外資に関する奨励

最終更新日:2024年01月10日

奨励業種

2023年1月3日以降、改正された投資奨励制度が施行されている。
2022年以前の制度と同様、対象業種に応じた恩典に加えて、競争力向上に資する措置等に対する投資について追加的な恩典が付されている。

5カ年投資奨励戦略(2023~2027)

  1. 投資促進のビジョン
    [1]イノベーション、テクノロジー、創造性、[2]競争力と迅速な適応能力、[3]環境と社会の持続可能性を考慮に入れた包括性(inclusiveness)、という3つのコアコンセプトを中心に、国家経済を「新たな経済」に再構築するための投資を促進すること。
  2. 投資奨励の方針
    決定したビジョンによる目標を達成するため、投資奨励方針を次のとおりとする。
    1. 既存産業のアップグレードとタイの高ポテンシャル新産業の構築、サプライチェーンの総合強化
    2. 自動化、デジタル化、脱炭素化への投資を通じたグリーンでスマートな産業への移行の加速
    3. ビジネスセンターおよび地域の国際貿易と投資のゲートウエイとしてのタイの促進
    4. 中小企業とスタートアップの強化、グローバル市場とサプライチェーンへの連結の確保
    5. タイの各地域のポテンシャルに適合し包摂的な成長を可能にする投資の促進
    6. 地域・社会の発展を促進する投資の促進
    7. タイ企業のビジネスチャンス拡大のためのタイの海外投資促進

対象業種

2022年12月9日付布告に基づく(タイ投資委員会布告第9/2565)。
2024年1月時点で、タイ投資委員会(BOI)の投資奨励恩典に申請できる事業活動には10の区分による409業種がある(将来さらに追加される可能性がある)。業種ごとに付与される恩恵と、そのための条件が定められている。10の区分は次のとおり。

  1. 農業・食品・バイオ(52)
  2. 医療(17)
  3. 機械・車両(119)
  4. 電気・電子(58)
  5. 金属・素材(47)
  6. 化学・石油化学(36)
  7. 公共事業(21)
  8. デジタル(9)
  9. クリエイティブ産業(17)
  10. 高価値サービス(33)

タイ投資委員会(BOI):投資奨励対象業種表 "Eligible Activities外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます"

プロジェクト認可基準

  1. 農業、工業、サービス業の競争力開発の要件
    1. 収入の20%以上の付加価値をつけること。ただし、農業および食品、電子および部品事業、コイル・センター事業は、収入の10%以上の付加価値をつけること。
    2. タイ投資委員会の条件に従った、近代的な製造およびサービス提供工程であること
    3. 新しい機械の使用。ただし、タイ投資委員会の定める一定の要件を満たせば、輸入された中古機械の使用も可能。
      ※参考:ジェトロの記事「新投資奨励政策での中古機械の使用制限を緩和(2015年4月24日)
    4. 投資金額(土地代および運転資金を除く)1,000万バーツ以上のプロジェクトは、操業日より2年以内にISO9000またはISO14000その他相当する国際規格の取得。取得ができない場合は、法人税免除の恩典を1年間取り消される。
    5. コンセッション事業および民営化事業について、タイ投資委員会は1998年(仏暦2541年)5月26日および2004年(同2547年)11月30日の閣議に従った検討方針に基づくものとする。
  2. 環境保護
    1. 環境インパクト予防に充分かつ効率的なシステムを有すること。環境インパクトが発生するプロジェクトに関し、タイ投資委員会は、立地および公害処理について特別審議を行う。
    2. 環境影響評価報告書を提出しなければならない対象の種類や規模の事業活動は、関連する環境法規制や内閣の決議を遵守しなければならない。
    3. ラヨーン県に立地するプロジェクトは、2011年(仏暦2554年)5月2日付タイ投資委員会事務局布告第Por.1/2554号(件名:ラヨーン県地域における投資奨励方針)に従わなければならない。
  3. 最低投資金額およびプロジェクト可能性
    1. 最低投資金額(土地代および運転資金を除く)は100万バーツとする。ただし、本布告に添付した奨励対象事業表に定められた場合を除く。ナレッジベースのサービス業については、奨励対象事業表内で指定する年間人件費から最低投資金額を検討する。
    2. 新規プロジェクトの負債と登録資本金の比率は、3:1以内でなければならない。ただし、奨励対象事業表に定められた場合を除く。拡大プロジェクトについては、ケースバイケースで検討する。
    3. 投資金額が20億バーツ(土地代および運転資金を除く)を超えたプロジェクトは、タイ投資委員会が定めた様式で、プロジェクト可能性調査を提出しなければならない。
  4. 外国人の持ち株基準
    1. 1999年(仏暦2542年)外国人事業法の第1表に示される事業プロジェクトについては、タイ国籍者が登録資本金の51%以上を所有しなくてはならない。
    2. 同法の第2表、および第3表に示される事業におけるプロジェクトは、外国人が過半数または全株式の所有が可能。ただし、他の法律で、別に定められた場合を除く。
    3. 妥当な理由があれば、タイ投資委員会は、特定の奨励プロジェクトに限り、外国籍者の出資比率を定めることができる。

