輸入水産物モニタリングの最終規則を公表-対象種が決定、2018年1月から法令順守義務-

(米国)

ニューヨーク発

2017年02月20日

 海洋大気庁(NOAA)は、トレーサビリティープログラムの一環として、輸入水産物を対象とするモニタリングプログラム(SIMP)の最終規則を2016年12月8日公表した。同規則によりプログラムの対象種が決定し、2018年1月1日から法令順守が義務付けられる。



<段階を踏んで最終規則を発表>

 違法・無報告・無規制(IUU)漁業および水産物偽装撲滅のためのタスクフォースが2014年に設立、2015年にその行動計画が公表され、国家海洋会議委員会(NOA)が設置された(2015年9月9日記事参照)。NOAAは2016年2月に、対象種とその輸入者に求められる事項を明らかにしたトレーサビリティー規則案を公表した(2016年3月1日記事参照)。9月には、輸出入品の申請窓口を国際貿易データシステム(ITDS)に一元化、規制対象となる輸入水産物によって異なっていた輸出入許可を国際水産貿易に関する許可(IFTP)に統合した(2016年9月15日記事参照)。今回発表されたのは、トレーサビリティープログラムの一環となる、対象種を明確にしたSIMPの最終規則だ。

 

 SIMPは、特にIUU漁業と偽装水産物の影響を受けやすい特定の優先順位の高い種および加工品の輸入を対象とし、輸入者の許可証、漁獲状況の報告と記録の要件を規定している。

 

 今回公表された対象種は以下のとおりで、2016年2月に規則案で公表された種の範囲だ。対象となる水産物およびその加工品のHTSコード(HSコードに準拠)は、今回の最終規則で確認できる。

 

 タイセイヨウダラ(Atlantic Cod)、ブルークラブ〔Blue Crab(Atlantic)〕、シイラ(マヒマヒ)〔Dolphinfish(Mahi Mahi)〕、ハタ類(Grouper)、タラバガニ(赤)〔King Crab(red)〕、マダラ(Pacific Cod)、レッドスナッパー(Red Snapper)、ナマコ類(Sea Cucumber)、サメ類(Sharks)、メカジキ(Swordfish)、マグロ類〔ビンナガマグロ(Albacore Tuna)、メバチマグロ(Bigeye Tuna)、カツオ(Skipjack Tuna)、キハダマグロ(Yellowfin Tuna)〕

 

<アワビとエビ類については施行延期>

 規則案で公表されたアワビ(Abalone)とエビ類(Shrimp)を対象種とする施行日は、米国内で養殖されたこれらの種について、本規則と同等性のある収穫状況の報告および記録保存の要件が規定されるまで延期される。

 

 規則案で公表されたとおり、クロマグロ(Bluefin)もSIMPの対象に含まれる。しかし、米国は大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の締約国として既にSIMPと同等性のある電子的クロマグロ漁獲文書プログラムを施行し、それに応じて簡素化した登録および輸出の報告要件を設定しているため、それらの報告要件は今回の最終規則によって変更されない。

 

 今回の最終規則において規則案から変更されたその他の点は、小規模事業者(注1)を対象とした報告の簡素化、関税国境保護局(CBP)が管理するコンピュータシステム(ACE)を通じたエントリーの開始とその施行期日(官報で公表予定)、水産物のデータ提出の要件と手続きの微調整だ。

 

 今後の動きとしては、オンラインセミナー(ウェビナー)の継続的な開催(注2)、IUU漁業の特別ウェブポータルやファクトシートを通じた周知、信頼できる輸入者プログラムの制定、水産物トレーサビリティープログラムの範囲拡大と全種対象化が予定されている。

 

(注1)小規模漁業事業者とは、小規模施設(養殖施設から出荷される水産物の1日の総量が1,000キロ以下)または、小規模漁業船舶(総重量20トン以下あるいは全長12メートル以下)で漁業に従事する事業者を指す。

(注2)NOAAによる2016年12月開催のウェビナー資料(http://www.iuufishing.noaa.gov/Portals/33/PropRule_Traceability_WebinarPres_3-18-2016.pdf)参照。

 

(沼田茂仁、デラコスタ葉子)


(米国)

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