アルゼンチン経済相、一部債務の償還期限延長を発表

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年08月30日

アルゼンチンのエルナン・ラクンサ経済相は8月28日、記者会見を行い、機関投資家に対する短期国債の償還期限延長などを発表した。

LETES(外貨建て短期国債)など短期国債を保有する機関投資家に対する償還方法として、(1)満期時に15%分の支払い、(2)満期から3カ月後に25%の支払い、(3)満期から6カ月後に残りの60%の支払い、を発表した。8月11日に行われた大統領選挙の予備選挙直後からLETESの借り換え率が急減したため、償還による外貨準備高減少を抑制する目的とみられている。なお、短期国債保有者の9割近くを占める個人は対象外で、元本や利子などは変更されていない。長期国債についても、今後、返済期間の延長に向けた取り組みが進められる。

記者会見では、2021年から返済が始まるIMFへの債務についても、返済時期を延長するための対話を開始する意向を示した。IMFは記者会見後にコメント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、今回の対策に一定の理解を示した。現在、IMFは563億ドルのスタンドバイ融資枠をアルゼンチン向けに設定しており、9月には54億ドルの支出が精査されている。

ラクンサ経済相は、予備選挙の結果を受けた為替の急落に直面する中、現在のポストに就任しており、為替の安定とインフレ抑制を目指し、野党との精力的な対話を通じた事態の沈静化を図っている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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