貿易データの電子報告に関する最終規則を公表-海洋大気庁、輸入水産物のシステムを9月20日に統合-

(米国)

ニューヨーク発

2016年09月15日

 米国商務省の海洋大気庁(NOAA)は8月2日、貿易情報収集システムを統合する最終規則を公表した。9月20日から、連邦政府が規制する輸出入品の申請などが国際貿易データシステムに統合される。この新システムの構築により、複数の政府機関にまたがる手続きが簡素化され、企業と政府のコスト削減などが期待されている。

<窓口一元化の大統領令に対応>

 米国では、1993年の税関近代化法に基づき、関税国境保護局が国際貿易データシステム(ITDS)に沿って管理するコンピューターシステム(電子上の受け付け窓口、ACE)が段階的に構築されている。2006年の港湾安全法では、全ての政府機関がACE参加を義務付けられることになった。20142月の大統領令では、連邦政府が規制する輸出入品の申請などを、201612月までに単一の電子システムで取り扱うこととされており、今回の規則はそれに対応するものとなっている。

 

 電子データ処理の窓口一元化は、財務省などが作成するITDSの下、メッセージセットと呼ばれる政府機関が求める申告データの一元化と、申請書画像処理システム(DIS)に基づき、進められる。

 

 貿易業者はこれまで、同じ情報を複数回にわたり複数の政府機関に対して、主に紙媒体で提出する必要があった。今回の措置により手続きが簡素化され、貿易業者はACEにデータを1度提出すればよいことになる。

 

 また、政府機関同士の相互確認は自動化され、ほとんどリアルタイムで輸出入承認の意思決定が可能となる。NOAAは、政府機関がデータを迅速に取得し、危険な、あるいは禁止された貨物を正確に認識できるようになると説明する。

 

 海洋大気庁海洋漁業局も、ACEの窓口を使用する。同局が輸入許可に必要なものは、メッセージセットやDISを通じて収集した水産物データだ。

 

<国際取引許可制度に一本化>

 輸入水産物の規制対象ごとに異なる輸出入許可の枠組みは、単一の電子システムに統合されることになる。南極の海洋生物資源(AMLR)と高度回遊性魚種(HMS)の輸出入許可制度は、国際水産貿易に関する許可(IFTP)に統合される。輸入許可要件の範囲を拡大することで、輸入のみが対象となるドルフィン・セーフ・ラベルの表示を定めたマグロ追跡・認証プログラム(TTVP)のNOAAフォーム370も含まれる。つまり、IFTPを取得するだけで、HMSAMLRTTVPのいずれかの下で貿易を行うのと同じ権利を持つことになる。

 

 これら3つのプログラムは、約35HTSコード(HSコードに準拠)を対象としている。それ以外の水産物について、許可を取得する必要はない。また、国境関税保護局やセンサス局が既に提出を求めている書類以上の情報を提出する必要はない。ただし、違法・無報告・無規制(IUU)漁業および水産物偽装に関する委員会は、将来的に監視対象となる水産物の拡大を推奨している。

 

 ITDSの対象となる主な水産物は、マグロ類(Tunas)、メカジキ(Swordfish)、マゼランアイナメ(Patagonian toothfish)、ライギョダマシ(Antarctic toothfish)。

 

 HMSAMLRTTVPの対象となる水産物を扱う輸出入業者は、IFTPを取得するために、国家許可システム(NPS)でアカウントを作成する必要がある。現在のIFTP申請処理料金は30ドルで、IFTPの情報および契約の更新は年に1度必要となる。

 

(沼田茂仁、デラコスタ葉子)

(米国)

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