欧州委、3月12日の英議会採決での事態打開に期待感

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年03月12日

欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は3月11日、英国のテレーザ・メイ首相との会談後の共同記者会見で、翌12日に控えた、英国のEU離脱(ブレグジット)問題をめぐる英国議会での採決について、「有意義な判断に失敗すれば、次のチャンスはない」と厳しい認識を明らかにした。

3月12日の英国議会採決が最後のチャンスとの考え示唆

ユンケル委員長は、EU側には「離脱協定」に妥結する用意があり、EU側は英国がEUを離脱する予定の3月30日(中央ヨーロッパ時間)までに同協定を承認できるとの認識を示唆した。むしろ、問題は英国議会側の承認の見通しにあり、このために英国側が事態を打開できるように追加支援に尽力してきたと述べた。

またユンケル委員長は、3月11日のEU・英国首脳会談でも、離脱協定について解釈を明確化し、特にアイルランド国境管理に関わる安全策(バックストップ)に関する、法的拘束力のある共同文書(Instrument)について合意したとした。EU側にバックストップを通じて、英国側を陥れる意図は一切なく、保険的な措置との従来の認識を、同委員長はあらためて強調した。

しかし、同時にユンケル委員長は「(3月12日の英国議会採決以降)3度目のチャンスは認めない」ことも明言。「3月12日の採決に失敗すれば、(EU側として)今後の追加の解釈や保証は行わない」とも語り、英国議会の責任ある、慎重な判断に期待感を示した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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