ペルー政府、日本との租税条約で実質合意

(ペルー)

リマ発

2019年09月09日

日本の外務省と財務省は、9月6日にペルー政府との間で、2018年5月から交渉が開始された両国間の租税条約が、実質合意に至ったことを発表した(外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます財務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますウェブサイト参照)。日本とペルーとの間では、今まで租税に関する情報交換を可能とする「税務行政執行共助条約」のみが締結されていたが、年々緊密化するペルーとの経済関係において、日本の経済界から租税条約締結を望む声が多く寄せられていた。今回の合意について、日本外務省および財務省は「両国における課税範囲の明確化、国際的な二重課税の除去ならびに脱税および租税回避防止などのための規定を設ける」としており、さらなる経済交流の促進が期待されている。日本は、2018年12月にコロンビアとの租税条約(調査レポート「日本・コロンビア租税条約」参照)に署名し、2019年1月にはエクアドル(2019年1月18日記事参照)、6月にはアルゼンチン(2019年7月8日記事参照)との租税条約に署名するなど2018年から南米各国との租税条約の署名が続いた。また署名こそされていないが、ウルグアイとの間での租税条約も2019年4月に実質合意に至る(2019年4月22日記事参照)など、自由貿易と投資誘致を推進するペルーにとって、南米域内の他国に後れを取りたくない状況が続いていた。

今回の発表内容によれば、今後は最終的な条文の確定のための精査および両国間政府内での必要な手続きを経た上で署名される予定で、その後、両国における国会承認を経て正式に発効することになるため、実際の発効に至るまでには時間を要する。また、具体的な内容については署名後に公表されるため、現時点でどれほどの税負担軽減効果があるのかは不明だが、過去の事例からペルーは、居住地国で課税権を大きく認めるOECDモデルを基本としながら、源泉地国の課税権を多く認める国連モデルの概念も取り入れたかたちの租税条約を締結してきているため、内容の精査が必要となる見通しだ(2016年4月7日記事参照)。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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