鉄鋼・アルミ関税賦課に関する適用免除措置の継続・延長を決定

(米国)

ニューヨーク発

2018年05月02日

1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく鉄鋼とアルミニウムへの関税賦課について、トランプ大統領は4月30日、韓国、カナダ、メキシコ、EU、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジルへの適用免除の継続・延長を決定した。関税賦課を指示した3月22日の大統領宣言は、これらの国への適用免除を5月1日までの時限的措置とし、それまでに関税に替わる代替策で米国政府と合意するよう促していた(2018年3月27日記事参照)。

韓国:鉄鋼輸入については適用免除が決定

韓国からの鉄鋼輸入は、輸入割当を含む代替策で合意したとして、長期的に適用を免除することにした。税関・国境整備局(CBP)は同輸入に適用する輸入割当の詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ただし、アルミニウムの輸入は適用免除から外した。CBPは5月1日以降の韓国からの輸入には、232条に基づく追加関税(10%)を賦課外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますするとしている。

オーストラリア、アルゼンチン、ブラジル:基本合意が成立

オーストラリア、アルゼンチン、ブラジルは、代替策の基本合意が成立したとして、合意事項が施行されるまでの期間は鉄鋼・アルミニウム輸入に対する一時的な適用免除を延長するとしている。最終的な代替策が施行された段階で、韓国と同様にこれらの国を適用免除にするとみられる。ただし、短期間で満足の行く代替策で合意ができない場合は、「関税をあらためて賦課することを検討する」としている。

トランプ大統領は迂回輸入の防止にも有効として、韓国以外の国との交渉でも輸入割当の導入を目指す考え外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示している。

カナダ、メキシコ、EU:6月1日まで適用免除を延長

カナダとメキシコ、EUからの鉄鋼・アルミニウム輸入については、一時的な適用免除措置を6月1日午前0時1分まで延長した。トランプ政権はカナダとメキシコに対して、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉での譲歩を迫るかたちで関税賦課を留保してきた。NAFTA加盟国は現在、早期合意を目指して交渉を行っているが、鉄鋼・アルミニウムの関税賦課の問題がどう扱われているかはみえない状況だ(カナダとメキシコは232条の関税賦課をNAFTA交渉に結び付けることを拒否している)。なお、ピーター・ナバロ通商製造業政策局長は、適用免除の延長はこれが最後になると述べている(「インサイドUSトレード」5月1日)。

GSPやAGOAの特恵税率利用は不可

CBPは232条の関税賦課の対象品目について、米国が締結する自由貿易協定(FTA)の特恵税率を利用することは可能(232条の追加関税の支払いは必要)だが、一般特恵関税制度(GSP)(注)やアフリカ成長機会法(AGOA)の特恵税率は利用できないとしている。

(注)GSPは2017年末に1度失効したが、2018年4月22日に再開されている。詳細は2018年3月30日記事参照

(鈴木敦)

(米国)

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