外資に関する奨励

最終更新日:2023年05月25日

奨励業種

外国投資誘致保護法(FIPPA、以下「新投資法」)および施行法により、法的保護の対象となる投資形態と業種が規定される。またFTZ内は、FTZ関連法によって投資業種が規定される。

各種優遇措置

新投資法(FIPPA)および施行法における優遇措置、税制面での優遇措置

新投資法および施行法における優遇措置

  1. 新投資法に基づき、外国投資は国内投資と同等に扱われ、すべての権利・保護・便宜の享受を保証される。〔第8条〕
  2. 外国投資は、イランの国益に反しない限り、接収されたり、国有化されることはない。仮に接収されたり国有化される場合でも、法的な手続きと公平な方法により、接収直前に実際の投資価値に基づいて適切な弁済額が支払われる。〔第9条〕
  3. 投資譲渡の規定〔第10条〕
    経済財務大臣の確認、および外国投資委員会の承認に基づき、外国資本の一部または全部を、国内投資家または他の外国投資家に譲渡することは認められる。
    他の外国投資家に譲渡する場合、新投資法の見地から、元の投資家と同等の条件を持つ者でなければならない。
  4. 外資に適用される為替換算レートは、イラン国内使用の公式レート(2002年3月から単一化)、あるいは中央銀行による市場レートが適用される。〔第12条〕
  5. 外国資本元金・金利・資本の一部を海外送金・譲渡する場合、外国投資委員会にその旨告知し、法律で規定された費用を差し引いた後、外国投資委員会および経済財務大臣の承認をもって実施できる。〔第13条〕
  6. 外資による利益の海外送金は、公租課税および法律に規定された費用を差し引いた後、外国投資委員会および経済財務大臣の承認をもって可能となる。〔第14条〕
  7. 外資の融資によって取得された設備の費用および関連費の返済、特許・技術ノウハウ・商標使用料等に関して外資に支払われた費用については、外国投資委員会および経済財務大臣の承認をもって外国への送金が可能となる。〔第15条〕

税制面での優遇措置

イラン直接税法(Direct Taxes Act)における免税条項〔第4巻 諸条件 第132条~第146条〕

  1. 鉱工業・病院・ホテルに対する免税条項〔第132条〕
    直接税法132条は鉱工業に対する免税条項を規定しているが、2016年3月21日に施行された競争力のある生産に向けて障害を除去し金融システムを促進する法律(The Law for Removing Obstacles to Competitive Production and Promoting the Country’s Financial System;以下、障害除去法)に差し替えられた。
    1. 内容
      1. 事業開始後、法人税が5年間免除される。
      2. 未開発地域での事業開始後、法人税が10年間免除される。
      3. 経済特区または工業の場合はさらに2年間、未開発地域の経済特区または工業団地の場合はさらに3年間、免税期間が延長される。
    2. 適用条件:次の表のとおり。

      なお、病院・ホテルに関しては、適用対象外地域はない。またIT分野については、関係省庁および科学技術担当副大統領の確認により、適用対象外地域への立地でも免税措置が適用される。

      第132条・免税条項の適用条件(○:適用、×:適用対象外)
      対象地域 特別経済区・工業団地への立地 その他への立地
      テヘラン中心部から120km圏内 × ×
      テヘラン中心部から120km圏外
      イスファハン中心部から50km圏内 ×
      イスファハン中心部から50km圏外
      州都中心部から30km圏内 ×
      州都中心部から30km圏外
      30万人口都市中心部から30km圏内 ×
      30万人口都市中心部から30km圏外
  2. 一部の産業等に対する免税条項〔第133条〕
    僻地、部族、農業、漁業の労働従事者、大学等教育機関の学生、協同組合等については、所得の100%が免税される。
  3. 非営利の教育機関等の免税〔第134条〕
  4. 保険公社から支払われた生命保険金の免税〔第136条〕
  5. 医療費の控除〔第137条〕
  6. 鉱工業企業に対する免税条項〔第138条〕
    利益を還元し、事業を拡張・改修・新設した場合、利益の50%については免税措置が取られる。
  7. 各公共施設等への免税規定〔第139条〕
  8. 輸出により生じた所得に対する免税条項〔第141条〕
    完成工業製品および農業製品の輸出により生じた所得に対しては、100%免税となる。
    非石油輸出を促進するその他の製品輸出により生じた所得に対しては、50%免税
  9. 手織り絨毯およびハンディー・クラフト関連の協同組合に対しては、免税〔第142条〕
  10. 証券取引に関する新投資法改定前の規定との整合性を保つための免税措置〔第143条〕
  11. 結納および持参金の動産および不動産、科学的な功績等により得られた所得に対しては、10年間免税〔第144条〕
  12. イラン国営銀行の従業員に対する免税措置〔第145条〕
  13. 新投資法への改定以前における免税適用の継続〔第146条〕

イラン国税庁:直接税法(Full-Text of Direct Taxes Act外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
イラン国税庁:障害除去法の税関連の規程(Tax-related provisions of the Law for Removing Obstacles to Competitive Production and Promoting the Country's Financial System外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

FTZ内における優遇措置

  1. 投資形態:資本(金融、機械・設備・原料、工業所有権、インフラ設備等)
  2. 投資業種:FTZ域内のすべての経済活動
  3. 外資の出資比率:100%可能
  4. 外国人の雇用:FTZ庁の許可のみ必要
  5. 現地人の雇用義務:雇用者全体の90%以上
  6. 手続き:FTZ庁内のみの申請
  7. FTZ関連法における優遇措置
    1. 新規投資の場合、法人税・所得税を少なくとも15年間は免除する。
    2. FTZ域内への輸入関税と商業利益税を免除する。
    3. 外国金融機関のFTZ域内での営業を許可する。

その他

特になし。