日本からの輸出に関する制度 ペットフードの輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義するペットフードのHSコード

HSコード2309.10:犬用または猫用の飼料(小売用にしたものに限る)
HSコード2309.90:その他のもの

台湾の輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年10月

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、台湾当局は、日本で出荷制限措置がとられている品目および5県の一部品目に対し、輸入停止措置を講じています。
また、輸入可能な食品について、産地証明書の添付、一部の都県の一部食品について、放射性物質検査報告書の添付を求めています。

放射性物質検査報告書および産地証明書を要求する品目
  • 酒類を除くすべての食品:福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県
  • キノコ類:岩手県、宮城県、山梨県、静岡県
  • 水産物:岩手県、宮城県
  • 乳幼児用食品・乳製品:宮城県、埼玉県、東京都
  • 茶類:静岡県
産地証明書を要求する品目
酒類を除くすべての食品:47都道府県
輸入停止品目
  • 野生鳥獣肉、キノコ類、コシアブラ:福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県
  • 日本で原子力災害対策特別措置法に基づいて出荷制限措置が取られている品目:日本で品目ごとに出荷制限措置が取られている区域
台湾側の水際検査
福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県産品(酒類を除く)については、全ロット水際検査が実施されます。また前述5県以外の42都道府県の野菜・果実、水産物、海藻類、乳製品、飲料水、乳幼児用食品、茶葉は水際検査結果等に応じて検査頻度を調整すると台湾は発表しています。詳しくは、関連リンクの農林水産省「台湾の輸入規制措置の概要(令和4年2月21日以降)」を参照してください。

動物検疫上の規制

偶蹄類または家きん類動物の成分を含むペットフードについては、農業部動植物防疫檢疫署から製造工場の認定を受ける必要があり、調査時点で日本のペットフード製造工場9社(所在地別では、福岡県の2社、兵庫県の2社、静岡県の1社、青森県の1社、北海道の1社、富山県の2社)に対して、輸入許可が発行されています。

福島県、茨城県、栃木県、群馬県および千葉県から輸出するペットフードについては、安全性を確認するために農業部が放射性物質検査を行います。詳細は「ペットフード業者申告弁法」を参照してください。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

偶蹄類または家禽類動物の成分を含むペットフードに関しては、「犬猫食品の輸入検疫条件」に基づき、台湾側から製造工場の認定を受ける必要があります。認定を受けるためには、申請書を農業部動植物防疫檢疫署に提出する必要があり、申請書や書類のやりとりは、日本の農林水産省消費・安全局動物衛生課を通じて実施しています。同輸入検疫条件の内容を確認のうえ、製造工場の認定を希望する場合は動物衛生課まで問い合わせてください。

また、日本からペットフードを輸出する際には、日本の動物検疫所が発行する動物検疫証明書の添付が必要です。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年10月

日本からペットフードを輸出する場合は、動物検疫所で動物検疫を受け、動物検疫証明書を入手する必要があります。動物検疫所が発行する動物検疫証明書を添付のうえ、到着地の台湾の農業部動植物防疫檢疫署に提出しなければなりません。
ただし、動物性原料を含まない場合は適用外となります。詳細は関連リンクの「動物検疫が必要な品目リスト」を参照してください。

また、「動物検疫が必要な品目リスト」において、台湾政府の農業部が「動物検疫が必要な品目リストの一部規定を修正」の公告(2023年8月30日以降の実施)を行いました。詳細については、「動物検疫が必要な品目リストの一部規定を修正」を参照してください。

台湾の製品関連の規制

1. 製品規格

調査時点:2023年10月

「動物保護法」により、ペットフードとは、中央管轄機関が定めた愛玩動物に対して、栄養バランスの取れた食事に使われる飼料または物質を指します。

関連リンク

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年10月

ペットフードは、残留農薬規制の対象となります。
台湾では使用される農薬についてポジティブリスト制を採用しており、「ペットフード病原微生物と有害物質の種類および安全許容基準」第6条において、次のとおり使用が認められている農薬の最大残留基準値(MRL)が示されています。この基準にない農薬が検出されてはいけません。

