炭素繊維を輸出する際の規制:日本

炭素繊維(植物性、炭化繊維)を日本から米国に輸出する際の、輸出規制について教えてください。

炭素繊維はフィラメント、チョップドファイバー、織物、金属被覆繊維、プリプレグなどに分かれ、航空宇宙、スポーツ、産業資材分野などに広く使用されています。
当該製品や当該製品を原料として使用した製品を輸出する際は、下記規制に該当する場合がありますのでご注意ください。


わが国は、安全保障上の国際的合意により成立したワッセナー・アレンジメント等に基づき、武器および主要供給国間で合意した軍事用途にも転用可能な高度技術汎用品について輸出管理を実施しています。
輸出規制はリスト規制、大量破壊兵器キャッチオール規制、および通常兵器キャッチオール規制に分かれます。


I. リスト規制
リスト規制の対象品目は武器、大量破壊兵器関連汎用品(核兵器、化学兵器、生物兵器、ミサイル関連貨物)および通常兵器関連汎用品です。炭素繊維は輸出貿易管理令(輸出令)別表第1および外国為替令別表の規定に基づき貨物または技術を定める省令(貨物令)(経済産業省令第49号)の、原子力、先端素材等の項目に含まれ、要輸出許可品目になっています。
例えば、先端素材の項目をみると、その比弾性率が1,465万メートルを超えるもの、および比強度が26万8,200メートルを超える炭素繊維は輸出管理の対象となり、その輸出に際しては、外国為替および外国貿易法第48条第1項に基づく経済産業大臣の許可の取得が必要です。
炭素繊維を使用したその他のプリプレグ、複合材料および成型品なども規制の対象になるものがあります。
なお、2010年4月1日から炭素繊維についてスペック基準を緩和しました。規制対象となる条件を緩和し、また、成型品や繊維、プリプレグについて一部の対象を規制対象から除外する規定が通達に追加されています(貨物等省令第4条第15号、運用通達5の項参照)。

II. 大量破壊兵器キャッチオール規制
リスト規制品目以外のものであっても、その品目が大量破壊兵器の開発等に用いられるおそれがある場合は輸出許可を義務付ける制度で、食料品等一部を除く全品目(輸出令別表第1、16項参照)に適用されます。規制対象地域は「輸出令別表第3に掲げる27カ国(「ホワイト国」)以外の国(「非ホワイト国」)」です。
炭素繊維(リスト規制に該当するものを除く)はHSコードが輸出令別表第1、16項に該当するので規制に該当しますが、輸出先が米国(ホワイト国)であれば非該当、輸出先がブラジル(非ホワイト国)であれば該当となります。以下の要件に該当する場合は、経済産業大臣の輸出許可が必要となります。
1. インフォーム要件
当該貨物が大量破壊兵器の開発等(または軍事用途)に使用されるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知を受けたとき。
2. 客観要件
契約書の記載事項等や貨物の輸入者および貨物の需要者による輸出者への連絡等の客観的な事実に基づき、用途確認と需要者確認を行った結果、大量破壊兵器の開発等(または軍事用途)に使用されるおそれがあるとして輸出者が判断した場合。

III. 通常兵器キャッチオール規制
1. 非ホワイト国(国連武器禁輸国・地域を除く)向け輸出
規制対象は「輸出令別表第1、16項(1)に掲げられる32品目(主としてリスト品目のスペックダウン品)」で、リスト品目以外に特に通常兵器の開発等に用いられる危険性の高い品目として規制されるもので、インフォーム要件を規制の発動要件としています。炭素繊維(リスト規制に該当するものを除く)は上記32品目に入っていますので、インフォーム要件に該当した場合は経済産業大臣の輸出許可が必要となります。
2. 国連武器禁輸国向け輸出
非ホワイト国のうち国連武器禁輸国・地域(「輸出令別表第3の2」の地域)については大量破壊兵器キャッチオール規制と同様の広範囲の貨物(輸出令別表第1、16項参照)を規制対象とし、インフォーム要件および客観要件(用途確認のみ)を規制の発動要件としています。炭素繊維(リスト規制に該当するものを除く)は規制対象となっており、インフォーム要件または客観要件に該当した場合は経済産業大臣の輸出許可が必要となります。

IV. 積替規制
仮に陸揚げした貨物について、輸出令別表第1、16の項に該当する貨物のうち、日本以外の地域を仕向地とする船荷証券により運送されたものが、大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある場合は、経済産業大臣の許可が必要です。「ホワイト国」を除く、全ての国・地域が規制の対象となります。炭素繊維(リスト規制に該当するものを除く)は規制対象となっています。


V. 仲介貿易取引規制
輸出令別表第1、16項に該当する貨物であって、大量破壊兵器等の開発等のために用いられるおそれがある貨物の移動を伴う外国相互間の売買、貸借、贈与を行うときは、経済産業大臣の許可が必要です。「ホワイト国」を除く、全ての国・地域が規制の対象となります。炭素繊維(リスト規制に該当するものを除く)は規制対象となっています。


VI. 輸出者等順守基準
安全保障貿易管理の執行強化のため、経済産業大臣の定めた「輸出者等遵守基準」が導入されました(2010年4月1日施行)。リスト規制品等、安全保障上機微な(sensitive)貨物の輸入や技術の提供等を反復継続して行う者は、この基準にしたがい社内体制を整備し、適正な貿易管理を行わねばなりません。下記ジェトロ貿易・投資相談Q&A「 安全保障貿易管理とコンプライアンス・プログラム(CP) 」をご参照ください。


VII. 輸出許可申請窓口
上記I.に対する許可申請窓口は各地経済産業局です。 II.からV.に対する許可申請窓口は経済産業省貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課です。輸出許可申請には個別許可申請と包括許可申請があります。
輸出許可申請等の詳細については、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課にご相談ください。


関係機関
経済産業省貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課
(財)安全保障貿易情報センター

関係法令
外国為替および外国貿易法
輸出貿易管理令
外国為替令


参考資料・情報
安全保障貿易管理関連貨物・技術リスト及び関係法令集(改訂第17版)(発行者:日本機械輸出組合他)
ジェトロ:
貿易・投資相談Q&A「 安全保障貿易管理とコンプライアンス・プログラム(CP)


調査時点:2012/09

記事番号: A-010116

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