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カスピ海の法的地位問題が確定へ

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン)

欧州ロシアCIS課

2018年07月03日

ドミトリー・メドベージェフ首相は6月21日、カスピ海の法的地位に関する協定を連邦政府として承認する決定を行った。8月12日にカザフスタンのアクタウで開催予定の第5回カスピ海沿岸諸国首脳会議で同協定が署名される可能性が高まった。

承認されたのは連邦政府決定第714号(2018年6月21日付)「カスピ海の法的地位に関する協定の署名に関するロシア大統領への提案の提示について」。連邦政府関係部局、アゼルバイジャン政府、イラン政府、カザフスタン政府、トルクメニスタン政府と事前合意された同協定案について、署名を行うようプーチン大統領に提案するというもの。なお、プーチン大統領は6月29日に同政府決定を承認した。

同政府決定に添付された協定案は24条で構成。カスピ海の平和的利用を原則とし、署名国以外の軍隊の駐留を認めないこと、同海での航行を署名国の船籍に限定することを内容とする一方で、外洋との相互のアクセス、トランジットと民間航空機の自由航行を認めている(第3条)。領海は15カイリで外縁が国境、漁業水域は領海外縁から10カイリで、海底境界と(海底)資源所有権は隣接もしくは対岸国との合意で画定する(第7条~第9条)。複数署名国の共同学術調査には他関連署名国の合意が必要(第13条)。署名国には海底ケーブルやパイプライン敷設の権利が与えられるが、通過国の合意が必要(第14条)。署名国以外の個人・法人、国際機関との協力も本協定に従い実施される(第16条)。法的紛争が発生した場合は各国の協議により解決する。強制裁判制度は規定されていない(第21条)。

今回の合意形成の背景としてカザフスタンのメディアは、2018年5月に同国政府が米国に対しアフガニスタン向け復興物資輸送のためカスピ海の2港湾の使用を認めたため、カスピ海地域での米国のプレゼンス拡大を懸念したロシアとイランが法的権利の確定を急いだ、とする専門家のコメントを紹介している。

カスピ海の法的地位に関する問題はソ連崩壊後の1990年代に発生し、20年以上最終的な解決に至っていなかったが、本協定により領海・海洋資源・海底資源利用に関する法的な整理がなされることになる。トルクメニスタン、カザフスタン産天然ガスをカスピ海(海底パイプライン)とアゼルバイジャン経由で欧州へ輸送する事業(2018年6月14日記事参照)も、アゼルバイジャンとトルクメニスタン、もしくはカザフスタン両国の合意でパイプラインの敷設が可能となることから、実現に向け大きく前進することが想定される。

(高橋淳)

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン、イラン)

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