米FDA、化粧品現代化規制法(MoCRA)施行に向けパブコメ募集

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月25日

米国食品医薬品局(FDA)は化粧品現代化規制法(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022:MoCRA)の2023年12月施行開始に向け、化粧品業界向けのガイドライン案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを示した。FDAは9月7日までパブリックコメントを募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

MoCRAは、ジョー・バイデン大統領が2022年12月に署名した2023年度歳出法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の一部として成立した。FDAは同法について、1938年成立の連邦食品医薬品化粧品(FD&C)法以降最も規制権限を拡大し、化粧品(注1)の安全性の確保に寄与するものと説明している。

MoCRAは、米国で流通する化粧品の製造または加工に従事する施設の所有者または運営者を対象としており、小売事業者、美容サロン、研究目的で製造する施設、包装のみを行う施設などは規制の対象外となっている。

MoCRAによって、新しく定めた義務は以下のとおり。

(1)有害事象(死亡、命を脅かすような危険、入院、重篤障害など)が発生した場合の報告

(2)施設の登録(2年おきに更新)

化粧品が有害事象を引き起こす可能性が高い場合には、登録の停止処分がなされ、登録停止の場合には、当該施設が製造した化粧品の流通・販売はできなくなる。

(3)製品(成分を含む)のリストアップ(毎年更新)

製品カテゴリーに関する詳細は、今回示されたガイドライン案に示されている。

(4)製品の安全性の立証(科学的に確実な方法に基づく安全性を裏付ける記録の確保・維持)

また、事業者は以下の規制も順守する必要がある。

  1. 化粧品の製造施設での適正な製造規範(GMP、注2)
  2. 香料アレルゲンの表示義務
  3. タルク含有化粧品に含まれるアスベストを検出・特定するための標準試験方法

上記のうち、施設の登録と製品のリストアップに関しては、米国での過去3年の平均売りげ上が100万ドル未満で、FD&C法第612条(b)に記されている事業(注3)に携わらない場合、中小企業として免除される。

そのほか、MoCRAはFDAに対して、(1)化粧品に関する特定記録へのアクセスと複写の権限、(2)不良品または不当表示のために健康被害や死亡が発生する可能性が高いと判断したものの、企業責任者が自主的なリコールを拒否した場合に、強制リコールを命じる権限を新たに付与している。

また、2023年度歳出法は、保健福祉長官に対し、化粧品製造に使用されるPFAS物質のパーフルオロアルキルとポリフルオロアルキル(2023年3月15日記事参照)を評価し、安全性と危険性に関する報告書を科学的証拠に基づき作成し、必要に応じて国立毒性研究センターと協議しながら、同法施行後3年以内にFDAのウェブサイト上で発表するよう求めている。

(注1)メークアップ用品、マニキュア、ひげそりクリーム、男性用ヘアケア、香水、洗顔料、ボディーソープ、ヘアケア用品、保湿クリームなど

(注2)詳細は公聴会の記録外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます規範の草案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを確認。

(注3)(1)目の粘膜に頻繁に接触する化粧品、(2)注射器で注入される化粧品、(3)内服用の化粧品、(4)24時間以上にわたり外観を変化させることを目的とする化粧品で、消費者による除去が使用方法の条件に含まれないもの。

(吉田奈津絵)

(米国)

ビジネス短信 15e6870f81ff1dc1