コメの輸入規制、輸入手続き
ロシアの輸入規制
1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)
調査時点:2025年6月
現在、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連したコメの輸入禁止措置はありません。
ただし、日本の食品をロシアへ輸入する際には、食品に含まれる放射性物質が、EEUが定める基準値以下であることを証明する日本の行政機関発行の輸出証明書の提出が求められます。輸出証明書には放射性物質の含有量の測定結果の添付が必要です。輸出証明書の発行については、関連リンクの農林水産省「放射性物質規制に係る食品等の輸出証明書のインターネット申請手続き」を参照してください。
また、通関手続きの現場の慣例では、日本からの貨物のロットごとに放射性物質のサンプル抽出検査も行われます。
食用および飼料用のコメの放射性同位体の含有上限は、関税同盟技術規則「穀物の安全について」および「食品の安全について」において規定されています。
指標 | 許容量:mg/kg以下 | 備考 |
---|---|---|
セシウム137 | 60 | Bq/kg |
ストロンチウム90 | 11 | Bq/kg |
対ロシア輸出入等禁止措置
現在、輸出貿易管理令により、輸出規制対象貨物のロシアを仕向地とする輸出は、原則として承認されません。
ただし、例外の一つである食品・医薬品の場合、輸出の承認を行うことがあります。詳細は関連リンクを確認してください。
関連リンク
- 関係省庁
-
ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁 沿海地方支局
-
ユーラシア経済委員会(EEC) 関税率・非関税率規制部(ロシア語)
/ (英語)
-
ユーラシア経済委員会(EEC) 技術規制・認定部(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2013年2月1日付ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁書簡第01/971-13-32号「日本からの食品の一時的輸入禁止の解除」(ロシア語)
-
2013年4月22日付ロシア連邦消費者権利保護・福利監督庁書簡第01/4630-13-32号「日本からの食品の一時的輸入禁止の解除日について」(ロシア語)
-
2012年8月16日付ユーラシア経済委員会理事会決定第134号「非関税率規制における法令について」(ロシア語)
-
2015年4月21日付ユーラシア経済委員会理事会決定第30号「非関税率規制措置について」(ロシア語)
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第874号「関税同盟技術規則『穀物の安全について』の採択について」(ロシア語)
(454KB)
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第880号「関税同盟技術規則『食品の安全について』の採択について」(ロシア語)
(2.1MB)
- その他参考情報
-
農林水産省「放射性物質規制に係る食品等の輸出証明書のインターネット申請手続き」
-
経済産業省「外国為替及び外国貿易法に基づく輸出貿易管理令等の改正について(ロシアの産業基盤強化に資する物品等の輸出等禁止措置)」
(1.3MB)
2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)
調査時点:2019年10月
- (1) 適合証明・適合宣言
- ロシアでコメを含む製品を流通させるには、「技術規則021/2011(食品の安全)や技術規則015/2012(穀物の安全性)に適合していることを証明しなければなりません。
- 輸入通関時に適合宣言の提示が求められるほか、商品に規格番号およびEEU構成国市場内で流通する製品への統一マーク(EACマーク)を印刷、表示することが義務付けられています。
- 適合宣言の発行は、ロシア当局が認定する民間の認証機関が行います。一部品目は所管省庁自ら証明書を発行しますが、その場合でも認証機関に申請代行を依頼することになります。
- (2) 輸出証明書
- 日本の食品をロシアへ輸入する際には、食品に含まれる放射性物質が、EEUが定める基準値以下であることを証明する日本の行政機関が発行する輸出証明書の提出が求められます。輸出証明書の発行については、関連リンクの農林水産省「放射性物質規制に係る食品等の輸出証明書のインターネット申請手続き」を参照してください。
- (3)植物検疫証明書
