日本からの輸出に関する制度

牛乳・乳製品の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する牛乳・乳製品のHSコード

040110~040299 :ミルクおよびクリーム
040310~040390 :バターミルク、凝固したミルクおよびクリーム、ヨーグルト、ケフィア、その他発酵させまたは酸性化したミルクおよびクリーム
040410~040490 :ホエイ
040510~040590 :ミルクから得たバターその他の油脂およびデイリースプレッド
040610~040690 :チーズおよびカード
210500:アイスクリーム、その他氷菓
190190:ミルクの調製品
220299:アルコールを含有しない飲料

輸入食品の品質・安全管理を所管するシンガポール食品庁(SFA)は、輸入管理品目である食品のHSコードをさらに細かく分類したSFA独自の商品コードを規定しており、輸入者は輸入許可申告の際に、HSコードとともにこの商品コードをシンガポール税関およびSFAに申告することが求められます。

2019年4月1日以降、農食品・獣医庁(AVA)が解体され、シンガポール食品庁(SFA)が新設されたことで、AVAが所管していた輸入食品および動植物の管理・検疫業務が三つの組織へ分割移管されました。食品関連はSFAが、非食品関連は国立公園局(NParks)の管轄となり、非食品のうち動物・家畜部門はNParks内の組織である、動物・獣医サービス(AVS)が担当となっています。

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年8月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
牛乳・乳製品を含む加工食品の輸入は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する食品販売法により規制されています。シンガポールへ輸出しようとする牛乳・乳製品は食品販売法の付属規定である食品規制で定められている食品規格を満たしていなければなりません。牛乳・乳製品の食品規格は食品規制の第IV部(食品規格と個別ラベル表示要件)第93項~第125項(牛乳・乳製品)、第126項~第128項(アイスクリーム)に記載されています。食品規制では、牛乳・乳製品のうち原乳の輸入を禁止しています。
東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規則
2021年5月28日付けで、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制はシンガポール政府により撤廃されました。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年8月

日本から牛乳・乳製品をシンガポールへ輸出するために、輸出者側で事業者認定を受ける必要はありませんが、シンガポール食品庁(SFA)の規制調達先プログラム(Regulated Source Program)のもと、輸出国の政府管轄機関の適正な監督を受けている、あるいはSFAの認める品質保証体制を導入している事業所でなければなりません。輸入者はSFAから要請があれば提示できるように、輸出国の食品事業者から、工場ライセンス(輸出国・地域の規制当局が発行)、輸出証明書(輸出国または地域で食品または動物を管轄する当局が発行)、衛生証明書(輸出証明書と同様)や、HACCP認証、GMP認証などのいずれかの書類を事前に取得していることが望ましいです。

また、牛乳・乳製品のうち殺菌牛乳(Pasteurised Liquid Milk)については、SFAにより検査強化品目に指定されています。輸出国の検疫検査機関(日本の場合は動物検疫所)から、(1)牛乳の原料が口蹄疫の発生していない国から調達されていること、(2)72℃以上で15秒間以上の熱処理が施され、殺菌されていることを証明する輸出検疫証明書を取得して、船積みごとに輸入通関の際に提示しなければなりません。また証明書には次の事項が記載されている必要があります。

  • 商品明細(ブランド名、種類を含む)
  • 商品の重量
  • 商品ロット番号および生産日
  • 生産者や生産施設の名称および住所
  • 輸入者または荷受人の名前および住所
  • 輸出者または荷送人の名前および住所
  • 輸出国
  • 輸入国

さらに初回の輸入時のみ、当該製品が管轄官庁の規制を遵守した施設で製造されていることを証明する、輸出国当局が発行した書類(事業許可証など)営業許可証が必要になります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年8月

「2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」に記載のとおり、シンガポール食品庁(SFA)により検査強化品目に指定されている殺菌牛乳(Pasteurised Liquid Milk)を除き、日本の牛乳・乳製品をシンガポールに輸出する際には、検疫証明書を取得する必要はありません。