各種優遇措置

法人税の免除、機械・原材料輸入税免除など、業種により恩典が異なる。また、研究開発など、国または産業の競争力を向上させる投資を行った場合や、地域分散や産業地区開発を促進するために特定奨励地域や工業団地などに立地した場合は、追加的な恩典として、法人税減免期間の延長などの恩典がある。
申請者は、投資委員会が定めた条件を満たすと、さまざまな恩典を享受することができる。

恩典

  1. 税務上の恩典
    1. 機械類に対する輸入関税の免除/軽減(投資奨励法第28条、29条)
    2. 主要原材料に対する輸入関税の軽減(同第30条)
    3. 研究開発目的で輸入される物資に対する輸入関税の免除(同第30/1条)
    4. 奨励されている業種から生じる利益および利益配当に対する法人税の免除(同第31条、34条)
    5. 奨励されている高度技術・イノベーション分野から生じる利益および利益配当に対する法人税の免除(同第31/1条)
    6. 法人税の50%免除(同第35条(1))
    7. 輸送費、電気代、水道代の二重軽減(同第35条(2))
    8. 設備導入・建設費用の25%の追加軽減(同第35条(3))
    9. 輸出製品製造目的で輸入する主要原材料に対する輸入関税の免除(同第36条)税務上の恩典
  2. 税務外の恩典
    1. 外国人に対する投資機会調査目的での入国の許可(同第24条)
    2. 投資が奨励されている業種に従事するための熟練労働者および専門技術者の入国の許可(同第25条、26条)
    3. 土地所有の許可(同第27条)
    4. 外貨の海外送金の許可(同第37条)
  3. 恩典の形式
    タイ投資委員会は、業種に基づく恩典と、追加的な恩典に分類している。

業種に基づく恩典

活動の重要度に応じ、恩典を次の2グループとする。

グループA

法人税、機械、原材料に関する恩典および税務外の恩典の対象として、次の5グループに分けられる。

  1. グループA1+
    1. 上限なしで10~13年間法人税の免除
    2. 機械類に対する輸入関税を免除する。
    3. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は免除期間を延長可能。
    4. その他の税務外の恩典
  2. グループA1
    1. 上限なしで8年間法人税の免除
    2. 機械の輸入関税の免除
    3. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は免除期間を延長可能。
    4. 税務外の恩典
  3. グループA2
    1. 投資金額(土地代および運転資金を除く)の100%まで、8年間法人税を免除する。
    2. 機械の輸入関税の免除
    3. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は期間を延長可能。
    4. 税務外の恩典
  4. グループA3
    1. 投資金額(土地代および運転資金を除く)の100%まで、5年間法人税を免除する。
    2. 機械の輸入関税の免除
    3. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は免除期間を延長可能。
    4. 税務外の恩典
  5. グループA4
    1. 投資金額(土地代および運転資金を除く)の100%まで、3年間法人税を免除する。
    2. 機械の輸入関税の免除
    3. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は免除期間を延長可能。
    4. 税務外の恩典
グループB