- コメの輸入手続きには、日本側で発行された植物検疫証明書が必要です。詳細は「3. 動植物検疫の有無」を参照してください。
- そのほか、日本側では食糧法に基づき地方農政局あてに米穀輸出届出書が必要となります。ただし、個人的使用に供するために、非商業的に輸出される米穀は届出義務が免除されます。詳細は関連リンクの農林水産省「米麦等を輸出される方へ」を確認してください。
関連リンク
3. 動植物検疫の有無
調査時点:2019年10月
- 植物検疫
-
コメは、植物疫病リスクの高い検疫対象商品であるため、輸入手続きには、植物検疫証明書(輸出国側での植物検疫の証明書)が必要です。植物検疫証明書がない場合、輸入はできません。
植物検疫証明書は、日本の植物検疫認定機関(植物防疫所)により発行されたものでなければなりません。また、ロシア語または英語、もしくはその両方で記載されていなければなりません。この証明書に記載された情報は、運送に関する書類および取引に関する書類の情報と合致している必要があります。輸入されるコメの実際の数量が、証明書に記載された数量を9パーセント以上超えていてはいけません。
植物検疫証明書の発給手続きについては、関連リンクの植物防疫所「輸出検査について」を参照してください。 - TN VED EEUにおいて商品群1006 10に分類されるコメについては、特別な植物衛生検疫要求事項が規定されています。特に、コメにCallosobruchus属のマメゾウムシ、Trogoderma granarium、Caulophilus latinasusが混入しておらず、またストライガ属の植物が生育していない地域または場所で生産されたものでなければなりません。
- 種子および播種用素材に関しては、特別な要求事項が規定されています(コメに関しては、TN VED EEUコード1006 10 100 0に分類される播種用の殻付きのコメ)。特に、種子、容器、包装材および輸送手段が、法律により検疫対象に規定されているブラジルマメゾウムシ、Callosobruchus属のマメゾウムシ、Trogoderma granarium、Caulophilus latinasusに汚染されていないことが要求されます。また、種子および播種用素材は包装されなければならず、包装には品名、国名、産地または生産された区画(またはその両方)、輸出者についての情報が書かれた表示が必要です。これらが守られていない場合、輸入は禁止されます。
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(EEC) 衛生動植物検疫措置局(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2016年11月30日付ユーラシア経済委員会評議会決定第157号「ユーラシア経済連合税関国境及び保税区域における検疫対象製品及び検疫対象物の植物衛生検疫統一要求事項の承認について」(ロシア語)
(628KB) / (英語)
(535KB)
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第318号「ユーラシア経済連合の植物検疫の確保に関して」(ロシア語)
-
2010年6月18日付関税同盟委員会決定第317号「ユーラシア経済連合動物衛生措置の適用について」(ロシア語)
- その他参考情報
-
植物防疫所「輸出検査について」
-
植物防疫所「各国の検疫条件:ユーラシア経済同盟 Eurasian Economic Union」
ロシアの食品関連の規制
1. 食品規格
調査時点:2019年10月
ロシアでは輸入される食品に対して、関税同盟技術規則で規定される要求事項への適合(適合証明もしくは適合申告)が求められます。この要求事項は、製品、製品の生産、使用、保管、輸送、販売、リサイクルなどに対する必須要件であり、国家および超国家レベルの技術規則によって規定されています。
コメに適用される要求事項は、次の技術規則に規定されています。
-
関税同盟技術規則「穀物の安全について」(食用および飼料目的の穀物に関してのみ適用。種子としての利用を目的として輸入されるコメに対しては、この技術規則の効力は及ばない)
主に次の項目が含まれます。- コメの定義(コメ特定するための特徴についての説明)
- 毒性要素、マイコトキシン、ベンゾピレンおよび、害虫汚染の限界許容レベル
- 放射性物質の限界許容レベル
- 有害な混入物の混入限界許容レベル
- 使用可能な農薬およびその含有量の限界許容レベル
-
関税同盟技術規則「食品の安全について」
主に次の項目が含まれます。- 安全のための一般要求事項
- 生産、保管、輸送、販売、リサイクルの各過程における要求事項
