2連邦構成体を編入、ロシア極東地域が拡大

(ロシア、中国、モンゴル)

欧州ロシアCIS課

2018年11月05日

プーチン大統領は11月3日、ザバイカル地方とブリヤート共和国を極東連邦管区に組み入れる大統領令に署名した。今後、これらの連邦構成体(日本の都道府県に相当)にも、現在ロシア極東に適用されている特別措置を活用し、社会・経済分野の発展を図る。

署名されたのは、大統領令第632号(2018年11月3日付)「2000年5月13日付大統領令第849号により確定した連邦管区のリストの変更について」。大統領令第849号で定められた各連邦管区大統領全権代表の管轄地域を修正するもので、シベリア連邦管区のザバイカル地方とブリヤート共和国(図参照)が極東連邦管区に組み込まれた。両構成体は以前からロシア極東地域と同一の社会経済発展計画の対象地域として捉えられることが多く、経済的にも極東連邦管区のアムール州やサハ共和国(ヤクーチヤ)などとの結び付きが強い。

10月25日にザバイカル地方の知事代行に任命されたアレクサンドル・オシポフ氏は、ロシア極東の電力開発を担うルスギドロの取締役やロシア極東発展省次官を務めた経験があり、任命時のプーチン大統領との会談でも同地方の極東管区への編入を要望していた。

図 関連する連邦管区と連邦構成体

両連邦構成体は今後、ロシア極東向け優遇政策の対象地域となり、優先的社会経済発展区域(TOR)(2017年8月15日付調査レポート参照)やウラジオストク自由港制度(2015年7月31日記事参照)などの優遇税制による投資促進、Eビザ導入(2018年7月20日記事参照)による人的交流の促進・観光振興に加え、政府事業予算の優先的投下(2018年8月15日記事参照)やモスクワと地域を結ぶ航空券価格を引き下げる政府補助・措置(2018年8月6日記事参照)、両構成体への移住支援などの政策が適用される予定だ。

連邦統計局によると、ザバイカル地方の人口は108万(2017年1月時点)で最大都市はチタ(34万7,000人)。有力産業は輸送・通信(2016年の地域総生産に占める割合は12.1%、)、卸売・小売業(12.1%)、鉱業(11.1%)など。ブリヤート共和国の人口は98万で最大都市はウラン・ウデ(43万2,000人)。主力産業は加工業(17.6%)、卸売・小売業(14.0%)、輸送・通信(13.6%)など。また、両地域は中国、モンゴルと国境を接しており、制度導入で相互間の経済交流が後押しされる可能性がある。

(高橋淳)

(ロシア、中国、モンゴル)

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