自動車部品の現地輸入規則および留意点:タイ向け輸出

質問

タイに自動車部品を輸出します。現地での輸入規制と、輸出者として留意すべき事項があれば教えてください。

回答

タイでは、武器用特殊部品(戦車・装甲車用)を除き、自動車部品に対する輸入規制は特にありません。また、自動車部品の販売に関しても特段の規制はありません。

I. 日タイ経済連携協定

日本から商品をタイに輸出する場合、2007年11月1日に発効した「日・タイ経済連携協定(JTEPA)」、または2009年6月1日に発効した「日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)」に基づく特恵関税の適用を受けることができます。輸出者および輸入者は、品目別原産地規則、関税率等を比較してどちらか有利な方を選択し、タイでの輸入通関の際に特定原産地証明書を提出します。

  1. 自動車部品についての優遇措置
    JTEPAにより、HS87類に属する自動車部品は条件付きで輸入関税が撤廃されます。主な条件は以下のとおりです。
    1. HS8702~8705(乗用車、貨物自動車、バスなど)の組み立て製造のために輸入される部品であること
    2. タイの輸入者が自動車製造会社、または自動車部品企業であること
    3. タイの輸入者がタイ工業省工業経済局(The Office of Industrial Economics, Ministry of Industry: OIE)発行の輸入証明書を取得すること
    ただし、商品によってはMFN税率の方がJTEPAの協定税率よりも低い場合がありますので、事前に世界各国の関税率(World Tariff)にて確認ください。
  2. その他の諸税
    付加価値税(VAT)は7%です(課税基準はCIFまたはCIP価格+関税)。輸入者が輸入通関の際に関税と合わせて納めます。

II. その他に輸出者として留意すべき事項

  1. 取引書類の整備
    課税価格を評価するにあたり保険料や運送費を証する書類を輸入者から求められる場合があります。万一、輸入者が現地の税関の要求を期限内に満たせなかった場合は、保険料率を1%(一般的には平均0.25%)、運送費をFOB価格の10%と自動的に査定されます。
  2. HSコード
    EPAを活用する場合は日本原産とする原産地規則を満たすかどうかを確認する必要があります。輸出する自動車部品のHSコードを確認ください。輸入者あるいは輸入予定者がタイ財務省関税局(Custom Department)に輸入する商品のHSコードをあらかじめ確認できる聞くことができる事前教示制度も活用ください。なお、EPA協定の原産地規則や関税削減スケジュールを協定文で確認する場合は、現行の2017版HSコードではなく、協定締結時の2002年版HSコードですので、ご留意ください(HSコードは5年毎に改正されますので、HSコードが協定時と現行が異なる場合があります)。

関係機関

タイ財務省関税局外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)
タイ商務省外国貿易部外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)
タイ工業省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)

参考資料・情報

外務省:
日・タイ経済連携協定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

ジェトロ:
世界各国の関税率
貿易投資相談Q&A
EPAの原産品判定基準と特恵関税:タイ向け輸出
事前教示制度:タイ

調査時点:2015年7月
最終更新:2017年11月

記事番号: A-031104

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