- 微生物学的安全基準
- 衛生学的安全要求事項
- 放射性同位体セシウム137およびストロンチウム90の許容レベル
- 食品添加物の成分としての使用が禁止された植物およびその加工品、動物由来物、微生物、菌類、生物活性物質の一覧
関税同盟技術規則「穀物の安全について」に従い、食用および飼料用として輸入されるコメについては適合申告によって適合の裏付けが行われます。ただし、この要求は品目分類1006 10に該当するコメのみに適用されます。
関税同盟技術規則「食品の安全について」では、輸入されるすべての食品について、適合申告の形式による適合の裏付けが必要であることが規定されています。
適合申告については、輸入規制の「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」を参照してください。
2. 残留農薬および動物用医薬品
調査時点:2019年10月
輸入されるコメは残留農薬の規制の対象です。食用および飼料用として輸入されるコメの残留農薬の数値は、関税同盟技術規則「穀物の安全について」および「食品の安全について」に定められた許容レベル(MRL)を超えてはいけません。
残留農薬 | 許容レベル mg/kg 以下 |
---|---|
BHC(α、β、γ異性体) | 0.5 |
DDT及びその代謝物 | 0.02 |
2.4D酸およびその塩、エステル | 許容されない |
有機水銀剤 | 許容されない |
関税同盟技術規則「穀物の安全について」では、コメに残留する農薬有効成分の限界許容レベルも定められています。
有効成分名 | 製品内最大許容レベル(mg/kg) |
---|---|
2-オキソ-2,5-ジヒドロフラン | 0.2 |
МСРА | 0.05 |
アジムスルフロン | 0.02 |
ベンスルフロンメチル | 0.02 |
ベンタゾン | 0.1 |
ビスピリバック ナトリウム塩 | 0.1 |
グリホサート | 0.15 |
デルタメトリン | 0.01 |
ジメトエート | 0.02 |
イソプロチオラン | 0.3 |
キンクロラック | 0.05 |
クレフォキシジム | 0.05 (*) |
クロマゾン | 0.2 (*) |
モリネート | 0.2 |
ペノキススラム | 0.5 |
ペルメトリン | 0.01 |
ピラゾスルフロンエチル | 0.1 |
ピリミホスメチル | 1.0 (*) |
プロパニル | 0.3 |
チアベンダゾール | 0.2 |
フェニトロチオン | 0.3 |
フェントアート | 0.1 |
フルトリアホール | 0.05 |
エチオフェンカルブ | 0.05 (*) |
コメについては、動物用医薬品の残留に対する要求事項は定められていません。
3. 重金属および汚染物質
調査時点:2019年10月
- 重金属
- コメについての重金属の含有に対する要求事項は、関税同盟技術規則「穀物の安全について」および「食品の安全について」に定められています。
重金属 | 許容レベル:mg/kg 以下 |
---|---|
鉛 | 0.5 |
ヒ素 | 0.2 |
カドミウム | 0.1 |
水銀 | 0.03 |
- 有害物質および汚染物質
- コメについての有害物質および汚染物質の含有に対する要求事項は、関税同盟技術規則「穀物の安全について」および「食品の安全について」に定められています。
指標 | 許容レベル:mg/kg 以下 | 備考 |
---|---|---|
害虫による汚染 | 許容されない | |
死んだ昆虫、害虫による汚染 | 15 | 個体/kg |
アフラトキシンB1 | 0.005 | |
T-2トキシン | 0.1 | |
オクラトキシンA | 0.005 | |
ベンゾ(a)ピレン | 0.001 |
4. 食品添加物
調査時点:2019年10月
コメに対する食品添加物の使用は、関税同盟技術規則の要求事項、特に技術規則「食品添加物、香料、加工助剤の安全について」において規制されています。これらの技術規則では、コメにおける特定の食品添加物について、最大含有レベルが規定されています。
食品添加物 | 食品 | 食品に含まれる最大量 |
---|---|---|
鉱物油(高粘度)E905d | コメ(玄米・精米) | 800 mg/kg |
大豆ヘミセルロース(E426) | 包装済みであり、すぐに食用可能なコメ | 10 g/kg |
ステアロイル-2-乳酸ナトリウ(E481)、ステアロイル-2-乳酸カルシウム(E482) |
即席調理米 (包装米飯、レトルトの粥など) |
4 g/kg |
個別または両者の配合 |
即席調理米 (包装米飯、レトルトの粥など) |
