カスピ海沿岸諸国が貿易経済協力を推進へ

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン)

欧州ロシアCIS課

2018年07月13日

ロシア政府は7月10日、カスピ海沿岸諸国(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン)が今後、貿易経済関係を推進する基礎なる協定案を政府ウェブサイトに公開した。同協定は、8月12日にカザフスタンのアクタウで開催予定の第5回カスピ海沿岸諸国首脳会議での署名が見込まれている。

公開されたのは政府指示第1389号(2018年7月6日付)「貿易経済協力に関するカスピ海沿岸諸国間協定の署名について」。経済発展省を主管とし、ロシア政府を代表して署名することを指示するもの。

協定案は13条から構成されている。署名する5カ国は各自の立法活動を通じて、a.共同の投資事業・計画の実現、b.特別経済区などの創設・振興、c.貿易・経済分野の立法・標準化・規則・統計情報、d.デジタル経済、e.地域・都市間協力、f.合弁企業の設立、g.署名国で開催される国際展示会への参加、の各分野での協力を推進する(第4条)。また、「カスピ海経済フォーラム」の枠組みを創設し、同フォーラム内で展示会、ビジネスフォーラム、円卓会議、国際会議などを開催できるようにする。会期、規模、条件などは今後、議論される(第5条)。

本協定の主管には、ロシアが経済発展省、カザフスタンは国民経済省、トルクメニスタンは財務経済省、アゼルバイジャンは経済省、イランは工業鉱山貿易省が指定されている(第6条)。協定の発効は、協定の寄託者であるカザフスタン政府が、国内批准手続きを終了した最後の署名国から書面の通知を受け取った日の30日後となる(第13条)。

カスピ海沿岸諸国間では近年、天然ガスパイプライン建設(2018年6月14日記事参照)、鉄道輸送(2018年2月1日記事参照)、電力系統連系(2018年6月6日記事参照)、自由貿易協定(FTA)(2018年4月26日記事参照)などの分野で共同事業が予定、もしくは実施されている。第5回カスピ海沿岸諸国首脳会議では、長年の懸案だったカスピ海の法的地位問題が確定することが予想されており(2018年7月3日記事参照)、同問題の整理とともに、カスピ海沿岸諸国間で貿易経済協力への機運がさらに高まることが想定される。

(高橋淳)

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン)

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