FOMCは金融政策を現状維持、経済の現状判断も変更せず

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月09日

米連邦準備制度理事会(FRB)は11月7~8日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定した。前回9月のFOMCで引き上げられたフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は、2.00~2.25%に据え置かれた。今回の決定は全会一致だった。

さらなる緩やかな利上げが適切との見方を維持

FOMCの声明によると、米国経済全般の現状について、「労働市場が引き続き力強さを増し、力強いペースで拡大を続けた」とし、前回から維持した。他方で、内訳項目の1つである設備投資については、前回の「力強く成長している」から「年初来の急速な拡大ペースが緩やかになっている」と下方修正した。10月26日に発表された2018年第3四半期のGDP統計(速報値)では、実質設備投資の伸び率が前期比年率0.8%増と前期(8.7%増)からプラス幅が縮小し(2018年10月31日記事参照)、2016年第4四半期(0.0%増)以来、7四半期ぶりの低い伸びとなった。

労働市場については、「ここ数カ月をならせば雇用の増加は力強く、失業率は低下している」とし、失業率の部分に関して、前回の「低いまま」から「低下している」に修正した。2018年9月の雇用統計における失業率は3.7%と、1969年12月(3.5%)以来、48年9カ月ぶりの低水準を記録(2018年10月11日記事参照)し、10月も同水準(3.7%)となった(2018年11月5日記事参照)。

物価上昇については、「2%付近にとどまっている」とし、前回から維持した。9月のインフレ率(食品・エネルギーを除くコア)は、消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.2%、個人消費支出(PCE)デフレーターが2.0%となっていた。

経済・物価の先行きについては、「さらなる緩やかな利上げは経済活動の持続的拡大、力強い労働市場環境、中期的にインフレ率がFOMCの目標である2%付近で推移することと、整合性が取れるだろう」との見方を維持した。

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のデータによると、市場が織り込む次回12月会合での利上げ確率は8割程度となっており、引き続き高水準になっている。イェシーバ大学教授で、ニューヨーク連銀の前副議長だったジェームズ・カーン氏は、FOMCが「12月会合で0.25ポイントの利上げを継続するだろう」と指摘した。一方で、FOMCは政策の柔軟性を確保するために、声明文では「将来のことをあまり先読みし過ぎないようにしている」と述べた(「ブルームバーグ」11月8日)。

(権田直)

(米国)

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