殺菌牛乳(Pasteurised Liquid Milk)については、「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)」に記載のとおり、輸出国の検疫検査機関から、(1)牛乳の原料が、口蹄疫が発生していない国から調達されていることを証明するための事業者ライセンスの提出、(2)72℃以上で15秒間以上の熱処理が施され、殺菌されていることを証明する検疫証明書を取得し、船積みごと輸入通関の際に提示しなければなりません。

シンガポールの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年8月

  • 乳(milk)は、牛、水牛または山羊の乳房からの分泌物であり、いかなる添加も抽出も行っていない状態のものを指します。また、3.25%以上の乳脂肪分および8.5%以上の乳脂肪分以外の乳固形分を含んでいることが求められる一方、水や乾燥乳、コンデンスミルク、脱脂粉乳、着色料などを含む、その他のいかなる物質も添加してはなりません。
    また生乳(raw milk)については、ヒトによる消費を目的とした輸入、販売、宣伝が禁じられています。この場合の生乳(raw milk)とは、殺菌牛乳や高熱殺菌牛乳のような熱処理殺菌を施していない乳、もしくはシンガポール食品庁長官が認める、同様の効果をもたらす殺菌加工を施していない乳を指します。
  • 殺菌乳(Pasteurised Milk)は、次に定める温度で熱殺菌を一度だけ加えた乳のことです。
    1. 62.8℃以上65.6℃以下で30分以上の熱処理殺菌を行い、4.4℃以下に急速に冷却
    2. 最低15秒の間、72℃以上73.5℃以下の温度が保たれ、4.4℃以下に急速に冷却
    また、殺菌乳はこれらの熱処理を終えたのちに、即時に無菌状態で容器充填されなければならず、充填された殺菌乳は食品規制第10項に従って日付を表示する必要があります。
  • 高温殺菌乳(ultra heat treated milk)は、135℃以上で2秒間以上の熱殺菌処理を施され、無菌状態で即時容器充填されたものを指します。また、容器充填された高温殺菌乳は食品規制第10項に従って容器ごとに日付が表示されなければなりません。
  • 無菌乳(sterilised milk)は、ろ過や遠心分離、均質化などをした後、すべの微生物を消滅させるに十分な時間、100℃以上で熱処理を施した後、密閉容器に充填したものです。缶入り以外のすべての無菌乳は食品規制第10項に従って、日付を表示する必要があります。
  • 均質乳(homogenised milk)は、熱処理が施され、乳脂肪球を細分化させることで、乳全体に均一に混ざるような方法で加工されたものをいいます。これは、許可された安定剤以外はいかなる添加物も使用してはいけません。また、缶入りを除くすべての充填容器には、食品規制第10項に従って、日付を表示する必要があります。
  • 還元乳(reconstituted/recombined milk)は、乳成分と水、乳、または水と乳の混合物のいずれかからなる製品のことです。許可された安定剤以外にいかなる添加物も含んではいけませんが、一方で乳脂肪分を3.25%以上、さらに乳脂肪分以外に8.5%以上の無脂乳固形分を含有する必要があります。還元乳の場合、”reconstituted milk”または”recombined milk”という表記が少なくとも”milk”という言葉と同じか、それ以上の大きさでなければなりません。ただし、これは”full cream” milkという表記を妨げるものではありません。さらに缶入りを除くすべての還元乳は食品規制第10項に従って、日付を表示する必要があります。
  • 無糖練乳(evaporated milk)、または甘みを加えていないコンデンスミルクは、水分を取り除くことで濃厚にした乳、もしくは乳成分を水または乳、もしくはその両方と混合した乳のことをいいます。その場合、乳脂肪を含む乳固形分が28%以上、かつ8%以上の乳脂肪分を含んでいなければなりません。ソディウム、カリウム、カルシウム塩、塩酸、クエン酸、炭酸、オルトリン酸やリン酸、ビタミンなど、認可された添加物以外の添加は認められません。
  • 加糖練乳(sweetened condensed milk)は、水分を取り除くことで濃厚にした乳、もしくは乳成分を水または乳、もしくはその両方と混合した乳に、砂糖を加えたもののことを指します。その場合、28%以上の乳脂肪分を含む乳固形分および8%以上の乳脂肪分が含まれていなければならず、一方でヘキサメタリン酸ソディウム(2000ppm以下)、砂糖もしくはビタミン以外の添加物は認められません。
  • 乾燥乳、粉乳、全粉乳、全脂粉乳(dried milk, milk powder, dried whole milk, dried full cream milk, full cream milk powder)は乳を乾燥させた製品であり、26%以上の乳脂肪および5%以上の水分を含み、ビタミンや1種類以上の乳化剤以外の添加物を含んではならないとされています。これらの製品が充填された缶やその他の容器には、食品規制(Food Regulations)第101項に記載された次のラベルを、第109項に従って記入・添付する必要があります。
