英国議会の2回目の離脱協定案否決に、落胆広がるEU

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月13日

英国のEU離脱(ブレグジット)協定案をめぐる英国議会での2回目の採決(2019年3月13日記事参照)で再び否決された事態を受けて、EU側から3月12日、諦めとも取れる発言が相次いだ。EU側のブレグジット交渉の責任者を務めてきた、欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は「この難局は英国側で解決するしかない」と語り、EUができることは全てやり尽くしたとの見解を示した。

英国議会の審議に冷ややかなEU

バルニエ首席交渉官は3月12日、「われわれの準備してきた合意のない離脱(ノー・ディール)対策(2018年12月21日記事参照)の重要性がこれまで以上に高まっている」とツイッターに投稿した。

バルニエ首席交渉官は英国議会での審議状況を聞きながら、「離脱協定案の妥結がない状態でも、移行期間の利益が得られるという『危険な幻想(dangerous illusion)』を英国が抱いているように見受けられる」とコメント。「離脱協定案の妥結が移行期間を認める唯一の法的根拠であり、妥結がないということは、移行期間もないということだ」とくぎを刺した。

また、欧州議会のブレグジット問題対策グループ座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)も同日、自身のツイッターを更新、「ブレグジットは、英国が制御不能(out of control)の堂々めぐりに陥ることではなく、支配(control)を取り戻すためのものではなかったか」とコメントした。同議員は事態打開のためには「(英国議会が)英国の国益を最優先に考える超党派議員の協力体制を打ち出すほかない」と提言。「そうなれば、われわれ(EU側)も事態改善に協力できる」と語った。

欧州委のジャン=クロード・ユンケル委員長は3月11日、「英国議会に3度目のチャンスは認めない」と明言、英国議会の責任ある慎重な判断を求めていた(2019年3月12日記事参照)。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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