主要格付け会社、アルゼンチンの格付けを相次ぎ引き下げ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年09月03日

格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は8月29日、アルゼンチンの短期国債を一時的に「SD(選択的デフォルト)」に格下げした。格付け会社フィッチ・レーティングスも翌30日、長期国債格付けを「CCC」から、部分的なデフォルトを示す「RD」とした。格付け会社ムーディーズも、アルゼンチンの格付けを「B2」から「Caa2」に引き下げた。

8月28日にエルナン・ラクンサ経済相が機関投資家向け短期国債の償還期限延長計画などを発表(2019年8月30日記事参照)したことなどに対し、主要格付け会社が相次いで反応した。

アルゼンチンでは、8月11日に実施された大統領選挙の予備選挙でマクリ大統領が敗北したことを受けて、自国通貨ペソや株式が急落した(2019年8月13日記事参照)。その後、経済の安定化を目指した与野党間の協議があったが、予備選挙で勝利したアルベルト・フェルナンデス元首相とIMFとの協議が行われた26日、同氏が属するペロン党急進派「すべての戦線」がマクリ政権の手腕と政権に協力的だったIMFを強く批判する声明を発表したことで、市場は再び不安定な状況となっていた。マクリ政権はIMFと563億ドルの融資枠設定で合意しており、これまでに累計で約441億ドルの融資が実行されている(2019年7月25日記事参照)。

アルゼンチン中央銀行は29日、ペソの急落に対して約4億ドル規模の為替介入を実施した。また同日、現地の金融機関に対し、海外の親会社に配当などを支払う際の事前許可を求めるコミュニケ「A」6768号を発表した。

約500社で構成する経済団体IDEAは31日に声明を発表し、マクリ大統領やフェルナンデス氏を含めた各セクターのリーダーによる事態の打開を求めている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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