  • 半脱脂粉乳(dried half cream milk)は粉末か固形かにかかわらず、乳から部分的に乳脂肪を取り除いた製品で、14%以上の乳脂肪分を含む一方、5%以上の水分やビタミン以外の添加物を含んでいてはなりません。この製品が充填された缶やその他の容器にはすべて、食品規制(Food Regulations)第102項で定められた次のラベルを、第109項に従って記入・添付することが求められます。
  • 無脂肪乳、脱脂乳(skimmed/separated/defatted milk)は、濃縮、粉末、乾燥などの状態に関わらず、乳やクリームから乳脂肪分を取り除いた製品を指します。無脂肪乳粉末は水分を5%以上含んではならず、無脂肪乳粉末の調製品は、ビタミンの含有の有無にかかわらず、ラベルに表示された方法で調製された際に、9%以上の無脂肪乳固形分を含んでいなければなりません。無脂肪乳が充填された缶やその他の容器にはすべて、食品規制(Food Regulations)第103項で定められた次のラベルを、第109項に従って記入・添付することが求められます。
    液体状の無脂肪乳は次のラベルが使用されます。
  • 調製乳(filled milk)は、濃縮、粉末、乾燥などの状態にかかわらず、乳脂肪分以外の油脂を、乳、クリーム、無脂肪乳のいずれかに調合、混合した、乳や乳製品の類似品のことをいいます。油脂の原料を除き、模倣している乳や粉乳の規格に準ずる必要があります。
    すべての調製粉乳を充填した缶やその他の容器には、食品規制(Food Regulations)第104項で定められた次のラベルを第109項に従って記入・添付することが求められます。
    液体状の調製乳には次のラベルが使用されます。
  • フレーバーミルク(flavoured milk)は乳や粉乳、無脂肪乳のいずれかに、香料を添加した乳飲料を指します。塩や甘味料、着色料、安定剤が含有される可能性があり、2%以上の乳脂肪が含まれていなければなりません。缶入りの無菌フレーバーミルクを除いたすべてのフレーバーミルクのパッケージには、食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付を記載する必要があります。
  • 乳酸菌乳飲料・発酵乳飲料(lactobacillus milk drink/cultured milk drink)は、乳脂肪が一部取り除かれた殺菌乳に、バクテリアを生成する乳酸菌を含んだ水が加えられた発酵製品のことをいいます。このような製品は3%以上の無脂乳固形分が含まれていなければなりません。なお、”Lactobacillus milk”または”cultured milk”と表示された発酵乳の場合、乳固形分や乳脂肪分の含有量については、通常の牛乳(milk)の基準に準ずる必要があります。すべての乳酸菌飲料・発酵乳飲料のパッケージには、食品規制(Food Regulations)第10条に従って、日付が記載されなければなりません。
  • 麦芽乳パウダーは、ミルクと大麦麦芽のマッシュから分離させた液体と乳を混合することでできた製品のことをいいます。塩や重曹、炭酸水素カリウム、認可されている香料などの添加の有無にかかわらず、乳脂肪分の含有率は7.5%以上、水分は3.5%以下である必要があります。
  • ホエイはチーズ製造の過程で凝乳を乳、クリーム、または脱脂乳から除去した後に残る物質のことをいいます。物質の状態(乾燥、凝縮、粉末など)は問われません。
  • クリームは、乳から乳脂肪の大部分が濃縮されたものを指し、乳脂肪の含有率は35%以上である一方、いかなる添加物も含まれてはいけません。滅菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます。
  • 均質乳クリーム(Homogenise cream)は、熱処理が施され、乳脂肪球を細分化することで乳全体に均一に混ざるような方法で加工されたクリームのことを指します。認可された乳化剤や安定剤以外の添加物は含みません。減菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます。
  • 還元乳クリーム(reconstituted/recombined cream)は、乳成分と水、乳、または水と乳の混合物のいずれかからなる製品のことです。認可された乳化剤および安定剤以外は含んではならず、乳脂肪の含有量は通常のクリームに準じます(35%以上)。減菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます。
  • 濃厚クリーム(thickened cream)は、砂糖の添加の有無にかかわらず、加熱処理されたクリームで、認可された乳化剤および安定剤、ショ糖またはレンネットや食用ゼラチンを含むものを指します。減菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます。
