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2020年の乗用車登録台数、生産台数ともに前年比約19%減(チェコ)
EV市場は国内生産開始で活性化

2021年6月18日

チェコでは2020年、新型コロナウイルス感染拡大防止措置として自動車メーカーが直接的に生産を規制されることはなかったが、サプライチェーンへの影響などにより、同国で生産する自動車メーカー3社〔シュコダ・オート、トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)、現代チェコ〕が3月以降一時生産を休止した。また、販売店の営業禁止措置の影響で、乗用車新規登録台数も大幅に減少した。

一方、2020年のバッテリー電気自動車(BEV)とハイブリッド車の新規登録台数が大幅に増大、BEVの国内生産も開始された。2021年には国内市場に新たに燃料電池車(FCV)も登場し、クリーン・モビリティーに向けて、供給多様化の進展が期待される。

2020年の新車登録台数は前年比18.8%減、トヨタは増加

チェコ自動車輸入者連盟(SDA)の2月3日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年の乗用車の新車登録台数は20万2,971台で、前年の24万9,915台から18.8%減となった。新車登録台数を月ごとにみると、3月から5月までは前年同月を大幅に下回り、6月以降も前年同月比で減少となった月が多い(表1参照)。チェコでは新型コロナウイルス感染拡大防止措置として、2020年3月14日に最初のロックダウンが発動され、自動車の販売店も営業禁止となった。感染状況の改善に伴って4月20日に営業再開が許可されたものの、10月22日には再びロックダウン、車の販売店を含む小売店の大半は2021年5月10日に営業禁止令が解除されるまで閉店状態が続いた。

表1:2020年月間新車登録台数と前年同月比 (単位:台、%)(△はマイナス値)

1月~6月
項目 1月 2月 3月 4月 5月 6月
2019年 19,278 18,847 21,491 22,921 24,059 21,902
2020年 19,132 17,377 13,685 10,679 13,385 20,771
前年同月比 △ 0.8% △ 7.8% △ 36.3% △ 53.4% △ 44.4% △ 5.2%
7月~12月
項目 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2019年 21,816 25,026 15,770 19,935 20,163 18,707 249,915
2020年 19,770 16,611 16,909 16,835 17,484 20,333 202,971
前年同月比 △ 9.4% △ 33.6% 7.2% △ 15.6% △ 13.3% 8.7% △ 18.8%

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

2020年の新車登録台数をメーカー、ブランド別にみると、トップはシュコダの7万4,786台で、全体の36.9%を占めた。以下、フォルクスワーゲン(VW)、現代と続いている(表2参照)。日系トップのトヨタは、新車登録台数の上位20メーカー・ブランドの中で唯一、前年比1.3%増の増加となり、前年の7位から4位に上昇した。

表2:メーカー、ブランド別チェコ国内新車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー、ブランド 2019年 2020年
台数 台数 構成比 前年比
シュコダ 85,895 74,786 36.9 △ 12.9
フォルクスワーゲン 20,869 16,767 8.3 △ 19.7
現代 19,302 16,030 7.9 △ 17.0
トヨタ 9,893 10,023 4.9 1.3
ダチア 14,807 9,751 4.8 △ 34.2
プジョー 11,346 8,467 4.2 △ 25.4
起亜 9,681 8,332 4.1 △ 13.9
ルノー 10,101 7,497 3.7 △ 25.8
メルセデス・ベンツ 7,322 7,023 3.5 △ 4.1
フォード 9,739 6,805 3.4 △ 30.1
BMW 5,386 4,909 2.4 △ 8.9
シトロエン 6,552 4,523 2.2 △ 31.0
セアト 6,671 4,334 2.1 △ 35.0
オペル 4,713 3,376 1.7 △ 28.4
スズキ 4,343 2,475 1.2 △ 43.0
アウディ 2,600 2,449 1.2 △ 5.8
ボルボ 2,334 2,008 1.0 △ 14.0
三菱自動車 2,246 1,827 0.9 △ 18.7
マツダ 4,086 1,789 0.9 △ 56.2
フィアット 1,852 1,547 0.8 △ 16.5
ホンダ 2,071 1,380 0.7 △ 33.4
ジープ 1,072 924 0.5 △ 13.8
日産 1,724 853 0.4 △ 50.5
スバル 979 701 0.4 △ 28.4
ランドローバー 773 507 0.3 △ 34.4
レクサス 438 411 0.2 △ 6.2
テスラ 120 396 0.2 230.0
計(その他含む) 249,915 202,971 100 △ 18.8