農薬の最大残留基準値
農薬名称 最大残留基準値(MRL)
アルドリンおよびディルドリン
(Aldrin and Dieldrin)
0.01ppm
ベンゼンヘキサクロリド
(BHC)
0.01ppm
ジクロロジフェニルトリクロロエタン
(DDT)
0.1ppm
エンドリン
(Endrin)
0.01ppm
ヘプタクロル
(Heptachlor)
0.01ppm

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年10月

ペットフードは、重金属および汚染物質規制の対象となります。
動物保護法により「ペットフード病原微生物と有害物質の種類および安全許容基準」で規定がある、病原微生物、重金属および有害物質は次のとおりです。詳細は同基準を参照してください。

検出されてはならない病原微生物は次のとおり。

  • サルモネラ菌(Salmonella)
  • リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)
  • 病原大腸菌(Pathogenic Escherichia coli)
  • ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)

重金属および有害物質の最大含有量は次のとおりです。

重金属および有害物質の最大含有量
重金属および有害物質 最大含有量
ヒ素 水産動物類、海藻類を含むものは無機ヒ素2ppm、総ヒ素10ppm(12%水分含有換算)。それにあてはまらないものは総ヒ素2ppm
カドミウム 2ppm
5ppm
水銀 0.4ppm
アフラトキシン 20ppm
メラミン 2.5ppm
プロピレングリコール 猫用飼料に検出されてはならない
セシウム134およびセシウム137(Cs-134 + Cs-137)の合計 600Bq/kg

4. 食品添加物

調査時点:2023年10月

「ペットフード病原微生物と有害物質の種類および安全許容基準」において、添加物の品目名、使用範囲・用途、使用限度が定められています。この規格にない食品添加物の使用は許可されていません。

保存剤および抗酸化剤の最大含有量は次のとおり:

  • エトキシキン(Ethoxyquin)、ジブチルヒドロキシトルエン(Butylated hydroxytol-uene, BHT)およびブチルヒドロキシアニソール(Butylated hydroxyanisole, BHA)は合計で150 ppmを超えてはならず、エトキシキン単独で75 ppmを超えてはならない。
  • 亜硝酸ナトリウム(Sodium nitrite):100 ppm

5. 製品包装(製品容器の品質または基準)

調査時点:2023年10月

ペットフードの容器・包装に関しては、「動物保護法」第22-5条で次に該当する容器・包装の製造、販売、輸出入が禁止されています。

  1. 有毒物質を有するもの
  2. 健康を害する化学反応を起こしうるもの
  3. その他、健康被害を生じうるもの

また、リサイクル可能な容器・包装には、「廃棄物処理法」で規定された方法で、リサイクルマークの表示が必要です。プラスチック容器については7種類のプラスチックリサイクルマークが定められており、その材質に応じた表示が求められます。

台湾の環境部は2022年4月29日に、2023年7月1日からポリ塩化ビニル(PVC)を含む食品包装材の製造、輸入、販売を禁止すると発表しています。PVC商品による汚染を削減させるため、廃棄物清理法第21条に基づきPVCを含むフラット包装材、公告された回収容器および非フラット類の使い捨て食器の製造、輸入および販売することを禁止すると制定しています。
2023年7月1日からは、それ以前に製造、輸入されたPVC製品を除き、食品、ペットフード、飼料、乳製品、調味料、食用酢、食塩、食用油脂、飲料、包装飲料水、酒類、薬用酒、アミノ酸、内服液の総合ビタミン剤・サプリメントなどに使用されるPVC製のトレー、容器、使い捨て食器などの製造、輸入、販売が禁止となります。

6. ラベル表示

調査時点:2023年10月

ペットフード(飼料)のラベル表示は、「動物保護法」に規定されており、次の項目を中国語(繁体字)で表示することが求められます。

表示項目
  1. 商品名
  2. 正味重量・容量・数量。法定の計量単位で表示し、必要に応じてほかの単位を注釈することができます。
  3. 主要原料と添加物の名称
  4. 栄養成分とその含有量
  5. 企業名(製造者、加工者)、住所、電話番号、輸入業者の場合、責任ある台湾内企業の名称・電話番号、住所、原産地を注釈すること
  6. 有効期限(expiration date)または製造年月日
  7. 保存期限(shelf life)、保存方法、保存条件
  8. 適用ペットの種類およびその種類に応じた与え方・その他の注意事項
  9. (台湾の)中央政府所轄官庁によって指定されたその他の表示事項