4 g/kg |
ケイ酸マグネシウム E553iii | コメ(玄米・精米) | 使用量は製造者によって規定され、技術的な面から適切な判断のもとで使用されるものとする。技術的効果を得るために必要な量を超えて使用してはならない。 |
脂肪酸モノグリセリドおよび脂肪酸ジグリセリド(E471) |
即席調理米 (包装米飯、レトルトの粥など) |
使用量は製造者によって規定され、技術的な面から適切な判断のもとで使用されるものとする。技術的効果を得るために必要な量を超えて使用してはならない。 |
グリセリン酢酸脂肪酸エステル(E472а) |
即席調理米 (包装米飯、レトルトの粥など) |
使用量は製造者によって規定され、技術的な面から適切な判断のもとで使用されるものとする。技術的効果を得るために必要な量を超えて使用してはならない。 |
関税同盟技術規則「食品表示」で規定されている、包装表示に適用される食品添加物に関する要求事項は、「 6. ラベル表示」を参照してください。
5. 食品包装(食品容器の品質または基準)
調査時点:2019年10月
包装が施される場合、コメの包装に使用される容器および包装材は、関税同盟技術規則「包装の安全性について」で規定されています。特に食品の製造者により製造の過程で施される包装に関する要求事項に適合している必要があります。
コメを含む食品に使用される包装材は、許容量を超えて人体に影響を及ぼす化学物質が放出されるものであってはいけません。
関税同盟技術規則「包装の安全性について」によって規定される包装表示については「6. ラベル表示」を参照してください。
6. ラベル表示
調査時点:2019年10月
- 消費者向け包装への表示
-
消費者向けの包装がなされているコメを日本から輸入する際には、関税同盟技術規則「食品表示」に従って、ラベルに次の情報を含める必要があります。なお、表示対象である「各種成分」の記載に対する要求事項の詳細は、関税同盟技術規則「食品表示」(第4条第3項~第11項)に定められています。
- 品名
- 原材料:食品が一つの原材料だけでできており、品名によりその原材料が特定できる場合は、原材料の表記は必要とされない。
- アレルギー物質:アレルギー反応を引き起こす恐れがあるとして法律で定められた成分(アレルゲン)を原材料に含む場合は、該当する成分を記載しなければならない。該当する成分を使用していない場合でも、製造時に混入する可能性が完全に排除できない場合は、該当する成分が含まれる可能性があることについて、食品の原材料の記載の後に続けて記載する。〔特に二酸化硫黄および亜硫酸塩(1kgあたりに合計10mgより多く含まれる場合、または二酸化硫黄に換算して1リットルあたりに10mgより多く含まれる場合)、ゴマ、グルテンを含む穀類が該当します。「アレルギーまたは不耐性を起こしうる物質・製品リスト」を参照してください。〕
- 内容量
- 製造年月日
- 消費期限
- 食品の保管条件
- 製造者の名称および所在地:製造者が個人事業主の場合は姓・名・父称および所在地、または、製造委託者の名称および所在地、輸入者の名称および所在地、輸入者が個人事業主の場合は姓・名・父称および所在地
- 使用上の注意および制限:食品の調理の際に調理が困難となったり、消費者の健康に有害であったり、財産に損害をもたらしたり、食品の味が損なわれる事態が生じうる条件
- 食品の栄養価:エネルギー値(カロリーもしくはキロジュール)、たんぱく質量、脂肪量、炭水化物量、ビタミンおよびミネラル物質の量(製造においてビタミン・ミネラルを添加している場合はその表示が必要になります。その他にも100グラム/100ミリまたは成人男性が一日に摂取する量の5%を超える場合は表示が必要になります。)
- GMO(遺伝子組み換え作物)由来の成分の有無:GMOを使用した食品については、DNAおよびたんぱく質を含まない場合も含めて「遺伝子組み換え食品」または「GMO使用食品」または「原材料にGMOを含む食品」という表記をしなければならない。EEU市場内で流通する製品への統一表示記号の隣に、その表示と同じ形状および同じ大きさで、『GMO』というGMO使用食品の表示記号がつけられなければならない。
製造者がGMOを使用していない場合、製品の偶発的、技術的に避けられないような混入の割合が食品中の0.9%以下の場合は、GMOは表示の必要はない。 - ユーラシア適合(EAC)マーク:EEU構成国市場内で流通する製品への統一マーク。(詳細は「7. その他」を参照してください。)
- アレルギーまたは不耐性を起こしうる物質・製品リスト
-
- ピーナッツとその加工品
- アスパルテームおよびアスパルテームアセスルファム塩;
