IMF理事会、アルゼンチンに54億ドルの融資実行を承認

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年07月25日

IMF理事会は7月12日、アルゼンチン政府に対する約54億ドルの融資実行を承認した。アルゼンチンはIMFと563億ドルの融資枠組みで合意しているが、今回の承認により累積で約441億ドルの融資を得る。

同日付のIMFプレスリリースでデビッド・リプトン専務理事代行は、マウリシオ・マクリ大統領率いる現政権の経済改革を評価し、その理由として、2018年の景気後退以降、景気が緩やかに回復していること、金融市場が安定し財政状況が改善していることを挙げた。

また、IMFは7月15日、第4次審査に関するスタッフレポートを発表した。レポートでは、2019年の実質GDP成長率の見通しがマイナス1.2%からマイナス1.3%、2020年の見通しが2.2%から1.1%に下方修正され、2019年の消費者物価指数(インフレ率)についても、年率30.5%から40.2%と見通しが引き上げられている。さらに、マクリ政権が取り組む政策はマクロ経済の安定には不可欠で、財政目標は達成できており、中央銀行もマネタリーベースの水準をコントロールできているが、インフレ率が落ち着くにはもうしばらく時間を要すると指摘する。経済活動については、2019年第2四半期(4~6月)から緩やかな回復が見込まれるものの、本格的な回復には時間がかかるとしている。

このほか、中銀の為替介入政策などにより、4月以降の金融市場は安定しているが、今後数カ月は大統領選挙の見通しの不安定さによって引き続き脆弱(ぜいじゃく)さを残し、市場の信頼を損ねるようであれば、投資家などのペソ資産離れによって為替にも悪影響を及ぼしかねないと警告している。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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