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

ハイブリッド車、BEVの登録台数が急増

トヨタは、2020年のハイブリッド車部門の新車登録台数が前年の4,140台から4,046台とわずかに減少したものの、依然として圧倒的首位を維持している(表3参照)。ただし、シェアは前年の49.6%から31.9%に大幅に減少した。これはフォード、スズキ、シュコダなど、この部門の他社の売り上げ増大により競争が激化しているためだ。特に、2019年にこの部門に新規参入して2020年には同年のチェコ国内売り上げ1位の車種「オクタビア」のプラグインハイブリッドモデルの販売を開始したシュコダが今後どこまで登録台数を伸ばすのかが注目される。ハイブリッド市場全体では、2020年の新車登録台数は前年比51.9%増の1万2,674台だった。

表3:メーカー、ブランド別ハイブリッド車登録台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー、ブランド 2019年 2020年 構成比 前年との差
トヨタ 4,140 4,046 31.9 △ 94
フォード 55 1,746 13.8 1,691
スズキ 135 1,570 12.4 1,435
シュコダ 85 1,003 7.9 918
マツダ 736 876 6.9 140
ボルボ 83 721 5.7 638
メルセデス・ベンツ 783 573 4.5 △ 210
ホンダ 350 534 4.2 184
レクサス 408 376 3.0 △ 32
スバル 10 256 2.0 246
起亜 186 181 1.4 △ 5
BMW 78 162 1.3 84
アウディ 1,015 101 0.8 △ 914
計(その他含む) 8,346 12,674 100.0 4,328

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

BEV部門をみると、2020年の新車登録台数は前年比4.5倍の2,866台に急増した(表4参照)。ここでも、シュコダが前年から登録台数を大幅に増やし、全体の58.8%を占めて圧倒的トップに立った。2019年11月に生産開始された「シティゴe iV」に続き、2020年11月には「エニヤックiV」も生産を開始、特に後者は人気のスポーツ用多目的車(SUV)であることから、今後の売り上げ拡大が期待される。

表4:メーカー、ブランド別バッテリー電気自動車登録台数 (単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー、ブランド 2019年 2020年 構成比 前年との差
シュコダ 28 1,684 58.8 1,656
現代 138 345 12.0 207
ルノー 8 144 5.0 136
フォルクスワーゲン 104 141 4.9 37
マツダ 0 83 2.9 83
日産 139 78 2.7 △61
アウディ 47 73 2.5 26
起亜 4 66 2.3 62
BMW 101 60 2.1 △41
メルセデス・ベンツ 11 48 1.7 37
プジョー 0 43 1.5 43
ミニ 0 23 0.8 23
ポルシェ 0 18 0.6 18
スマート 9 18 0.6 9
ジャガー 47 17 0.6 △30
オペル 0 12 0.4 12
DS 0 6 0.2 6
ホンダ 0 6 0.2 6
シトロエン 0 1 0.0 1
636 2,866 100.0 2,230

出所:チェコ自動車輸入者連盟(SDA)

2021年には燃料電池車も登場

チェコ自動車輸入者連盟(SDA)の4月7日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第1四半期(1~3月)の乗用車の新車登録台数は前年同期比1.3%減の4万9,534台だった。ただし、3月単月では2万53台で、前年同月比46.5%増と大幅に増大した。チェコ自動車輸入者連盟から分析を請け負う大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は4月8日付資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1,000.75KB)で、3月に転じた増大傾向は、新型コロナウイルス感染状況の改善により、第2四半期(4~6月)も継続すると予想している。下半期はむしろ、自動車用半導体チップ不足による供給不足が危惧される。また、自動車メーカーのサプライチェーンでの障害も予想されることから、2021年の乗用車新車登録台数は22万4,000台となる見込みだ。2020年は上回るものの、2019年の実績まで回復するには至らないとみている。

第1四半期の新規登録台数のうち、ハイブリッド車は4,706台で前年同期比83.0%増、3月単月では2,041台となり、前年同月比で約3倍に増加していることから、2021年は前年を超える登録台数が期待される。一方、BEVは第1四半期の登録台数が前年同期比33.3%減の494台だったが、3月単月では前年同月比15.4%増の187台となり、上昇の兆しをみせている。

