自社倉庫を保税蔵置場とする手続き:日本

質問

自社倉庫を保税蔵置場とするには、どうしたらよいか教えてください。

回答

関税法42条に基づき当該倉庫の所在地を管轄する税関長宛てに申請して、保税蔵置場の許可を得ます。(II. 申請書手続き参照)

I. 保税蔵置場

外国貨物のまま(関税の支払いを留保したまま) 、次のa.からc.を行うことができる場所として、税関長が許可(関税法40、42条および49条)・公告する保税地域の一つで、「指定保税地域」(財務大臣が指定)の補完的役割を果たすものです。

  1. 外国貨物の積み卸し、運搬、または蔵置 (42条)
  2. 記帳することにより貨物の点検 、改装、仕分けおよび手入れなど (40、49条)
  3. 税関長の許可を受けて、見本の展示および簡単な加工など (40、49条)

貨物の陸揚げ、船積みおよび蔵置などを行う場合、本来的には指定保税地域を利用するのが最も有利ですが、すべての貨物を指定保税地域で扱うことは困難です。なぜならば指定保税地域の場合は、ほとんどが公共的施設で臨港地帯に設けられ、蔵置期間も1カ月と短く、貨物の種類を指定されてしまうことがあるためです。そこで、上記のa.からc.の機能を持つ民間の施設も保税蔵置場として活用し、外国貿易の円滑な運営を確保しようとする目的でこの措置が設けられました。保税蔵置場では、長期蔵置としては、最初に承認を受けた日から2年間(別の保税蔵置場にも置かれていた場合には、その間の期間も併せて、最初の承認から2年間)です。承認の必要のない一時蔵置の場合には3カ月間蔵置できます。いずれも延長可能です。

II. 申請手続き

次の事項を記載した申請書を、自社倉庫(当該蔵置場候補)のある地域を管轄する税関長に提出します。

  1. 当該蔵置場(倉庫)の名称、所在地、構造、棟数および延面積
  2. 当該蔵置場(倉庫)に置こうとする貨物の種類
  3. 許可を受けようとする期間(10年以内:42条2項)

上記申請書に、倉庫付近の地図や、「申請者の信用状況を証するに足りる書類」「保税蔵置場としての利用の見込み書」「営業貨物の保管規則および保管料率表」など所定の書類を添付します。ただし、税関長は申請者の信用状況が確実である事その他の事由により添付資料が必要無いと認めたときには添付資料を省略させることが出来ます。(関税法施行令35条)

なお、保税蔵置場としては、倉庫など一般の建設物のほか、野積場、貯木場水域など露天の施設についても許可を受けることができます。税関長は、許可に際しては、不当な義務でなければ条件を付すことができます。また、許可期間の更新(最長10年)が認められます。ただし、申請者は関税法43条規定の欠格条項等に該当しないことが許可の要件です。また、許可取得後、47条1項に規定の要件(許可の失効)に該当した時は許可が失効します。

また、保税蔵置場の許可を受けた者で、当該保税蔵置場の貨物の収容能力を増加、または減少、あるいはその改築、移転その他工事をしようとするときは、あらかじめ税関に届出なければなりません(44条1項)。

III. 届出による保税蔵置場 (保税蔵置場の許可の特例)

保税蔵置場の許可を受けた者で、3年を経過し、セキュリティ管理と法令遵守(コンプライアンス)の体制を確立し、NACCS(参考資料・情報の項参照)を使用して適正かつ確実に業務処理を行っている等の要件を満たし、あらかじめ税関長の承認を受けた者(特例承認取得者=特定保税承認者)は、「位置又は設備が所定の基準に適合する場所であって、そこで外国貨物の蔵置など行おうとする場合」には、当該場所の管轄税関長に、その旨を届け出れば、保税蔵置場の許可を受けたものとみなされる特例(関税法50条、51条)があります。 8年ごとの更新となります(50条4項)。

関係機関

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関係法令

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参考資料・情報

税関:
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特定保税承認制度の概要及びメリット(カスタムスアンサー)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
NACCS:
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System, Inc.:NACCS)
ジェトロ:
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調査時点:2014年12月
最終更新:2019年10月

記事番号: A-011250

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