中南米進出日系企業調査、アルゼンチンの貿易制度面は一長一短の評価

(アルゼンチン)

米州課

2019年02月13日

ジェトロが2月7日に発表した「2018年度中南米進出日系企業実態調査」によると、2018年第2四半期からアルゼンチンが直面した通貨ペソの急落、その通貨防衛策としての政策金利の大幅引き上げといったビジネス環境を悪化させた内外要因が影響し、進出アルゼンチン企業の業況感は極度に悪化したことが判明した。2018年の営業利益見込み(前年比)では、「悪化」と回答した割合が前回調査時の9.8%から41.7%に急増した(図1参照)。具体的に2018年の営業利益見込みが「悪化」する理由としては、「為替変動」と回答した割合が0.0%から93.3%に急増し、「金利の上昇」も25.0%から60.0%への大幅に増加した(2019年2月8日記事参照)。

図1 前年と比べた2018年の営業利益見込み

また、2018年の営業利益見込みが前年に比べて「改善」と答えた比率から「悪化」と答えた比率を引いた数値(DI値)では、2017年にはアルゼンチンが中南米地域においてプラス幅が2番目(31.7)だったが、今回は最下位(マイナス8.4)となった。

輸出入制度の変更が事業に影響

アルゼンチンは2018年9月、2015年12月にほぼ撤廃した輸出課徴金(輸出税)を、財政収支の均衡を目的に復活させた(2018年9月5日記事参照)。この影響で、貿易制度面の問題点として「輸出制限・輸出税がある」の回答が2017年の12.2%から38.9%へ上昇した(図2参照)。

図2 貿易制度面の問題点(アルゼンチン)

他方、輸入に関しては、資本財やIT関連品目においてメルコスールの対外共通関税率より引き下げた例外税率を適用している。2018年は例外税率適用品目を拡大したこともあり(2018年9月25日記事10月15日記事参照)、現地生産面における問題点として「資本財・中間材輸入に対する高関税」と「原材料・部品の現地調達の難しさ」が前年より大幅に減少した(それぞれ28.6%→6.7%、64.3%→33.3%)(図3参照)。

図3 生産面の問題点(製造業のみ):アルゼンチン

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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