化粧品の現地輸入規則および留意点:米国向け輸出

米国に化粧品を輸出します。現地での輸入規制および輸出者として留意すべき事項を教えてください。

米国の連邦食品・医薬品・化粧品法では、化粧品(Cosmetic)は「人の体に塗る、馴染ませる、スプレーする等により、体をきれいに美しくし、魅力を高め、または外見を変えるためのもの」と定義されます。(「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act: FDCA)」)。保湿剤やシャンプーのほか、練り歯磨き粉も化粧品に分類されます。なお、同法の医薬品(Drug)の定義にも該当する化粧品(日焼け防止剤など医薬品の効能を持つもの)は、化粧品および医薬品両方の規制の対象となります。

I. 関税分類番号(HSコード)

化粧品(HSコード3301〜3307)
化粧品の多くは無税ですが、品目によって約2〜6%の関税がかかります。税関使用料や港湾維持料なども徴収されます。

II. 輸入手続き

  1. 輸入業者は自動積荷目録システム(Automated Manifest System: AMS)を通じて輸入申告書(entry notice)と通関保証(entry bond)を米国税関国境警備局(Customs and Border Protection)に提出します。
  2. AMSは、入力された情報を米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)の食品輸入管理システム(Operational and Administrative System for Import Support: OASIS)に自動的に送ります。
  3. FDAはこれらのデータにもとづき、現物検査の必要の有無を決定します。検査が必要な場合、FDAはサンプルを各規定に照らして検査し、問題なければ販売できます。

通関業者または輸入業者は、OASISの申告内容についてのFDAの監査を受けることがあります。これは申告者評価プログラム(Filer Evaluation Program)と呼ばれるものです。評価基準は公開されていませんが、申告内容の記述に誤りが多いと、電子申告ができなくなる恐れがあります。FDAは記入に関する正しい知識を習得するためのトレーニングをウェブサイトで提供しています。詳細は文末のウェブサイトを参照ください。

III. 販売手続き

市場流通前にFDAへの適切な通知・登録、またはFDAからの販売許可の取得は必要ありません(医薬品・着色料を除く)。ただし、FDAは市場流通後に化粧品自主登録プログラム(Voluntary Cosmetic Registration Program: VCRP)に自主登録することを推奨しています。VCRPは、米国内で流通する化粧品を対象にしたFDA管理下の報告システムで、美容院やスパ、美容クリニックなどで使用される業務用商品、ホテル用サンプル商品や自家製品として友人などに販売する個人商品は対象外です。概略は以下のとおりです。詳細は文末の「化粧品自主登録プログラム」を参照ください。

  1. 米国で流通する化粧品を扱う製造業者および梱包業者は、会社名、業種、住所、連絡先、その他使用している名称等、企業情報を登録します。登録には化粧品企業登録フォーム(Registration of Cosmetic Product Establishment、FDAフォーム2511)を使用します。なお、販売業者は対象外です。
  2. 製造業者、梱包業者、販売業者がそれぞれ化粧品原材料明細票(Cosmetic Product Ingredient Statement、FDA フォーム2512)を提出することが推奨されています。

これらの登録はオンライン、紙ベースの両方で行うことができます。

IV. 化粧品関連の規制

  1. 規制関係機関
    FDAが管轄し、その傘下機関の食品安全・応用栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition: CFSAN)と規制問題事務局(Office of Regulatory Affairs: ORA)を中心に化粧品に関する規制を定めています。
  2. 化粧品の成分規制
    安全性の面からクロロホルム、塩化ビニル、ビチオノール、クロロフルオロカーボンプロペラント、ハロゲン化サリチルアニリド、塩化メチレン、ジルコニウム含有複合体の7成分に加え、ウシ(畜牛)由来の原料も配合が禁止されています。
    また、ヘキサクロロフェン、水銀化合物、日焼け防止剤の3成分は配合が制限されています。日焼け防止剤の配合制限は医薬品としての規制に抵触する可能性があるためです。配合目的が日焼け防止ではなく、例えば製品の変色防止のためであれば使用できます。ただし、その目的をラベルに記載する必要があります。
    配合禁止成分および配合制限成分以外の成分については、企業の責任で制限なく使用できます。
    化粧品に使用されるすべての着色料は、FDAの承認が必要です。また、主に石油を原料とする着色料はFDAの承認のほかに、色ごとの検査も必要です。詳細は文末の参考資料・情報「化粧品の成分に関する情報」、「使用可能な着色料一覧」を参照ください。
  3. 表示、ラベル
    FDAは、商品表示は商品の外箱と本体の容器両方に印刷するべきと定めています。表示規格については、「連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act: FDCA)」および「公正包装ラベル表示法(Fair Packaging and Labeling Act)」の規定に準ずる必要があります。また、化粧品に「FDA承認済み」と記載することは誤解を招くとして禁止されています。標準表記言語は英語ですが、プエルトリコなど米国領土であって英語以外の言語が主言語である地域については、その言語を使用できます。医薬品の効能を持つ化粧品は、医薬品と化粧品と両方の規則に従う必要があります。詳細は文末の「ラベルに関する情報」を参照ください。

V. その他輸出時の注意事項

日本国内で流通している製品をそのまま輸出する場合は、医薬品医療機器等法上の規制や特別の手続きなしに、誰でも輸出できます。米国向けに製造したもの(国内流通品の容器・外箱のデザインや表示言語を米国向けに変更したものを含む)を輸出する場合は、化粧品製造業者(またはその製造業者から輸出用化粧品を購入した化粧品製造販売業者)でなければ輸出できません。また、輸出用化粧品を製造する化粧品製造業者は、製造開始前に、輸出用化粧品についての「輸出化粧品製造届書」を厚生労働大臣に届出しなければなりません。

関係機関

食品医薬品局(FDA)化粧品部門外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品安全・応用栄養センター(CFSAN)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
規制問題事務局(ORA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

関係法令

米国連邦食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act: FDCA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公正包装ラベル表示法(Fair Packaging and Labeling Act)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ラベル表示に関する情報 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

参考資料・情報

CFフォーム3461(輸入申告書)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
CFフォーム301(entry bond)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
化粧品自主登録プログラム(Voluntary Cosmetic Registration Program、VCRP)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA フォーム 2511(化粧品製品設立登録フォーム)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
FDA フォーム 2512(化粧品原材料明細票) 外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
化粧品の成分に関する情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
使用可能な着色料一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
米国関税率表(United States Harmonized Tariff Schedule)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
『化粧品を輸出する際の注意事項: 日本』

作成日:2013年11月
更新日:2017年7月

記事番号: A-030105

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