- マスタードとその加工製品
- 二酸化硫黄および亜硫酸塩(総含有量が二酸化硫黄換算で1キログラムあたり10ミリグラムまたは1リットルあたり10ミリグラムを超える場合)
- グルテンを含む穀物、およびその加工製品
- ごまとその加工品
- ルピナスとその加工製品
- 貝類とその加工製品
- 牛乳およびその加工品(乳糖を含む)
- ナッツとその加工製品
- 甲殻類およびその加工製品
- 魚およびその加工品(魚ゼラチン含む)
- セロリとその加工製品
- 大豆とその加工製品
- 卵とその加工品
- 輸送用の表示
-
輸送用の包装表示には、次の情報が含まれていなければならない。
- 品名
- 内容量
- 製造年月日
- 品質期限
- 食品の保管条件
- 食品のロットを判別するための情報(ロット番号など)
- 製造者の名称および所在地:食品の製造者の名称および所在地、製造者が個人事業主の場合は姓・名・父称および所在地
- 記載に関する注意事項
-
表示義務項目については、輸入されるコメの製造者の名称および住所以外はロシア語で表示されていなければなりません。製造者についての情報は、ローマ字のアルファベットおよびアラビア数字、または製造者の国の公用語で表示することができます。しかし製造者の国名はロシア語で書かれていなければなりません。
表示は理解しやすく、読みやすく、真実の情報であり、誤解が生じないものでなければなりません。
文章、文字、記号は、背景と対照的な色でなければなりません。
製造者が設定した保管条件下での品質期限までの全期間、表示が消えることのない方法で記載されていなければなりません。 - 食品添加物に関する表示
- 原材料に食品添加物が含まれる際には、包装表示にその機能(技術的)用途の表示(PH調整剤、安定剤、乳化剤などの機能的(技術的)用途)についての情報およびその名称が記載されていなければなりません。食品添加物の名称の代わりに、国際番号システム(INS)またはE番号システム(E)の番号を記載することも可能です。食品添加物が複数の機能を持つ場合には、使用目的となった機能を記載してください。また、原材料に食品添加物が含まれる場合には、その添加物の摂取を避けるべき疾患についても記載する必要があります。
- 包装・容器に関する表示
-
また、容器・包装材の回収や再利用を容易にする目的で、容器および包装材の素材を特定するために必要な情報が包装表示に含まれていなければなりません。この情報は、容器および包装材への直接記載か付属書類、またはその両方の方法で表示しなければなりません。可能であれば包装に直接記載または貼付してください。不可能である場合には、添付文書によって情報を提示してください。
この表示が包装に記載されていない場合、包装を行うコメの製造者は、付属書類の内容に従って、包装の素材を特定するために必要な情報のラベルを貼付する必要があります。 - 包装材の素材についての包装表示には、素材を表す数字のコードか文字による符号(略語)またはその両方、また包装や容器が食品に接触する用途で製造されたものであり、使用後はリサイクルが可能であることを示す記号が含まれている必要があります。コード、符号および記号は、関税同盟技術規則「包装の安全性について」への添付資料3および添付資料4の図1および図2に規定されています。
- ユーラシア適合マーク(EACマーク)
- EACマークついては、「7. その他」を参照してください。
- その他
- 消費者向けおよび輸送用の包装には、商品が適合している規格などや商品を特定するための書類についての情報、考案された名称、商標、商標に対する独占排他的権利者、コメの原産地、認可者の名称と所在地、自主的認証制度のマーク、商品の特徴についての情報を追加的に表示することができます。
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(EEC) 技術規制・認定部(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦政府(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第881号「関税同盟技術規則『食品表示』の採択について」(ロシア語)
(309KB)
-
2011年8月16日付関税同盟委員会決定第769号「関税同盟技術規則『包装の安全性について』の採択について」(ロシア語)
(692KB)
-
2011年7月15日付関税同盟委員会決定第711号「ユーラシア経済連合市場における製品流通の統一マークおよびその導入手順について」(ロシア語)
(454KB)