機械、原材料に関する恩典および税務外の恩典の対象として、以下が付与される。

  1. 機械の輸入関税の免除
  2. 輸出向けの生産品に限り、必要な原材料および必要資材の輸入関税の1年間免除。ただし、必要に応じて、委員会は免除期間を延長可能。
  3. 税務外の恩典

追加的恩典

  1. 競争力向上措置
    タイ投資委員会布告第10/2565に基づき、競争力向上に資する措置を促進するために、次に掲げる投資・支出に対して追加的な恩典を付与する。
    1. 技術・イノベーション
      1. 研究開発(R&D)(自社および国内の第三者の起用によるもの、または、国外の機関との共同研究開発によるもの)
      2. タイ国内で開発された技術のライセンス料
      3. 製品・パッケージのデザイン(タイ投資委員会の承認に従い、自社および国内の第三者を起用するもの)
      4. 科学技術機関(教育機関、専門訓練センター、研究機関、公的機関等)に対する支援(タイ投資委員会が承認する各種基金を含む)
    2. 人材育成
      1. 高度技術訓練
      2. 科学技術分野での教育課程において職業訓練、スキル開発およびイノベーションを目的とした研修の実施(タイ投資委員会が承認する、職業統合的学習(Work-integrated Learning)、Dual Vocational Trainingまたは協同教育)
    3. 事業者のポテンシャルの開発
      1. タイ内資のサプライヤー開発

    これらの活動に関する追加恩典は、以下のとおりとなる。

    • 1.の活動に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の1%以上、または絶対額で2億バーツ以上となる場合、法人税免除期間を1年延長させる。
    • 1.の活動に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の2%以上、または絶対額で4億バーツ以上となる場合、法人税免除期間を2年延長させる。
    • 1.の活動に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の3%以上、または絶対額で6億バーツ以上となる場合、法人税免除期間を3年延長させる。
    • 1.の活動に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の4%以上、または絶対額で8億バーツ以上となる場合、法人税免除期間を4年延長させる。
    • 1.の活動に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の5%以上、または絶対額で10億バーツ以上となる場合、法人税免除期間を5年延長させる。

    A1およびA2の活動である場合、法人所得税免除期間は13年を超えない範囲で延長するものとする。

    追加恩典により追加的に免除される法人税額は、1.の活動に関する投資・支出額の200%相当額となる。ただし、研究開発(R&D)に関する投資・支出額が、最初の3年間における収入(売上)の1%以上、または絶対額で2億バーツ以上となる場合、上限なしとなる。
    また、タイ投資委員会布告第11/2565において、高等教育・科学・研究イノベーション省が承認した、科学、技術、工学および数学の分野における高スキル人材の育成を図った教育機関の設立について、設立関連の投資資金の100%を上限に5年間、法人所得税が免除され、機械の輸入税も免除される。

  2. 景気回復に向けた投資刺激策
    2023年1月3日から2023年の最終営業日までに申請が行われたグループA1、A2、A3およびA4事業については、投資奨励証の発行日から12カ月以内に10億バーツ以上の投資が行われること等の条件を充たす場合には、さらに5年間、法人所得税の50%の免除を受けることができる。
  3. 地方分散の促進のための追加恩典
    1人当たりの国民所得の低い20県(カーラシン、チャイヤプーム、ナコンパノム、ナーン、ブンカーン、ブリーラム、プレー、マハーサーラカーム、ムックダーハーン、メーホンソーン、ヤソートーン、ローイエット、シーサケート、サコンナコーン、サケオ、パッタルン、スリン、ノーンブワラムプー、ウボンラーチャターニー、アムナートチャルーン)に立地する場合は、次の恩典を追加付与する。
    • 法人税免除期間を3年追加する。グループA1またはA2は、法人税免除期間満了後、さらに5年法人税を50%減免することとする。
    • 運送費、電気代、水道代を奨励対象の収入発生日より10年間、当該費用の2倍の控除を認める。
    • 通常の減価償却以外に、純利益からインフラおよび建設投資費用の25%の控除を認める。収入発生日より10年以内であれば、どの年度から、また複数年度にまたがって控除してもよい。
  4. 産業地区開発の促進のための追加恩典
    工業団地または奨励される工業地区に立地する場合、法人税免除期間を1年追加する。なお、工業団地または奨励される工業地区に立地しなければならない条件のある事業を除く。
  5. 追加恩典による法人税の免税は、業種に基づく恩典等との合算で8年を超えないものとする。グループA1+の事業および別途規定されているその他の追加インセンティブはこの限りでないが、いずれにしても法人税の免税期間は13年を超えないものとする。

