事前教示制度:タイ
質問
タイに物品を輸出します。輸出する前に関税分類(HSコード)や関税率などが分かる制度について教えてください。
回答
通常、輸入国の税関は、物品の輸入申告を受けた際に関税分類番号(HSコード)を決定し関税などの課税率および課税額を申告者に通達します。
タイでは、物品の輸入申告よりも前の時点で、HSコードや関税率(関税額)などの開示を受けることができます。この制度を事前教示制度(Advance Tariff Ruling)といいます。
I. 事前教示制度の概要
タイ財務省関税局(Custom Department)では、輸入者あるいは輸入予定者が輸入する物品の関税分類番号(HSコード)を確認することができます[タイ税関庁長通知(Notification of the Customs Department)No.13/2553]。
タイ税関よりタイ語の書式で回答され、同国の全税関で回答日から2年間有効です。
ただし、輸入申告時に事前教示を受けていることを税関に提示することが必要ですので、ご注意ください。
II. 事前教示制度のメリット
HSコードは原則として輸入国が決定するため、例えば日本での輸出の際に申告するHSコードと輸入国の税関が判断するHSコードが違う場合があります。この場合、輸入関税等はHSコードによって税率が決まるため、輸出前に想定していた関税額と異なるケースもあります。
また、一般的には当該貨物の輸入時に適用される各種の規制や規定などもHSコードによって異なってきます。許認可が必要な物品の場合でも、事前に関税分類がわかれば必要書類の準備などの対応を進めやすくなるメリットがあります。
III. 利用するための手続き
- 申請者の要件
事業目的であることを除けば、特に要件はありません。輸入事業者、あるいはタイへ輸出を希望する事業者などが申請できます。 - 申請書類
なお、事前教示を希望する1品目につき1申請書を提出する必要があります。
- 申請書:
タイ関税局が指定する申請書(タイ語) - 品目分類番号・HSコードを決定するために必要な書類
- 商品名/ブランド(写真・サンプル・カタログ)
- 商品の特徴
- 商品の構成
- 生産方法、化学構造、商品が製造される製造工程、包装の説明、図画など
- 商品の用途、使用方法
- その他、関税品目分類に必要と思われる情報(以前輸入された類似商品の関税分類に関する情報など)
- 具体的な輸入計画を証明する書類
(例:発注書、契約書、インボイス、L/Cなど)
- 申請書:
- 申請手順
申請書類をタイ財務省関税局(バンコク本部)に提出します。
既に具体的な輸入計画を申請し、上記2.C項の書類を提出した場合には、受理されてから30営業日以内に回答が書面で出されます。それ以外の場合は60営業日以内に回答があります。
- その他の利用条件
- 必要書類が不足している場合
関税局が受理し、必要な書類が不足していると判断された場合には、関税局から郵便書留で資料の提出などが求められます。申請者は資料の追加提出が求められた日から15日以内に該当する資料を関税局に提出する必要があります。
ただし、期限内の再提出が難しい場合、期限延長を希望する理由と書類提出可能日を明記した書類を提出することにより、再提出期限を延長することが可能です。
- 既に審査された品目などの場合
関税局にすでに提出されている、もしくは審査中である品目と同一の品目については事前教示制度を受けることはできません。関税局が申請を受理した後、これらに該当している品目であることが分かった場合には、その申請は取り消されます。また、回答後1年以内の有効期限であっても、新たな法令・規定が定められた場合は、回答有効期限に関わらず、新たな法令・規定が優先されます。
- 必要書類が不足している場合
関係機関
参考情報
タイ財務省関税局:
事前教示
ジェトロ貿易投資相談Q&A
「輸入通関手続きおよび留意点:タイ」
調査時点:2015年8月
最終更新:2017年11月
記事番号:W-150806
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