さらに2021年には、国内市場に初めてFCVが投入された。まず4月にトヨタが「ミライ」の販売を開始、現代も同月にSUVタイプのFCV「ネクソ」の販売開始計画を発表した。現代はそのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、2021年中にプラハ市とリトビーノフ市(北ボヘミア)、ブルノ市(南モラビア)の3カ所に国内初の水素ステーションが開設される予定と報じている。

2020年にチェコ内閣が承認した「クリーン・モビリティー国家行動計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(2015年作成の同計画の更新版)」によると、乗用車部門で、2030年までの国内総登録台数の目標をBEVが22万~50万台、FCVが4万~5万台と設定、充填ステーション設置数の目標も、水素ステーションが80、EV用充電ステーションが1万9,000~3万5,000と設定している。なお、産業貿易省によると、2020年12月31日時点のEV用充電ステーション設置数は734だ。

一方、低排出車の購買促進を目的とした政府の支援は現在のところ限定的で、環境省と産業貿易省がEVを中心とする代替燃料車の購買、あるいは関連インフラの整備に対する助成金制度を断続的に実施している。制度適用対象は、国家・地方自治体、あるいは企業に限られており、一般消費者は含まれていない。

カレル・ハブブリーチェック産業貿易相は2021年5月、2021~2027年に公共交通機関運営会社と地方自治体による代替燃料車の購買とこれらの自動車用インフラの整備に対して、164億5,000万コルナ(約871億8,500万円、1コルナ=約5.3円)の助成金が準備されていると述べている。

2020年の生産台数は前年比19.2%減、月別では4月に底打ち、以後回復

チェコ自動車工業会(Auto SAP)の1月19日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年の乗用車の生産台数は前年比19.2%減の115万2,901台だった(表5参照)。

表5:乗用車の国内生産、販売、輸出台数(単位:台、%)(△はマイナス値)
メーカー 2019年 2020年
生産 販売 輸出 生産 前年比 販売 前年比 輸出 前年比
シュコダ・オート 907,942 94,152 817,447 749,579 △ 17.4 83,249 △ 11.6 668,970 △ 18.2
TPCA 210,121 663 209,458 164,572 △ 21.7 958 44.5 163,614 △ 21.9
現代チェコ 309,500 15,336 294,164 238,750 △ 22.9 13,091 △ 14.6 225,659 △ 23.3
合計 1,427,563 110,151 1,321,069 1,152,901 △ 19.2 97,298 △ 11.7 1,058,243 △ 19.9

出所:チェコ自動車工業会(Auto SAP)

シュコダ・オート、トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)、現代チェコの3社とも、新型コロナウイルス感染が拡大して非常事態宣言が発動された3月の後半から一時的に生産を休止したため、その影響が顕著に表れた(図1参照)。特に4月は3社合計の生産台数がわずか1万4,589台とほぼ停止状態となり、前年同月比88.5%減の大幅な減少を記録した。以後は徐々に生産が上昇、11月には感染第2波到来による国内・欧州各国での販売代理店(ディーラー)の営業禁止の影響で需要低下による生産低下がみられたものの、12月には堅調な回復を示した。

図1:2020年の月ごとの乗用車生産台数の推移
1月11万8,475台、前年同月比2.8%増。2月12万730台、前年同月比3.5%増。3月8万3,703台、前年同月比36.2%減。4月1万4,589台、前年同月比88.5%減。5月6万2,184台、前年同月比52.9%減。6月10万3,934台、前年同月比17.1%減。7月8万2,718台、前年同月比5.2%減。8月10万2,224台、前年同月比4.9%減。9月11万9,722台、前年同月比4.5%減。10月12万8,754台、前年同月比2.8%増。11月11万7,063台、前年同月比19.4%減。12月9万8,805台、前年同月比9.9%増。

出所:チェコ自動車工業会(Auto SAP)

チェコ自動車工業会のボフダン・ボイナル会長は上述のチェコ自動車工業会の1月の発表で、2020年の業績について「春の生産中断以降、3社は状況に柔軟に対応し、秋以降は国内工業生産を牽引してそのプラス成長に貢献した。そのため、生産台数は約20%減となったものの、予想をはるかに上回る健闘ぶりをみせた」と評価した。

