中国企業が大豆や豚肉など米国産農産物の買い付けを再開

(中国、米国)

北京発

2019年09月18日

新華社は9月13日、国家発展改革委員会と商務部関係者から得た情報として、「中国政府は、関連企業が米国から一定数量の大豆や豚肉などの農産物を買い付けることを支持する」こと、「国務院関税税則委員会がこの買い付けについて、追加関税賦課の適用除外措置を講ずる予定である」ことを報じた。

今回の報道内容は、トランプ米国大統領が9月11日、自身のツイッターを通じて、2,500億ドル相当の中国原産の輸入品に対する追加関税率を25%から30%に引き上げる時期について、10月1日から10月15日まで2週間延期すると表明したことを受けたものとみられる(2019年9月12日記事参照)。

商務部は9月12日、米国が追加関税率の引き上げ時期を延期したことについて、「米国の善意ある行動を歓迎する」とし、「中国企業が既に米国産の農産物を買い付けるための価格の問い合わせを行っている」と説明しており、農産物の買い付けに向けた動きが進みそうだ。

一方で、これまでの経緯を振り返ると、長期間、安定的な輸入が続くかは不透明だ。中国企業の米国産農産物の買い付けは、6月の米中首脳会談以降、徐々に進んでいたものの、米国が8月1日、追加関税対象リスト第4弾に対して10%の追加関税を課すと発表したことをきっかけに停止されていた。また、追加関税賦課の適用除外措置についても、8月3日以降に新たに購買契約を締結した米国の農産品については対象外となっていた(2019年8月7日記事参照)。なお、2019年1~7月の中国の米国からの大豆(HSコード120190、種まき用のものを除く)の輸入額をみると、前年同期比60.1%減の27億ドルだった(2019年9月10日記事参照)。

さらに中国は、大豆などについては輸入先の多角化も進めている。9月12日、中国の税関総署とアルゼンチンの農牧水産省が、アルゼンチンの大豆ミールの対中輸出に関して検疫要求協定書を締結し(2019年9月18日記事参照)、アルゼンチンの農牧水産省は「世界最大の大豆ミール輸出国と最大の消費国の直接取引への基礎となる」とのコメントを発表した(「新華社」9月12日)。これ以前にも、7月25日には税関総署が、ロシアからの大豆輸入について、これまではロシア極東の5地域に限定していたが、ロシア全域に拡大して認めるとしており、輸入先の多角化の動きが続いている(2019年8月7日記事参照)。

(藤原智生)

(中国、米国)

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