  • 減脂肪クリーム(reduced cream)は、乳脂肪分が18%以上35%未満の製品で、その他の準拠すべき基準は、すべて通常のクリームと同様になります。減菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます。
  • サワークリーム(Sour Cream)は、殺菌後にバクテリアを生成する乳酸によって、意図的に酸味付けされたクリームです。減菌された缶詰を除く、すべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)第10項に従って、日付の表示が求められます
  • バター(butter)は、乳またはクリーム、あるいはその両方のみから製造された固形製品のことです。酸敗が発生していない状態で、乳脂肪は80%以上、水分は16%以下、無脂乳固形分は2%以下であることが求められます。また、無害な植物性着色料や塩、無害な乳酸菌かフレーバー生成菌またはその両方の種菌、水、本規則でバターへの添加が明示的に許可されている以外、いかなる物質も添加されてはなりません。
  • チーズ(Cheese)は、乳、脱脂乳、クリームのカゼイン、またはこれらの混合物と、レンネットやペプシン、酸と混ぜ、凝固させて得られる固体または半固体の製品を指します。熟成発酵物、無害な酸を生成する細菌、特別なカビの培養、調味料、リゾチームまたは認可された香料、固化防止剤、着色料または化学保存料が含まれる場合もありますが、乳脂肪以外の脂肪は含んではいけません。また、表面から5 mm未満の深さで採取したサンプル中にナタマイシンが1mg/平方デシメートル以下となる範囲で、ナタマイシンを外皮として使用することができます。ただしソルビン酸と同時の使用は認められていません。
  • チェダーチーズ(Cheddar cheese)は、39%以上水を含んではならず、水を含まない部分に含まれる乳脂肪が48%以上でなければなりません。
  • 名前や分類なく販売されるチーズ(Unnamed cheese)は、39%以上水を含んではならず、水を含まない部分に含まれる乳脂肪が48%以上でなければなりません。
  • クリームチーズ(Cream cheese)は、クリームまたはクリームが添加された乳から作られたチーズでなければならず、水分は55%以下、水分を含まない部分の乳脂肪分が65%以上でなければなりません。
  • プロセスチーズまたは乳化チーズ(Processed or emulsified cheese)は、粉砕され、乳化され、殺菌されたチーズでなければなりません。また水分が45%以下で、水分を含まない部分の乳脂肪分は45%以上、無水乳化塩は3%以下である必要があります。
  • チーズスプレッドまたはチーズペースト(Cheese spread or cheese paste)は、殺菌されており、水分含有量が60%以下であることを除くと、プロセスチーズまたは乳化チーズと同様の基準を満たさなければなりません。
  • ヨーグルト(Yoghurt)は、ブルガリア乳酸杆菌とストレプトコッカス・サーモフィルス、アシドフィルス菌、およびヨーグルト細菌から1種類以上、殺菌前に脂肪の一部を除去、もしくは乾燥牛乳または乾燥脱脂乳固形分を添加した殺菌牛乳に接種して製造した発酵製品のことです。これらの細菌類が製品に含まれる細菌類の大多数を占めていなければならず、砂糖や認可された着色料や香料が含まれることがあります。通常のヨーグルトには、乳脂肪以外に8.5%以上の乳固形分、3.25%以上の乳脂肪分が含まれることが求められますが、低脂肪ヨーグルトは乳脂肪が2%以下、無脂肪ヨーグルトまたは脱脂乳ヨーグルトは0.5%以下でなければなりません。またすべてのパッケージには、食品規制(Food Regulations)の第10項に従って、日付を表示する必要があります。
  • フルーツヨーグルトは、果物、果物の繊維、スライスした果物または果汁と混合されたヨーグルトで、砂糖や認可された保存料や着色料を含む場合もあります。フルーツヨーグルトには、脂肪以外の乳固形分が8.5%以上、乳脂肪が1%以上、および果物または果汁が5%以上含まれていなければなりません。またすべてのパッケージには食品規制(Food Regulations)の第10項に従って、日付を表示する必要があります。
  • アイスクリームは砂糖の有無にかかわらず、牛乳またはクリームまたは乳製品の冷凍調製物を指します。乳脂肪の一部または全体が、ほかの食用脂肪または油で置き換えられる場合もありますが、5%以上の脂肪と7.5%以上の無脂肪乳固形物を含まなければなりません。
  • 乳製品アイスクリーム(Dairy ice-cream)またはフルクリームアイスまたは乳製品クリームアイスは、砂糖の有無にかかわらず、乳やクリームもしくは乳製品の冷凍加工食品のことをいいます。10%以上の乳脂肪と7.5%以上の無脂肪乳固形分を含まなければなりません。
  • ミルクアイス(Milk-ice)は、2.5%以上の乳脂肪と7%以上の無脂肪乳固形分を含む冷凍食品を指します。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年8月

