第5回東方経済フォーラムの成果、前回を上回る

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年09月20日

ロシアの大統領関連の国際会議主催機関であるロスコングレスは9月10日、ウラジオストクで9月4~6日に開催された第5回東方経済フォーラム(EEF)の結果を発表した。

今回のフォーラムでは、「経済成長の加速」「ビジネス環境整備」「アジア太平洋地域との協力」「生活の質向上」といった4つのテーマ(2019年7月24日記事参照)に関する100以上のパネルディスカッション、円卓会合、朝食会合などが行われ、ロ欧、ロ中、ロASEAN、ロ印、ロ韓、ロ日の間で6つのビジネス対話が実施されたほか、ロスネフチと日本の実業界との円卓会合も行われた。

フォーラムには、65カ国から8,500人以上が参加した(前年は60カ国6,002人)。国籍別の参加者数は、日本が最多の588人で、中国(395人)、韓国(285人)、インド(204人)、モンゴル(69人)、米国(65人)、シンガポール(58人)、ベトナム(55人)、英国(49人)、マレーシア(48人)と続き、このほか、欧州、中近東、中南米、アジア大洋州など世界各地からの参加者がみられた。日本、インド、モンゴル、マレーシアからは国家元首(2019年9月11日記事参照)が、ベトナム、北朝鮮、ルクセンブルク、韓国からは副首相級が出席した。

参加企業数は440社で、270件の合意文書が締結され、事業予定総額は3兆4,000億ルーブル(約5兆7,800億円、1ルーブル=約1.7円)となり、前年の調印文書220件、3兆1,080億ルーブルを上回った。事業規模100億ルーブル以上の主要案件は添付資料のとおり。多くの案件に極東投資誘致輸出促進エージェンシーが関与しており、今回のフォーラムで90以上の合意文書に署名した(極東・北極圏開省発表9月9日)。このほか、「アルクティクLNG2」プロジェクト(AL2P)の出資者によるAL2Pの最終投資決定の承認(2019年9月12日記事参照)や、ズベズダ造船所とサムスン重工によるAL2P向けのガス運搬船の設計および、4万2,000~12万トンのシャトルタンカーの建造プロジェクトを管理する合弁会社設立に関する契約締結などの大型案件がみられた。

EEF実行委員会事務局長のアントン・コビャコフ大統領顧問は「今回のフォーラムでは過去最多の人数が参加し、署名された事業予定案件総額も過去最高に達した。この記録は本フォーラムが国際協力の促進と世界レベル・地域レベルの経済問題を議論する重要なプラットフォームとなっている証しといえよう。本フォーラムはアジア太平洋地域におけるパートナーシップ醸成にも貢献している」と述べ、EEFは質の高いイベントだと強調した。

(齋藤寛)

(ロシア)

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