農林水産物・食品マーケティング基礎情報

最終更新年月:2026年7月

人口・経済発展状況等

タイの人口、GDP、為替レート、在留邦人数、進出日系企業数等の基本情報については、概況・基本統計 を参照してください。

訪日外客数 123万3,103人:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」 2025年訪日外客数(総数)
日本食レストラン数 5,920店:農林水産省「海外における日本食レストランの国・地域別概数」(2025年11月28日)
現地調査では5,781店(前年比▲2.2%)となり、調査開始以来初めて減少に転じた。

日本からの農林水産物輸出状況

輸出額順位 7位
輸出総額 735億円
農産物 379億円 (51.5%)
林産物 11億円 (1.5%)
水産物 346億円 (47.0%)
輸出額の多い品目 いわし・ホタテ貝、かつお・まぐろ類、牛肉、さば

(出所)農林水産省「2025年農林水産物・食品の輸出実績」

市場特性等

味覚・嗜好上の特徴
  • 主食はコメであり、ご飯として食されるほか、米麺や米粉に加工されて消費されている。惣菜は、甘み、辛味、酸味のはっきりした味が好まれる。また、ナンプラー、砂糖、唐辛子等自分好みの調味料を付け足すことが一般的である。
  • 所得向上による食生活の多様化や健康志向の高まりは、日本食人気要因となっている。
  • 新しい物が好きで、新規のレストランには行列ができることがある。日本食の中ではすし、ラーメンが特に人気。近年では、さつまいも、納豆、抹茶が非常に人気となっている。抹茶に関してはココナッツやオレンジジュースなどを混ぜた独自のアレンジメニューが開発されている。また、プラントベースフード、高タンパク質食品、ビタミン・ミネラル等の成分を強調した商品など、健康志向食品や機能性食品の需要も高まる傾向にある。2026年のトレンドとして天然酵母パン「サワードウ」が注目されている。さらに、日本食関連のトレンドとして「抹茶」や「塩パン」に加え、シュークリーム系スイーツの「大阪クリームパフ」が話題となった。
  • 若者を中心にTikTokなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて口コミ情報が伝わりやすい。
制度的制約
  • 輸入許可証取得などの一連の手続きはタイの輸入業者が行う。加工されていない生鮮食品など一部の例外を除き、商品ごとにタイ当局への登録が必要。
  • アルコール飲料、生鮮水産物以外のほぼ全ての食品は、タイ保健省告示420号「食品の製造方法、製造におけるツール・用具及び保管」により、輸入時には当局が定める基準と同等以上の基準に基づく規格等の証明書(ISO22000、FSSC22000、JFS-C/B、食品衛生法に基づく営業許可証、農林水産省GMP証明書など)が必要となる。
  • 青果物を含む農産物については、植物防疫上、植物検疫証明書が必要なほか、一部の品目はこれに加えて、園地、選別・梱包施設の事前登録や日本・タイの合同検査が必要となる。植物防疫上の理由から玄米は輸入不可(精米は植物検疫証明書の添付で輸入可)。
  • 牛肉および豚肉は輸入可能だが、認定施設で処理を行い、かつ、食肉衛生検査所等から食肉衛生証明書の発行を受ける必要がある。豚肉は、豚熱発生・ワクチン接種に伴い、北海道を除く都府県で生産・処理された豚肉の輸入が停止されている。
  • コメ、茶、乳製品など一部品目に関税割当が設定されている。
  • 2019年1月9日から部分水素添加油脂(PHO)の規制が施行。油脂を使用した製品については、PHOを使っていない旨の製造事業者のレターが必要。
  • アルコール飲料に広告規制、酒税、販売時間制限あり。2020年12月よりオンライン上での販売が禁止されている。また、輸入に際しては、ブドウ原料のワインおよびスパークリングワインを除き、同一製造業者・製品のアルコール飲料につき1輸入業者のみが輸入販売を行うことが可能。
  • 一部の食品については、日タイ経済連携協定(JTEPA)や地域的な包括的経済連携(RCEP)の適用を受けることで、減税または免税でのタイへの輸入が可能。
商流・物流・商習慣
  • 輸入に当たっては輸入業務許可証が必要で、輸入許可手続きはタイに法人格がある企業のみ可能。
  • タイ系大手小売企業は、確実に売れゆきが見込める商品以外は棚代を徴収し、売れ残りリスクをサプライヤーが負担することが多い。加えて新規商品を棚に並べるに当たり、小売業者からエントリーフィーを求められることが多い。
  • 輸入業者が卸を兼ねている場合が多い。小売、レストランへの配送のための保冷車等も保有している。
  • 年末年始には、中華系タイ人を中心に、「グラチャオ・ピーマイ」というバスケット等に食品などの各種ギフト品を詰め合わせて贈る習慣がある。
Eコマースの概要