シンガポールでは国内販売に供される食品全般の残留農薬をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン、3-MCPD、メラミン、細菌混入などの偶発混入成分に関する基準を食品規制で規定しています。
食品規制第9付表では、食品に残留する農薬の種類が列挙され、農薬ごとに対象となる食品と使用が認められている農薬の最大残留基準(MRL値)が明記されています(ポジティブリスト方式)。この残留農薬基準を満たさない食品の輸入、販売、広告などは禁じられています。本規定で明示されていない農薬については、原則として、コーデックス委員会(国際食品規格委員会:CODEX)の勧告に準じ、同委員会が設定した基準値を超えてはならないと規定されています。
また、2種類以上の農薬が残留している食品については、それぞれの農薬について、実際の残留量を当該農薬の最大残留基準値で割った数値の合計が1を超えてはならないとされています。

残留抗生物質については、食品規制第32項(Antibiotic residues)に記載されており、検知可能な抗生物質やその変質した物質が含まれた乳製品、肉・肉製品やいかなる食品も、輸入および販売、広告、製造などを行うことが禁止されています。エストロゲンもほぼ同様の扱いになります(食品規制第33項)。ただし、卵液やチーズの保存料として使用されるナイシンについては、含まれていても問題ありません。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第29項~35項(Incidental constituents in food)および第9付表(Food with maximum amounts of pesticides)、第11付表(Microbiological standard for ready-to eat food)に農薬、細菌等の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年8月

牛乳・乳製品は、重金属規制の対象となります。食品に含まれる重金属の残留基準は、食品規制において定められています。牛乳・乳製品における重金属の最大残留基準値は、次のとおりです。

ヒ素
1ppm(缶入り乳製品:0.1ppm、アイスクリーム:0.5 ppm)
2ppm(缶入り乳製品:0.3 ppm、アイスクリーム:0.5 ppm)
水銀
0.05 ppm
スズ
250 ppm
カドミウム
0.2 ppm
アンチモン
1 ppm

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第31項(Heavy metals, arsenic, lead)および第10付表(Maximum Amounts of Arsenic, Lead Permitted in Food)に重金属の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2022年8月

シンガポールでは食品に使用することが認められる食品添加物は固化防止剤や酸化防止剤など、14の機能に分類されており、食品規制(Food Regulations)で規定されている規準に従って使用される場合、食品への使用が認められます。シンガポール食品庁(SFA)は、その使用が認められている物質をポジティブリスト形式で規定していますが、風味増強剤など一部については、使用が認められていない物質をネガティブリストとして挙げています。食品規制で明示されていない食品添加物の場合、許可された食品添加物の純度は、国際連合食糧農業機関および世界保健機関(FAO/WHO)による、合同食品添加物専門家委員会が推奨する仕様に適合することが必要です。認可食品添加物および最大使用基準値は食品規制第3付表~第8付表および第13付表に掲載されています。
食品規制で牛乳には食品添加物の使用が禁止されています。また、乳幼児向け乳製品には合成保存料、グルタミン酸ソーダ、硝酸塩、亜硝酸塩の添加が禁止されています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第15項~第28項(Food additives)、第3~8付表および13付表に食品添加物の最大基準値が掲載
食品規制 (Food Regulations)(英語)Food AdditivesPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第15項~第28項(Food additives)、第3~8付表および13付表に食品添加物の最大基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Food Additives Permitted Under the Singapore Food Regulations as at 16 Octber 2019(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(697KB)

