韓国からの鉄鋼輸入に対する数量割当の適用を開始

(米国、韓国)

ニューヨーク発

2018年05月09日

税関・国境整備局(CBP)は5月1日、韓国からの鉄鋼輸入に対する数量割当の適用を開始した。この輸入数量割当は、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく鉄鋼への関税賦課に関する代替策として、米国政府と韓国政府の間で合意された内容に基づく措置。輸入数量割当の代わりに韓国からの鉄鋼輸出には232条に基づく追加関税(25%)の賦課が免除される。

トランプ政権は、一時的に232条に基づく関税賦課の適用を免除しているその他の国(オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、EU、メキシコ、カナダ)とも数量割当の導入を目指し交渉を行っており、今後同様の措置がこれらの国からの鉄鋼輸入にも導入される可能性がある(2018年5月2日記事参照)。

今回の輸入数量割当は数量制限(Absolute Quota、注1)であり、割り当てられた輸入数量以上の輸入は禁止される。数量割当の上限に達した後の輸入品については、輸出するか税関による監視の下で破壊する、または外国貿易地域(FTZ:Foreign Trade Zone、注2)や保税倉庫に保管して次の数量割当が与えられるまでの期間は輸入通関を待つ必要がある。

米通商代表部(USTR)の発表資料(3月28日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、今回の鉄鋼の輸入数量割当の上限は2015年から2017年の韓国からの平均輸入数量の7割の水準に製品別に設定されている。対象品目や具体的な数量割当の上限はCBPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

既に2018年は輸入ができない品目も

数量割当は暦年ベースで適用される。2018年の対象期間は1月1日~12月31日となっており、措置が導入された5月1日以前に輸入された数量も遡及(そきゅう)して計上対象になる。このため、5月1日時点で既に数量割当の上限に達している品目もあり、これらの品目は年内に輸入することはできない。また、CBPは四半期ごとの輸入量について、年間の数量割当の3割を上限にするとしている(注3)。

(注1)輸入数量割当には「数量制限」のほか、一定の数量に対し無税または低税率を適用する一方、この数量を超える輸入分に対しては、比較的高税率の関税を適用する「関税割当(Tariff-rate Quota)」がある。

(注2)FTZの概要についてはジェトロウェブサイト参照。

(注3)例えば、第3四半期までの各期間で3割の上限に達する輸入を行った場合は、第4四半期には残りの全体の数量割当の1割しか輸入できない。

(鈴木敦)

(米国、韓国)

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