自動車輸入に割当制度、2016年は約15万台

(アルジェリア)

パリ発

2016年01月21日

 貿易赤字対策として2014年後半から、外貨建て決済の制限や、新車を対象とした自動車輸入の規制強化が実施された。しかし貿易赤字の拡大が続いていることから、2016年に入って、輸入台数を前年の半分程度に制限する輸入割当制度が導入された。

<輸入割り当て方式は品目ごとに毎回通知>

 2015111月のアルジェリアの輸入総額は約469億ドルで、前年同期比約12%減と輸入の抑制に成功した。一方、原油価格の下落の影響で同時期の輸出総額は約343億ドルにとどまり、約42%の大幅減となったため、貿易赤字が拡大している。貿易収支の改善に向け、政府は2014年後半以降、自動車産業を中心に輸入規制を強化(2015年8月20記事参照)、また輸入抑制の追加措置として輸入ライセンス制度の導入も検討を進めていた(2015年8月19記事参照)

 

 こうした中、政府は2015126日付政令第15306号「製品・商品の輸出入ライセンス制度に関する適用条件および細則」を公布、輸入ライセンス制度の詳細を明らかにした。同政令では、輸入数量制限のない「自動ライセンス」(条件を満たす全ての申請に所管省庁が承認を与える)と、輸入数量制限のある「非自動ライセンス」の区別を明確にしている。非自動ライセンスの対象品目の選定とその輸入数量に関しては、財務省、産業・鉱山省、農業・地方開発・漁業省および商務省の代表で構成される商務相付各省間委員会が毎年、貿易状況を勘案して提案、最終的に商務相が決定し、同省のウェブサイトないし国内プレスを通じて通知を公示することが定められた。毎回この通知により、品目ごとに申請者に対する輸入割り当て方式が、先着順、申請量、競売など多様な方式の中から定められる。各通知には輸入申請書のほか、申請期間や申請先の部署、申請に必要な添付資料など、手続きが明示される。申請期間終了後、各省間委員会が輸入申請内容を審査し、商務省が承認する仕組みだ。なお、輸入ライセンスは譲渡不可で、有効期間は基本的に6ヵ月としている。

 

<乗用車に加えバスやトラックも対象に>

 同政令に基づき、商務省は20161月からウェブサイトに2つの通知を公示している。15日に、EUから輸入される粉ミルクや肉類をはじめ、50弱の農産品および加工食品を対象とした割り当て申請の受け付けが開始され、126日に終了する予定。114日には、自動車、セメント、鉄鋼を対象としたが示された。自動車ではHSコード870287038704が対象となり、乗用車のみならずバス、トラックも含まれる(表参照)。

 自動車の輸入枠は全体で152,000台と設定された。割り当て方式については今回の通知では示されていないが、申請量に応じた方式が採用されると予想される。また、割当数量がセグメント別になるか、ブランド別となるかは現時点では不明だ。さらに、現地生産を促進したい政府の狙いから、現地組み立て用のノックダウン(KD)キットは割り当ての対象外となっている。新車輸入ディーラーによる輸入割り当ての申請受付は23日午後5時までを期限としている。

 

 2016年の輸入枠152,000台は2015年の輸入台数約30万台の半分で、過去最高の60万台を記録した2012年の4分の1にしかならず、自動車輸入を抑制しようという政府の姿勢がうかがわれる。

 

 商務省関係者によると、申請期間終了後、12ヵ月でライセンスが付与される見込みだという。ライセンスの有無の審査は税関で行われ、ライセンス取得前にアルジェリアに到着している、あるいは今後到着する車両については、税関で止められることになる。ライセンス取得後は通関できるはずだが、円滑に通関できるかどうかについては疑問が残るところだ。

 

(ピエリック・グルニエ、渡辺智子)

(アルジェリア)

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