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年8月

食品に触れる容器包装は食品規制(Food Regulations)に一般規格基準が定められており、その規格基準に適合していなければなりません。個別食品に対する容器包装の規定は特に定められていません。
食品規制では、食品容器包装において、塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppm以下を規格とし、塩化ビニルモノマーを0.01ppm以上食品中に溶出させるとみられる容器包装、あるいは発がん性、変異原性、催奇性またはほかの毒性または有害性のある物質であることが知られている化合物を食品中に溶出する可能性のある容器包装の使用を禁じています。塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppmは、2012年9月の食品規制改訂で新たに加えられ、かつ溶出限度は0.05ppmから0.01ppmに引き下げられているため、注意が必要です。

また、食品規制では、食品の貯蔵、準備、調理の段階で、鉛、アンチモン、ヒ素、カドミウム、その他の毒性物質を食品に付与する可能性のある器具、容器、食器の使用を禁じています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第37項(Containers for food)に容器包装・食器の規格が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2022年8月

シンガポールでの販売時の表示義務は食品規制(Food Regulations)に規定されています。食品規制では、食品全般の一般表示義務項目として、包装済み食品のラベルに次の項目を英語で表示することが求められます。1~4については印字の高さが1.5mm以下であってはなりません。

  1. 商品名または一般分類名
  2. 成分(2種類以上の成分からなる食品の場合、重量の大きい順に表示)
  3. 合成着色料名(合成着色料タートラジンなどを含有する食品の場合のみ)
  4. 内容量(正味容量または重量)
  5. 原産国および輸入者(代理人)名と住所
  6. アレルゲン表示(表示義務特定原材料8分類:グルテンを含む穀類、甲殻類、卵・卵製品、魚類・魚類製品、ピーナッツ・大豆類・それらの製品、乳・乳製品(ラクトース含む)、ナッツ類・ナッツ類製品、亜硫酸塩濃度10mg/kg以上の食品)(牛乳・乳製品は表示義務があります)
  7. 人工甘味料アスパルテームを含有する食品の場合の記載(“PHENYLKETONURICS: CONTAINS PHENYLALANINE.”)

一般表示義務項目に加えて、期限表示、ある種の甘味料を含む場合の注意事項、無糖食品や低カロリー食品などの特別目的食品の表示、栄養表示など、追加表示義務に該当する食品があります。

期限表示義務のある食品に関しては、食品規制の第2付表に記載されています。期限表示は次のいずれかの方法によるとされています。日付印は明白に表示しなければならず、文字サイズは3mm以上とされています。なお、食品規制では、消費期限と賞味期限は同義と定義されています。

  • 「消費期限日(USE BY 日・月・年)」
  • 「販売期限日(SELL BY日・月・年)」
  • 「有効期限日(EXPIRY DATE 日・月・年)」
  • 「賞味期限日(BEST BEFORE 日・月・年)」

すべての牛乳・乳製品は賞味期限の表示が義務付けられています。賞味期限が保存条件に依拠する場合には、その保存条件をラベル上に記載しなければなりません(例:「BEST BEFORE: 31 Dec 17, Store in a cool, dry place」)。

