米国の1~5月の対中輸入、第3弾対象品目が約3割減

(米国、中国)

米州課

2019年07月08日

米国商務省が7月3日に発表した貿易統計(通関ベース、原数値)によると、米国の1~5月の対中輸入額は1,800億ドルとなり(注1)、前年同期比では12.3%減少した(表1参照)。対中追加関税措置の制裁弾別に対象品目の対中輸入額をジェトロが試算したところ、第3弾の対象品目の輸入額は576億ドルで、前年同期比29.7%減少し、輸入額の減少に最も寄与した(寄与度マイナス11.87ポイント)。続いて、第1弾の輸入額が70億ドルで31.5%減少し、第2弾は39億ドルで40.1%減少した。また、企業の申請により適用除外となった品目(注2)についても、除外申請が認められるまでの間は輸入額が減少しており、1~5月は31億ドルで、前年同期比22.8%減少した。一方、G20大阪サミット(首脳会議)に合わせて行われた米中首脳会談の結果、追加関税の発動が当面延期となった(2019年7月1日記事参照)第4弾候補の対象品目の対中輸入額は1,006億ドルとなり、5.5%増加した。また、追加関税の対象外の品目についても、対中輸入額は79億ドルで7.1%増加した。

表1 米国の制裁弾別の1~5月の対中輸入額

対中輸入の減少に寄与した項目を制裁弾別のHTS上位4桁でみると、第3弾対象品目の電気機器(85類)や一般機械(84類)の品目が目立ち、スイッチング機器、ルーティング機器(HTS8517項)が85.6%減の13億2,800万ドル、計算機等部品(HTS8473項)が68.4%減と大幅に減少した(表2参照)。

表2 対中輸入の減少に寄与した品目の対中輸入額の推移(制裁弾別、HTS上位4桁別)

一方、対中輸入の増加に寄与した品目をみると、第4弾の対象品目の電気機器が上位に挙がっており、その他スイッチング機器、ルーティング機器が10.3%増、モニター(HTS8528 項)が20.5%増、ノートPC(HTS8471項)が2.5%増となり、第4弾の追加関税発動を見越した駆け込み輸入が目立った(表3参照)。

表3 対中輸入の増加に寄与した品目の対中輸入額の推移(制裁弾別、HTS上位4桁別)

(注1)5月の対中輸入額については、2019年7月5日付地域・分析レポート参照

(注2)リスト1に関する1度目の適用除外対象品目の発表は2018年12月28日(2019年1月4日記事参照)、2度目は3月25日(2019年3月28日記事参照)、3度目は4月18日(2019年4月18日記事参照)、4度目は5月9日(2019年5月13日記事参照)、5度目は6月4日(2019年6月5日記事参照)。

(中溝丘)

(米国、中国)

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