2020年の実績をメーカー別にみると、首位のシュコダの生産台数は74万9,579台で、過去最高を記録した2019年に比べ17.4%減となった。同発表は、シュコダのスポークスマン、トマーシュ・コレタ氏の「春の5週間にわたる生産休止があったことを鑑みれば、この実績は大成功といえる」とのコメントを紹介。同氏はプラスに働いた要素として、EU市場でのシェア上昇と、ロシアやトルコの需要増大を挙げた。

シュコダは2020年11月、同社初のBEVとなるSUVタイプ「エニヤックiV」の本格生産を開始した。同社の最初のBEVは、2019年11月に製造が開始された小型車「シティゴe iV」だが、このモデルはスロバキアのブラチスラバのVW工場で生産されている。そのため、同社の本拠地ムラダー・ボレスラフ(中央ボヘミア)で3,200万ユーロの設備投資を経て生産が開始された「エニヤックiV」は、チェコ国内で同社が製造するBEV第1号となった。その生産能力は1日当たり最大350台が見込まれている。

トヨタ自動車とグループPSA(フランス)との合弁会社、トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)は、2021年1月にトヨタの欧州統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME、本社:ブリュッセル)の完全子会社トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)となった。また、2020年は当初年間目標18万4,000台に対し、最終的に約2万台下回る結果(16万4,572台)となった。TMMCZのPRマネジャー、トマーシュ・パロウベック氏は「チェコとEUの新型コロナウイルス感染拡大防止策のため、上半期の生産台数は計画を4万1,000台下回った。一方、下半期は需要増大が生産を牽引して約2万台挽回した」と説明している。TMMCZは2021年に「ヤリス」のガソリンモデルとハイブリッドモデルの製造開始を予定しており、新設ラインや設備設置のため40億コルナ以上を投じることが見込まれている。

現代チェコの2020年の生産台数は前年比22.9%減の23万8,750台で、減少率は3社のうち最大だった。一方、同社は同年にモデルチェンジを行い、3月にはチェコ国内で最初のBEV「コナ」の生産を開始した。生産能力は1日当たり150台で、年間生産台数は3万5,000台と見込まれている。10月にはSUVタイプの「タクソン」の新モデルの本格生産もスタートした。先述のチェコ自動車工業会の1月の発表は、同社のスポークスマン、ペトル・ミフニーク氏の、こうしたモデルチェンジにより再び生産増大が期待される、とのコメントを紹介している。

2021年第1四半期はBEVとPHEVの生産が好調

チェコ自動車工業会の4月19日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2021年第1四半期の乗用車の生産台数は前年同期比2.8%増の33万1,897台だった。3月単月では12万5,202台となり、1月比19.7%増、2月比22.6%増と堅調に増加している。第1四半期の生産台数をメーカー別にみると、シュコダが22万5,115台(前年同期比5.4%増)、現代チェコが6万5,700台(17.1%増)、トヨタが4万1,082台(22.8%減)となった。なお、トヨタは半導体チップ供給不足により3月22日より9日間生産を中断した。

そのうち、BEVの生産台数は1万2,272台で前年比3.7%増、これにプラグインハイブリッド車(PHEV)の1万3,646台(4.1%増)を加えると2万5,918台で、7.8%増を記録した。3月単月の生産台数全体にBEVとPHEVが占める割合は13.1%に達した(図2参照)。

図2:BEVとPHEVの生産台数(2021年1~3月)
1月BEV1,475台、PHEV2,018台、合計3,493台、1月の生産台数に占める割合3.3%。2月BEV1,206台、PHEV4,797台、合計6,003台、2月の生産台数に占める割合5.9%。3月BEV9,591台、PHEV6,831台、合計1万6,422台、3月の生産台数に占める割合13.1%。

出所:チェコ自動車工業会(Auto SAP)

トヨタのハイブリッドモデル「ヤリス」の本格生産開始後は、ハイブリッドを含めた電気を動力源に持つ車両の、乗用車総生産台数に占める割合がますます増大することが予想される。

執筆者紹介
ジェトロ・プラハ事務所
中川 圭子(なかがわ けいこ)
1995年よりジェトロ・プラハ事務所で調査、総務を担当。

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