栄養表示/カロリー表示は食品規制第8A項~第9B項および第11項に規定されています。シンガポールでは、エネルギー価(kcalまたはkJ)、タンパク質(g)、炭水化物(g)、脂質(g)、その他の栄養素の含有量(g、ナトリウム、カリウム、コレステロールなどの分量はmcgまたはmg)を、食品規制第12付表で規定された「栄養情報パネル」(nutrition information panel、栄養情報パネルはビタミン、ミネラルの表示には使用できません)を用いたラベル表示をしていない限り、「エネルギー源」、「タンパク質源」、「低カロリー」、「シュガーフリー」などと、当該食品に関する栄養面での強調表示を行うことができません。一方、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、葉酸、ナイアシン、カルシウム、ヨウ素、鉄分、リンなどビタミンおよびミネラルの栄養表示を行う場合には、それぞれの食品に含まれるべきビタミン、ミネラルの含有成分量が1日あたり摂取目安量の6分の1以上含まれていなければならず、ビタミンおよびミネラルの強調表示を行う場合には、含有成分量が1日あたり摂取目安量の50%以上を満たさなければなりません。

牛乳・乳製品の品目別食品規格および個別ラベル表示要件については、「食品規制」の第4部 第93項~第125項(Milk and Milk Products)、第126項~第128項(Ice-cream, Frozen confections and Related Products)を参照してください。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第3部(General Provisions)第5項(General requirements for labelling)および第2付表(Date-marking of prepacked food)に食品全般の一般表示要件、第10項(Date marking)に日付の表示要件、第IV部(Standards and Particular Labelling Requirements For Food)第71項~77項(Fish and Fish Products)に個別ラベル表示要件が掲載
計量法 (Weights and Measures Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Labelling Guidelines for Food Importers & Manufacturers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) A Guide to Food Labelling and Advertisement(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(620KB)

7. その他

調査時点:2022年8月

なし

シンガポールでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年8月

1.輸入事業者登録

牛乳・乳製品の輸入者は、事前にシンガポール食品庁(SFA)に対し、加工食品および食品容器の輸入に関する事業者登録をする必要があります。
登録に必要となる書類は、(1) 会計・法人規制庁(ACRA)に会社を登記した際に発行され、シンガポール税関に登録・有効化された個別企業登録番号(UEN)、(2) 輸入許可手数料をSFAが自動引き落しするための銀行口座(GIRO)開設申請書です。
輸入事業者登録はSFAのライセンス申請サイトGoBusinessを通して行います。登録には1営業日を要し、登録費用は無料です。

2.輸入許可

あらゆる食品の輸入者は輸出入規制法に基づき、貨物がシンガポールに輸入される前に、「TradeNetトレードネット」を通じて、船積みごとに事前申告を行い、輸入許可を取得しなければなりません。輸入申告には船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)、必要に応じて衛生証明書などが必要となります。申告から輸入許可取得まで通常、1営業日を要します。

シンガポール税関とSFAによって輸入が許可されると、貨物通関許可(CCP)が発行されます。輸入者はCCPを印刷して、通関のチェックポイントで提示することにより貨物を引き取ることができます。 輸入者はCCPの承認コードに特別な条件が付いていないかをチェックしなければなりません。何らかの条件が付いていると、貨物は封印され、貨物を開梱して販売に供することができません。例えば、CCPの承認コードがA03となっていると、輸入貨物は政府認定試験所による検査を受けなければならないという意味です。その場合、輸入者は政府認定検査・試験所eサービスを通じて検査をオンライン予約して、SFAの検査官によるサンプリングおよび検査を受けます。検査で不合格となれば、輸入業者は輸入した貨物を輸出元へ返送するか廃棄処分しなければなりません。違反した場合、その性質によって、生産者あるいは輸出者からの輸入停止措置が取られることもあります。
牛乳・乳製品を輸入する場合、輸入許可手数料は無料ですが、輸入時点の為替レートで換算し、財・サービス税(GST)をシンガポール税関に支払います。GSTの支払いは、輸入者(代理人)があらかじめシンガポール税関に対し開設している専用口座から自動的に引き落とされます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年8月

牛乳・乳製品の輸入通関にあたり、船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)に加え、必要に応じて、原産地証明書、衛生証明書、輸出証明書、製造元工場ライセンス、製造元工場で取得している品質管理システムといった書類が必要です。「輸入規制」の「2.施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類など(輸出者側で必要な手続き)」もあわせて参照してください。

このほか、検査強化品目に指定されている殺菌牛乳は、微生物・理化学検査分析報告書といった書類が必要になります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年8月

