イランが制裁再発動に関して、米国をICJへ提訴

(イラン、米国)

テヘラン発

2018年07月18日

7月16日、モハマッド・ジャバッド・ザリフ外相は公式ツイッターにて、一方的な対イラン制裁を理由として米国を国際司法裁判所(ICJ:International Court of Justice)に提訴外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたことを明らかにした。翌17日のイラン外務省の発表によれば、米国が5月8日に発表したイランに対する経済制裁の再開(2018年5月9日記事参照)は、特に1955年に両国が締結した友好経済関係領事権条約(Treaty of Amity, Economic Relations, and Consular Rights)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第4条、7条、8条、9条、および10条に違反している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとしている。ただし、米国はICJ規程36条2項に基づく選択条項の受諾を宣言していないため、イランによる提訴に応訴する義務を負っていない。

米国による経済制裁の再開には猶予期間が設けられており、8月6日および11月4日に期限を迎える。欧州をはじめ関係国は5月8日の米国の発表以後、米国およびイランと協議を進めているが、具体的な解決策は見いだせていない(2018年7月13日記事参照)。また欧州は企業の権益保護を目的に米国制裁に対する対抗措置を準備しているものの(2018年5月21日記事参照)、イランとのビジネスの中断を表明する欧州企業が相次いでおり、米国抜きの核合意を維持することのメリットをイラン側に明確に提示できていない。こうした状況下、イランとしてはICJへの提訴を通じて核合意順守をあらためて強調し、欧州など関係国に対して解決策の提示を引き続き求めるとともに、米国から譲歩を引き出したい狙いがあるとみられる。

(藤塚理)

(イラン、米国)

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