プーチン大統領、追加の極東振興策検討を指示

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年08月15日

プーチン大統領は8月10日、連邦政府に対しロシア極東への追加の社会・経済振興策を検討するよう指示した。対象分野は、電力、観光、輸送インフラ、国内移住、人口増加など。9月中旬にウラジオストクで開催される「第4回東方経済フォーラム」を見据えての指示で、同フォーラムのイベントの中で具体的な振興策が発表されると想定される。

今回の大統領指示Pr-第1447号(2018年8月10日付)は7月18日に開催された会合を受けたもの。以下の諸施策を実施した場合の、連邦予算への影響も含む計画の提示を指示している。その内容は、(a)投資的性格を持つ政府事業支出の5.5%以上をロシア極東へ振り分け、(b)ロシア極東住民向け電力料金を全国平均まで引き下げる制度の2028年までの延長(2018年6月19日記事参照)、(c)新規投資事業への電気、ガス、水道料金の長期優遇制度の導入、(d)観光に関連する新規の建造物・開拓地への資産税・土地税の5年間免除、(e)シベリア鉄道・バム鉄道の幹線インフラの拡張・設備更新、(f)長期電力契約(注)制度の導入、(g)移住者増加対策(移動労働人口増に貢献した雇用者向けの財政支援、自発的移住者への政府補助金の増額)、(h)出生率向上に向けた特別支援策(初産時の政府祝い金の増額、2人目出産時の家族への資金提供、子供のいる世帯向け低率住宅ローン導入)など多岐にわたる。

同指示による検討期限は9月10日で、9月11~13日にウラジオストクで開催される「第4回東方経済フォーラム」の直前。前回の2017年にはフォーラム開催直前にプーチン大統領が参加しロシア極東の社会経済インフラ開発に関する政府会合が開催されており(2017年9月20日記事参照)、今回も連邦予算に与える影響も踏まえた追加の振興策を同会合もしくはフォーラムなどで提示するとみられる。

(注)大口需要家と供給者の直接電力供給契約が想定されている。

(高橋淳)

(ロシア)

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