貿易赤字の解消目指し、輸入ライセンス対象製品を拡大

(アルジェリア)

パリ発

2017年09月21日

上半期の貿易収支は48億4,000万ドルの赤字で、赤字幅は前年同期比54.0%縮小した。政府は貿易収支のさらなる改善に向け、輸入ライセンスの対象品目を4月以降段階的に拡大したが、ライセンス制度の運用基準の不透明さや交付の遅れなどに現地企業の不満が高まっている。

上半期の貿易赤字は前年同期比54%縮小

炭化水素資源が輸出額の95%を占めるアルジェリアでは、原油価格の低迷などにより2015年以降、貿易収支の赤字が続いている。政府は赤字抑制のため、自動車輸入の割当制度をはじめ、幅広い輸入規制強化策を実施してきた(2015年8月19日記事8月20日記事2016年1月21日記事3月30日記事参照)。

こうした中、2017年上半期の貿易収支は48億4,000万ドルの赤字となり、前年同期比で54.0%縮小した。輸出額は181億4,100万ドルで36.0%増加したが、輸入額は229億8,600万ドルで3.8%減にとどまり、赤字解消にはほど遠い結果となった。

一方、外貨準備高は2016年12月の1,141億ドルから2017年6月には1,080億ドルとなり、減少傾向が続いている。

政府は4月15日に、輸入額を2016年の467億ドルから2017年は300億ドル以下に抑える目標を明らかにした。2016年に82億2,000万ドルと輸入額の18%を占めた食料品について、現地生産への移行を加速することを視野に入れている。

政府は輸入割当制度を段階的に拡大

輸入抑制目標を達成するため、商業省は輸入割当ライセンスの交付条件に関する政令に基づき、2016年に乗用車、セメント、異形鉄筋などを対象とした輸入割当制度を施行、2017年に入り対象製品を段階的に拡大し始めた。

その第1弾として、商業省は21品目を対象とした2017年分の輸入割当ライセンスの申請受付を開始すると4月1日に告知した。2016年の対象品目に加え、牛肉、チーズ、レモン、リンゴ、バナナなどの農産品も対象品目となった。

5月31日には第2弾として、対象品目が家電、携帯電話、化粧品にも拡大された(商務省輸入割当リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、添付資料参照)。しかし、製造業における現地組み立てを促進するため、現地組み立て用部品は輸入割当の対象外とした。もっとも、テブン首相(当時)は生活必需品および半製品を除き、最終的には全ての完成品を輸入割当の対象とする意向を明らかにした。

制度が不透明と現地企業の不満高まる

商業省などで構成されている輸入割当ライセンス各省間委員会は、5月から段階的に生肉、鉄鋼、家畜飼料など、2017年分の輸入ライセンスを申請企業の一部に交付しているが、自動車関連など多くの品目に関しては未発表のままだ。また、対象製品の選定および数量の設定基準が不明瞭な上、輸入ライセンスの合格基準や合格者も非公開のため、汚職と密売を拡大させているといった現地企業の声が報道されている。

政府は7月上旬、輸入割当対象品目の正式な書面発表の前に、パスタ、チョコレート、ミネラルウオーター、ジュース、レンガ、蛇口、プラスチック製品など24品目の輸入を禁止した。特にボトルキャップなどのプラスチック完成品の突然の輸入禁止措置は、食品加工、化粧品、製薬など、幅広い製造業者から強く批判された。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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