ペットフードの表示、広告、または宣伝には、虚偽、誇張、または誤解を招く可能性のある情報は含まれていてはなりません。
ペットフードの容器や包装が次のいずれかの状況に該当する場合、製造、販売、輸入、輸出、または使用してはいけません:

  • 有毒である場合。
  • 有害な化学反応を引き起こしやすい場合。
  • その他、健康に害を及ぼす可能性のある場合。

関連リンク

関係省庁
農業部(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
動物保護法(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
ペットフード表示説明(行政院農業委員会ペットフード申請ネット)(中国語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
公告欄、QA 專区の2023-08-30 寵物食品標示說明をクリックするとご覧いただけます。

7. その他

調査時点:2023年10月

台湾で販売するペットフードは、「飼料管理法」と「動物保護法」で定められた食品衛生・安全性基準に合致しなければなりません。輸入品についても同様です。加えて、輸入品は「輸入飼料検査作業要領」と「飼料あるいは飼料添加物の製造および輸入許可弁法」で定められた衛生・安全性基準を順守する必要があります。

台湾での輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

台湾にペットフードを輸入するにはペットフード取り扱い業者としての登録が必要です。「ペットフード業者申告弁法」において、登録は該当の機関である農業部もしくは農業部漁業署(水産物配合飼料の場合)に申請します。登録後、輸入が可能になります。

福島県、茨城県、栃木県、群馬県および千葉県から輸入する場合は、商品が台湾に到着する10日前までにさらなる詳細な情報が求められます。詳細は「ペットフード業者申告弁法」を参照してください。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年10月

ペットフードの輸入には、商品が台湾に到着する15日前までに輸入港の税関に次の書類を提出する必要があります。

  • 農業部の非飼料あるいは飼料添加物の詳細品目証明書
  • 輸入検査申請書
  • 輸入製品の基本情報に関する申告用紙
  • 輸入申告書のコピー

また、輸入する商品に偶蹄類または家禽類動物の成分が含まれる場合は、日本の動物検疫所が発行する動物検疫証明書を輸入動物検疫申請書に添付して、動植物防疫検疫局(BAPHIQ)に提出しなければなりません。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年10月

台湾の輸入ペットフード(飼料)検査として、抽出された製品は現場検証およびサンプリング検査の対象になる可能性があります。

  • 一般サンプリング検査:抽出比率2~5%
  • 強化サンプリング検査:抽出比率20~50%

福島県、茨城県、栃木県、群馬県および千葉県からペットフードを輸入する場合は、ロットごとにサンプリング検査、特にセシウム(Cs134およびCs137)の放射性物質検査が行われます。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年10月

台湾でのペットフードの販売に特化した免許や登録はありません。

5. その他

調査時点:2023年10月

なし

台湾内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年10月

台湾に輸入されるペットフードは、関税の対象となります。

ペットフードの関税率
HSコード 商品名 税率(%)
2309.10 犬用または猫用の飼料(小売用にしたものに限る) 2
2309.90 その他のもの 0

2. その他の税

調査時点:2023年10月

台湾に輸入されるペットフードは、営業税(日本の消費税に相当)の対象となります。 営業税は付加価値税(Value Added Tax/VAT)方式で、CIF価格に関税を足した合計に5%の税率をかけて算出されます。輸入者は、売上税額(売上時に販売先から回収する仮受け営業税)と仕入税額(輸入時に税関に支払った仮払い営業税)とを相殺(仕入税額控除)し、その差額を税務署に納付することになります。

  • 営業税の計算式:(CIF価格+輸入関税)×5%

3. その他

調査時点:2023年10月

なし

その他

調査時点:2023年10月

なし