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第874号「関税同盟技術規則『穀物の安全について』の採択について」(ロシア語)
(454KB)
-
2018年6月14日付ロシア連邦税関局書簡第14-88/35479号「情報の方向性について」(ロシア語)
-
1997年4月23日付ロシア連邦政府決議第481号「一部の疾患に対する禁忌情報を表示しなければならない品目の承認について」(ロシア語)
-
1992年2月7日付ロシア連邦法第2300-1号「消費者の権利保護について」(ロシア語)
7. その他
調査時点:2019年10月
- ユーラシア適合マーク(EACマーク)
- 関税同盟技術規則「穀物の安全について」に従って、コメがこの技術規則やコメに対して適用範囲がおよぶ関税同盟の他の技術規則の要求事項に適合している場合は、EEU構成国市場で流通する商品への製品流通の統一マーク(EACマーク)を表示します。EACマークは包装に記載されるか、コメがバラ積みで輸送される場合には付属書類に記載します。EACマークの記載方法は、コメの品質期限までの全期間において読み取りやすさと鮮明さが確保される方法であれば、いかなる方法でも可能です。
- 技術規則「穀物の安全について」は、EACマークの表示が、コメがEEU統一関税圏の市場に出る前に施されていなければならないと規定しています。また、穀物の市場への流通とは、輸入者から売買およびその他の手段により穀物がEEU圏内へ引き渡されることを意味するとも規定しています。この規定は、輸入される商品がロシア国内で実際に販売されるまではEACマークの表示は施されていなくてもよいことの裏付であると考えることができます。その一方で、EACマークがあることにより、商品が技術規則に定められたすべての適合評価手続きを通過したことが証明されます。したがって実際には、自由な市場流通を目的として税関に提出された商品にEACマークがない場合、税関により、適合宣言や適合証明がなされていないとみなされてしまうリスクがあります。
- 2018年6月14日付のロシア連邦税関局書簡第14-88/35479号「情報の方向性について」では、商品をロシアへ持ち込むまでにEACマークが表示されなかった場合は、ロシアで表示を施すことが可能であると規定されています。そのためには、表示のない商品を保税蔵置場に置き通関手続き中の状態にするか、国内消費向けとして条件つきの通関を行う必要があります。商品の条件付きの通関を行うためには、税関に理由書を提出し、一連の条件(特に輸入者がEACマークの表示を行う権限を与えられていること)を順守しなければなりません。輸入者は条件付きで通関させた商品を販売する権利がありません。EACマークが表示された後で、税関に適合申告書および適合証明書を提出し、変更があることを明記したうえで商品の申告書に情報の変更を加えます。その後、商品を自由に流通させることが可能になります。
-
そのため、EACマークの表示のタイミングは次のようになります。
- 商品をロシアへ持ち込む前
- 手続き中の商品がロシアで保税蔵置場に置かれた後
- ロシアの税関による条件付き通関後
EACマーク
関連リンク
- 関係省庁
-
ユーラシア経済委員会(EEC) 技術規制・認定部(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦税関局(ロシア語)
/ (英語)
-
ロシア連邦政府(ロシア語)
/ (英語)
- 根拠法等
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第881号「関税同盟技術規則『食品表示』の採択について」(ロシア語)
(309KB)
-
2011年8月16日付関税同盟委員会決定第769号「関税同盟技術規則『包装の安全性について』の採択について」(ロシア語)
(692KB)
-
2011年7月15日付関税同盟委員会決定第711号「ユーラシア経済連合市場における製品流通の統一マークおよびその導入手順について」(ロシア語)
(454KB)
-
2011年12月9日付関税同盟委員会決定第874号「関税同盟技術規則『穀物の安全について』の採択について」(ロシア語)
(454KB)
-
2018年6月14日付ロシア連邦税関局書簡第14-88/35479号「情報の方向性について」(ロシア語)
-
1992年2月7日付ロシア連邦法第2300-1号「消費者の権利保護について」(ロシア語)
- その他参考情報
- ジェトロ「貿易投資相談Q&A:GOST-R(ロシア国家標準規格)認証取得:ロシア向け輸出」
- ジェトロ「通関時の「ユーラシア適合マーク」貼付の有無でトラブル-ロシア税関とユーラシア経済委員会が異なる見解-」(ビジネス短信)