投資奨励法に基づくその他の恩典措置

生産効率の改善のための恩典

タイ投資委員会布告第15/2565によれば、生産効率を向上させるために、一定の条件の下、次の場合において、奨励期間中の機械の輸入関税を免除する。

  1. 既存のプロジェクトで、以下に関する生産性向上のための措置を含むもの
    1. 機械およびオートメーション
    2. デジタルテクノロジー
    3. 4.0産業
    4. エネルギー保存、再生可能エネルギーの利用および環境影響の軽減
    5. 国際基準による持続可能性
  2. グループBの新規事業で、以下に関する生産性向上のための措置を含むもの
    1. 生産工程またはサービス提供におけるオートメーションおよびロボティクス
    2. 4.0産業

特別経済開発区(SEZ)のための恩典

タイ投資委員会布告第19/2565号(件名:特別経済開発国境における投資促進政策)に基づき、国境地帯の特別経済開発区(以下「国境SEZ」と総称)における投資促進策が規定されている。

以下の各県で、特別経済開発区政策委員会が承認した地域が対象となる。
カンチャナブリー、チェンライ、トラート、ターク、ナコンパノム、ナラティワート、ムクダハン、ソンクラー、サケオ、ノーンカイ。

投資恩典の内容は次のとおり。

  1. 一般的な投資奨励事業の場合
    1. 法人税免除期間を3年追加する。ただし、最高8年とする。
    2. A1およびA2に該当する業種は、もともと8年の法人税免除期間が与えられているため、期間終了後さらに5年、法人税を50%減税する。
    3. 奨励事業による収入の発生日より10年間運送費、電気代、水道代の2倍の控除を可能とする。
    4. インフラの設置、建設に投資した金額に、通常の減価償却に25%加算した額の控除を可能とする。
    5. 機械の輸入関税を免除する。
    6. 輸出向け製造に必要な原材料および資材の輸入関税を5年間免除する。
    7. 税務外の恩典
  2. タイ投資委員会指定業種
    1. 土地代および運転資金を除く投資金額の100%を上限として、法人税を8年間免除する。
    2. 法人税免除期間終了後、さらに5年法人税を50%減税する(13のターゲット事業のみ)。
    3. 奨励事業による収入の発生日より10年間運送費、電気代、水道代の2倍控除を可能とする。
    4. インフラの設置、建設に投資した金額に、通常の減価償却に25%加算した額の控除を可能とする。
    5. 機械の輸入関税を免除する。
    6. 輸出向け製造に必要な原材料および資材の輸入関税を5年間免除する。
    7. 税務外の恩典
  3. 中小企業:タイ投資委員会布告第16/2565号(件名:中小企業のための特別経済開発区における投資促進政策の改定)により、投資委員会は、以下の条件の下、機械の輸入関税の免除、投資金額(土地代および運転資金を除く)の200%までの法人税の免除等の恩典を付与。
    1. プロジェクトの最低投資金額(土地代および運転資金を除く)は、50万バーツとする。
    2. タイ国籍の個人が登録資本金の51%以上出資しなければならない。
    3. 借入金は、自己資本比率の4:1以下とする。
    4. 奨励申請プロジェクトに、金額1,000万バーツを上限として、国内の中古機械の使用を許可する。機械金額の計算は簿価とする。また、プロジェクトに使用される機械の総額の50%以上を、新品機械に使用しなければならない。
    5. SEZに位置する場合には、プロジェクトで用いられる機械の金額の4分の1以上は、主要な機械に対する新規投資としなければならない。
    6. 奨励プロジェクトからの収入が発生した日から3年間で、奨励プロジェクトと非奨励プロジェクトの合計の収入が、5億バーツ以下でなければならない。

