第3四半期の実質GDPは前期比年率3.5%成長

(米国)

ニューヨーク発

2018年10月31日

商務省が10月26日に発表した2018年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の速報値は前期比年率3.5%となり、市場コンセンサス予想(ブルームバーグ調べ)の3.3%を上回った(添付資料参照)。

個人消費支出が成長率の押し上げに寄与

需要項目別の寄与度をみると、純輸出(1.8ポイント減)が前期からマイナスに転じ、設備投資(0.1ポイント増)の押し上げ幅が前期から縮小した一方で、個人消費支出(2.7ポイント)や在庫投資(2.1ポイント)などが成長率を押し上げた。

個人消費支出は前期比年率4.0%増と、前期(3.8%増)からプラス幅が拡大した。種類別にみると、サービスが3.2%増、非耐久財が5.2%増、耐久財が6.9%増と、いずれも伸びた。

設備投資は0.8%増となり、前期(8.7%増)からプラス幅は縮小した。種類別にみると、構築物が7.9%減と4四半期ぶりに減少した一方で、知的財産が7.9%、機器も0.4%増加した。構築物は鉱物探査・シャフト・採掘井などが減少した。

外需は、輸出が3.5%減と7四半期ぶりの減少となった一方で、輸入は9.1%増と2四半期ぶりの増加となった。輸出は、農産物を含む食料品・飼料・飲料、自動車・エンジン・部品、航空機・エンジン・部品などが減少した。輸入は、消費財や自動車・エンジン・部品などが増加した。

物価は、価格変動が大きいエネルギーや食料品を除いた個人消費支出デフレーター(コアPCE)の上昇率が、前期比年率は1.6%、前年同期比は2.0%となった。

J.P.モルガンのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、関税引き上げに備えて、企業が「輸入を増やし、一時的に(在庫として)備蓄を増やしたことが反映されているのかもしれない」と指摘した(「ビジネスインサイダー」10月26日)。

また、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米国チーフエコノミスト、ミシェル・メイヤー氏は、成長率は力強いが、「機械投資がほとんど伸びず、住宅投資も減少する中で、在庫投資が大幅に増加しており、持続可能ではない」とした一方で、「注目すべきは個人消費の強さで、2018年に入ってから勢いを増しており、減税はそれをさらに加速させた」と述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙10月26日)。

(権田直)

(米国)

ビジネス短信 60b299dd6c8264cf