  • 2025年のタイ国内の電子商取引(Eコマース、EC)市場規模は約330億米ドル(約5兆円)で、前年より22%成長し、2030年までに約590億米ドル(約9兆円)まで成長することが見込まれている。(1ドル=155円で換算)
  • Shopee、Lazadaが2大マーケットプレイスとなっており、小売業者アプリ、SNSアプリを通じて食品を購入することが可能。
  • TikTok Shop、Shopee Live、LazLiveなどのライブコマース(ライブ配信により売り手と買い手が双方向にコミュニケーションを取りながらオンライン上で売買を行う販売形態。ライブショッピングとも言う)市場も発展している。
  • 毎月の「ぞろ目の日」(例えば2月2日や3月3日など)に、ほとんどのECプラットフォームでプロモーションや商品のセールが行われる。消費者も毎月の「ぞろ目の日」を狙って、買い物する人が多い。
外食・小売等の状況
  • タイ人は、外食・中食の利用頻度が高く、家庭での調理はほとんどしない(しても電子レンジで加熱する程度の調理が多い)。共働きの家庭が多いことが背景にあると言われている。
  • 2026年の外食産業(レストラン)市場は、2025年の6,750億バーツ(約2.9兆円)から6,970億バーツ(約3兆円、3.2%増)へ拡大する見通しで、経済成長鈍化などの制約は残るものの、観光需要と外食需要の底堅さにより緩やかな成長が継続する見込みである。しかし、コスト上昇や価格転嫁の難しさから、業態・事業者間の格差は拡大し、特にフルサービスレストランの成長は限定的になる可能性がある。(1バーツ=4.2円で換算、以下同様)
  • ジェトロバンコク事務所の調査によると、日本食レストランは、2025年時点で前年比2.2%減の5,781店舗となり調査開始以来初めて減少した。ジャンル別では、総合和食、すし、ラーメンの順に店舗数が多い。
  • タイの小売市場は、2025年の4.1兆バーツ(約17.2兆円)から、2026年には約3.7%増の4.3兆バーツ(約18.1兆円)へ拡大する見通しで、国内外の経済不確実性を背景に消費者の節約志向が強まっており、成長率はやや鈍化するとみられる。
  • 外国からの小売業に対する投資額は総額115.71億バーツ(約486億円)となり、国別では日本が21.14%、24.46億バーツ(約103億円)で最大、次いで中国が18.98%、21.96億バーツ(約92億円)、シンガポールが16.70%、19.32億バーツ(約81億円)となっている。
  • 日本産食品が販売される小売店は、高級デパート、日系百貨店・スーパーが中心。品目によりタイ現地産や他国産と競合。
  • Lineman、Grabなどのフードデリバリーサービスは一般的に利用されており、2025年の配送サービス・フードデリバリー市場規模は、約50億米ドル(約7,800億円)と前年より15%拡大した。2030年までに約90億米ドル(約1.4兆円)まで成長することが見込まれている。
日本食普及状況等
  • 2020年以降すべての県で日本食レストランが確認されている。日本食レストランとしてタイ産食材を主に使用する低価格帯の店舗から日本産食材が使われる高価格帯の店舗まで多種多様に展開されている。顧客の日本食への認知度は高い。
  • 水産物:日本食レストラン(すし店など)の増加により水産物の需要が高い。レストラン向けにマグロ、ブリ・ハマチ、ホタテ、イクラなどが人気。また、タイには缶・びん詰め食品の主要輸出国として各国から原料用水産物(日本産ではマグロ、カツオ、サバなど)が集まる。
  • 牛肉:ブランド和牛のほか、交雑種も流通。輸入牛肉ではオーストラリア産や米国産と競合。また、タイ国内において、欧州とタイの牛とを掛け合わせた、従来より品質が向上したタイ国産牛(タイフレンチビーフ)等の交雑種も出回っている。なお和牛に関しては依然として需要は高いものの、より赤身の多い牛肉を求める消費者が増えている。
  • 加工食品:しょうゆなどの調味料はタイ産、海外産の日本ブランド品があるため競合が激しい。コールドチェーンの整備に伴い日本産アイスクリームを扱う店舗が増加。
  • 麺文化があることからラーメンは人気がある。日本料理はすしや刺身などのイメージが強かったが、最近はすき焼き/しゃぶしゃぶ、居酒屋料理、焼肉、とんかつなども人気がある。また、おまかせ、食べ放題などの店舗も増え、タイの日本食レストランは多様化している。
  • 富裕層を中心に「本物」の日本の味や日本の食のトレンドを求める傾向がある。訪日観光客の増加につれてタイ人の日本食に対する経験および知識が増え、その傾向は強まっている。また、中間所得層においても日本への観光客が増えており、日本産食品に対して好印象を持っているが、日本産の輸入商品は値段が高く、なかなか手を出せないのが現状である。
お問い合わせ先
ジェトロ農林水産食品部 市場開拓課
Tel:03-3582-5186
E-mail:afa-research@jetro.go.jp