東部経済回廊(EEC)における恩典

2018年5月15日施行のEastern Special Development Zone Act B.E.2561(2018)が制定され、チャチューンサオ、チョンブリー、ラヨーンの3県を含んだ地域が東部特別開発地区(EEC)と指定され、同地区内において、EEC政策委員会が指定するターゲット産業を営む場合は、EEC政策委員会が適切であると判断した範囲内の恩典が付与される。

EEC政策委員会によって指定されたターゲット産業は次のとおりである。

  1. 次世代自動車産業
  2. スマートエレクトロニクス産業
  3. 高所得者向け観光およびメディカルツーリズム
  4. 農業およびバイオテクノロジー産業
  5. 食品加工産業
  6. ロボット産業
  7. 航空およびロジスティクス産業
  8. バイオ燃料およびバイオ化学産業
  9. デジタル産業
  10. 総合医療産業
  11. 国防産業
  12. 人材開発および教育

また、投資恩典は主に次の事項を含む。

  1. 法人所得税が最大15年間免除される。
  2. 経営者、スペシャリストおよび研究者の個人所得税が17%に減免される。
  3. 経営者、スペシャリストおよび研究者は1回の申請で5年間有効のワークパーミットを取得することができる。
  4. 製造・研究開発に使用される機械および原料に関して輸入税が免除される。
  5. 土地またはコンドミニアムを所有することができる。
  6. 50年以上の賃貸借をすることができる(最大49年間延長可)。

また、タイ投資委員会布告第17/2565号 により、業種に基づく恩典の追加恩典として、[1]人材育成または技術・イノベーション分野の研究開発に関する基準、または、[2]立地場所に関する基準を充たした場合には、法人税の追加的減免の恩典が付与される。

特別経済回廊における恩典

タイ投資委員会布告No.18/2565により、特別経済回廊における、一定の対象業種(農業・食品、バイオ、電気・電子、クリエイティブ、デジタル、環境・ウェルネスツーリズム)への投資に関して、法人税の追加的減免の恩典が付与されることとなった。
対象となる特別経済回廊の地域は以下のとおり。

  1. 北部経済回廊(Northern Economic Corridor:NEC-Creative LANNA
    チェンマイ、チェンライ、ランプーン、ランパーン
  2. 東北部経済回廊(Northeastern Economic Corridor:NeEC-Bioeconomy
    コーンケーン、ナコーンラーチャシーマー、ウドーンターニー、ノーンカイ
  3. 中西部経済回廊(Central-Western Economic Corridor:CWEC)
    アユタヤ、ナコーンパトム、スパンブリー、カンチャナブリー
  4. 南部経済回廊(Southern Economic Corridor:SEC)
    チュンポーン、ラノーン、スラータニー、ナコーンシータマラート

また、タイ投資委員会布告第18/2565号により、業種に基づく恩典の追加恩典として、[1]人材育成または技術・イノベーション分野の研究開発に関する基準、または、[2]立地場所に関する基準を充たした場合には、法人税の追加的減免の恩典が付与される。

新タイ工業団地公社法による投資奨励

新タイ工業団地公社法

タイ工業団地公社法(Industrial Estate Authority Act)に基づいて、タイ工業団地公社(Industrial Estate Authority Thailand:IEAT)が実施運営する投資奨励制度。

