの自由貿易協定(FTA)に署名した。今後、EEU加盟国各国およびセルビアでの批准手続きを経て発効する。

EEUによるFTA締結はベトナム(2016年10月5日発効。2016年9月7日記事参照)、イラン(2019年10月27日発効。2019年11月1日記事参照)、シンガポール(2019年10月9日記事参照)に続き4カ国目。

署名式には、EEU加盟国の首相のほか、EEC評議会のチグラン・サルキシャン委員長、セルビアのアナ・ブルナビッチ首相が参加した。

今回の協定は、これまでにロシア(2006年6月発効)、ベラルーシ(2009年3月発効)、カザフスタン(2012年1月発効)と2国間で締結しているFTAを、他のEEU加盟国のアルメニア、キルギスにも拡大するもの。EEC評議会のチグラン・サルキシャン委員長は「FTA体制を全EEU加盟国に拡大することは、セルビアとの貿易経済関係の拡大に新しい刺激となる」と指摘した。

FTAの条文、除外品目、関税割当、原産地規則と原産地証明書様式などはEECのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。FTAの適用除外品目として、EEU側は鶏肉、プロセスチーズ、白砂糖、スパークリングワイン、エチルアルコール、葉巻たばこ、空気タイヤ(中古もしくは更生したもの)、綿織物、特殊織物、冷蔵設備用コンプレッサー、トラクター、大型乗用車、乗用車、トラックを挙げており、セルビア側は、白砂糖、エチルアルコール、葉巻たばこ、空気タイヤ(中古もしくは更生したもの)、トラクター、大型乗用車、乗用車、トラックとしている(ただし、セルビア側の除外品目は原産国によって適用が異なる)。自動車産業振興に力を入れるセルビアにとって、最大の関心事項の1つである、EEU市場への完成車輸出に対する特恵関税付与については見送られた。

EECのベロニカ・ニキシナ貿易担当相は、今回のFTA締結によってEEU加盟国からセルビアへの輸出拡大が見込まれる製品を国別に挙げ、a.アルメニアはハードリカー、たばこ、農産品・食品、b.キルギスは農産品・加工品、例えば、豆、ナッツ、蜂蜜など、c.ベラルーシはウオッカ、フルーツ、スピリタス、香油、リカー、d.カザフスタンはプロセスチーズ、ハードリカー、e.ロシアは遮断弁や家庭用蛇口など幅広い工業製品、と指摘した。

EECによると、今回のFTAでは、近年の世界の潮流に基づき、従来の2国間協定と比較し、保護措置の適用、紛争解決、原産地規則分野の内容を刷新し、加えて、輸入禁止・数量制限措置、技術規則・衛生植物検疫措置、国境通過手続きに伴う徴税、アンチダンピング措置・相殺措置・セーフガード措置、知財保護などの面で、グローバルスタンダードに基づく順守義務が盛り込まれたとしている。

(齋藤寛)

(ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、アルメニア、セルビア)

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