10月の失業率は3.7%と横ばい、雇用者数の増加幅は前月より拡大

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月05日

米国労働省が11月2日に発表した2018年10月の失業率(速報)は3.7%で、市場予想(3.7%)と同じ水準になった(表参照)。就業者数が前月より60万人増加し、失業者数も11万1,000人増加した結果、失業率は前月と変わらなかった。また、労働参加率(注)は62.9%となり、前月より0.2ポイント上昇した。

表 米国の雇用統計(10月速報)

一方で、失業期間が約半年(27週間)以上になる長期失業者が全体の失業者に占める割合は、前月より0.4ポイント低い22.5%と、2カ月ぶりに低下した。また、適当な仕事がみつからずに職探しを断念した者や不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月より0.1ポイント低下して7.4%となった。

10月の非農業部門の雇用者数の前月差は25万人増で、前月と比べて増加幅が拡大した。なお、9月については13万4,000人増から11万8,000人増へと下方修正され、8月は27万人増から28万6,000人増へと上方修正された結果、8月と9月の2カ月合計の増加幅は変わらなかった。9月から10月にかけての雇用増加の内訳を主要業種別にみると、小売業が2,400人増と前月(3万2,4000人減)から増加に転じたほか、教育・医療サービス業(4万4,000人増)、娯楽・接客業(4万2,000人増)、対事業所サービス業(3万5,000人増)、製造業(3万2,000人増)などが引き続き増加傾向にある(9月はそれぞれ2万6,000人増、増減なし、4万6,000人増、1万8,000人増)。

平均時給は、前月比0.2%増(9月:0.3%増)、前年同月比3.1%増(2.8%増)の27.30ドル(27.25ドル)となった。

労働省は、10月に米国本土に上陸したハリケーン・マイケルは、今回の調査結果の集計に目立った影響を与えなかったとした。ナロフ・エコノミック・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「企業は採用基準を緩和し始めており、(これによって)雇用可能な労働者が減少している中でも、持続的で力強い雇用増が実現している」と指摘した(「USAトゥデー」紙電子版11月2日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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