*工業団地(Industrial Estate)の名称
IEATが運営する工業団地は、"Industrial Estate"という名称が使用される。他方、民間が造成し管理運営する工業団地は、"Industrial Park"または"Industrial Land"という名称が使用されている。

タイ工業団地公社法は、工業団地を使用する企業の競争条件を強化することを目的に、2007年に改正が行われ、2008年1月8日に新タイ工業団地公社法として施行された。同法は、工業団地を次の2つのゾーンに区分している。

  1. General Industrial Zone
    工業事業、サービス事業、その他事業、およびこれら3つの事業に寄与する事業によって使用されるゾーン。
  2. IEAT Free Trade Zone
    工業事業、サービス事業、その他事業、およびこれら3つの事業に寄与する事業によって使用されるゾーン。事業の実施により、IEATが定める項目、すなわち経済的な効果、国家および国民の安全への寄与、環境への配慮などが達成されることが求められる。他方、事業者には、税制面の様々な恩典が与えられる。

新タイ工業団地公社法の恩典

  1. General Industrial Zone
    1. 工業地域で、土地を所有することができる。
    2. 工業地域で働く目的のために、外国の技術者および専門家を引き入れることができる。
    3. b.の外国の技術者および専門家の配偶者、扶養家族を引き入れることができる。
    4. 外貨の送金を行うことができる。

    これらの一般的な恩典の他に、General Industrial Zoneでは、輸送、倉庫、トレーニングセンター、クリニックなどのサービス事業を行うことができる。また、これらの事業者は、事業を行うために必要な土地を所有することができる。

  2. IEAT Free Trade Zone

    IEAT Free Trade Zoneの事業者は、製品を輸出することに関して、無条件の特権を与えられる。そして、工業地域で製造・加工するために必要な原料を、IEAT Free Trade Zoneに持ち込むことができる。

    IEAT Free Trade Zoneに適用される税務面の恩典は、次のとおり。

    1. 商品の生産に使用される機械、設備、機材、原料などにかかる輸出税、輸入関税、付加価値税(VAT)、物品税について、免税を含む税恩典。
    2. 工業地域で、土地を所有することができる。
    3. 工業地域で働く目的のために、外国の技術者および専門家を引き入れることができる。
    4. c.の外国の技術者および専門家の配偶者、扶養家族を引き入れることができる。
    5. 外貨の送金を行うことができる。
  3. 事業運営上の恩典
    1. 生産、もしくはサービス提供のために必要な機械、設備、機材、商品、原料などについては、事業者のみが限定して使用するという制約なしに、当該Zoneに持ち込むことができる。
    2. 生産、もしくはサービス提供のために必要な資材機械、設備、機材、原料などは関税法の適用を除いて、他の法律が求める輸入許可、シール・シンボル貼付、品質管理標準の制約から免除される。
    3. 2019年4月17日施行の法改正により、工場法および建設法以外にも、採掘や埋め立て、公衆衛生に関するライセンス取得などについて、IEAT局長またはその代行者に対して申請できるようになった。その他のライセンスについても管轄当局がIEAT局長に発行権限などを委任した場合は、IEAT局長またはその代行者に対して直接申請することが可能とされた。

その他

BOIへの申請はオンラインで行う必要がある。

  1. 2020年1月2日から、紙媒体の申請書を当局に対して提出する方法は認められなくなり、BOIのウェブサイト(e-Investment Promotion外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にログインし、申請を行う必要がある(ただし例外あり)。また、2020年12月1日から、ISOまたはそれに相当する基準の遵守に関する報告や、事業開始に関する届出についても、同じく、紙媒体にて当局に対して提出する方法は認められなくなり、BOIのウェブサイトにログインし、それらを行うことが求められるようになった(なお、ISOまたはそれに相当する基準の遵守に関する報告については、かかる基準の遵守が義務付けられている業種にのみ適用される)。
  2. 2021年以降、BOI投資奨励に基づき外国人事業許可証(FBC)を取得する場合、商務省事業開発局に対する申請は不要となり、BOIに対するオンライン申請による取得が認められることとなった。