シンガポール食品庁(SFA)により検査強化品目に指定されているのは次の食品です。これら食品を輸入する場合は、(a)輸出国の食品当局の適切な監督下にある、または(b)SFAに受容される品質保証プログラムがある施設で製造される必要があります。また、衛生的な条件下で製造されたことを証明する書類が必要です。各種条件については、関連リンクの「シンガポール食品庁(SFA) Import Requirements of Specific Food Products」を参照してください。

  • 1包装されたミネラルウオーター、飲料水、氷
  • 2ココナッツミルクとすりおろしたココナッツ、ナシレマ
  • 3乳児用シリアルと粉ミルク
  • 4カタツムリ
  • 5最低限加工された果物と野菜
  • 6殺菌液体ミルク
  • 7伝統的なケーキ(kueh kueh)
  • 8カットされたサトウキビ
  • 9月餅

検査強化品目に指定されていない食品を輸入する際には、輸出国からの動植物検疫証明書や試験検査報告書などの書類の提示は求められませんが、SFAが導入している体系的監視プログラムのもと、食品安全性試験のための食品サンプリングに加え、記述内容を含めた表示要件への順守に関する食品の検査を実施しています。
各食品の試験項目は、食品に関連するリスクに応じて異なります。SFAは基本的な試験検査項目として次のリストを公表しています。このリストは網羅的なものではなく、SFAは次のリストに記載されていない追加項目について試験を実施することもあります。

理化学試験検査項目
  • 残留農薬:有機塩素、ピレスロイド、N-メチルカルバメート、ジチオカルバメート、有機リン酸塩
  • 保存料:安息香酸、ホウ酸、ソルビン酸、二酸化硫黄、メチルパラベン、メチル-p-ベンゾエート、プロピルパラベン、プロピル-p-ベンゾエート、ホルムアルデヒド
  • 重金属:ヒ素、アンチモン、カドミウム、銅、鉛、水銀、スズ、セレン、無機ヒ素
  • マイコトキシン:アフラトキシン(B1&2、G1&2)、オクラトキシンA、フモニシン、デオキシニバレノール、ゼアラレノン
  • 着色料:パラレッド、スーダンI、II、III&V、クリソジン、ベーシック黄色
  • 甘味剤:アセスルファム-K、スクラロース、ステビオシド、サッカリン、シクラメート、レバウジオシド
  • その他:ブロメート
微生物試験検査項目
コロニー数/プレート数、大腸菌群、大腸菌、糞便性大腸菌、大腸菌O157、サルモネラ、枯草菌、バチルスエンテロトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンス、リステリア・モノサイトゲネス、ブドウ球菌、ブドウ球菌エンテロトキシン、クロストリジウムボツリヌス菌

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年8月

食品小売販売許可のための要件
食品小売販売許可は、以前はシンガポール国家環境庁(NEA)の管理下にありましたが、2019年4月1日以降、シンガポール食品庁(SFA)の管轄になりました。2019年3月31日以前にNEAにより発行されたライセンスに関しては、当該ライセンスに記載された期日までは有効です。
レストラン、カフェ、バーなどの外食店、ケータリング事業者、スーパーマーケットを含む食品小売事業所は、環境公共衛生法に基づき、SFAより食品店舗ライセンス(Food Shop Licence)を取得しなければなりません。ライセンスは1年間有効で年間ライセンス料が195 シンガポール・ドル(以下、Sドル)かかります。ライセンス取得までに要する時間は、諸要件を満たすための店内の改装や、規定に順守しているかを確認するための事前実地検査、必要書類の準備、ライセンス料金の支払いなど、それぞれにかかる時間によって異なります。
ライセンスはシンガポール政府ライセンス申請サイトGoBusinessを通して申請できます。申請から認可までの流れは次のとおりです。
  1. GoBusiness Licensingのサイトへ、Singpassを用いてログインし、必要な書類をすべて提出すると、SFAからIn-Principle Approval (IPA)が発行される。所要日数は5営業日程度。
  2. 店舗の改装完了の際に、SFA online feedback form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます経由で、ライセンス取得前査察の日程を予約。査察日の確定までは2営業日程度。
  3. ライセンス要件に完全に準拠していることが確認され、必要な書類を提出すると、SFAからの認可が下りる。3営業日以内にメールおよびGoBusiness経由で通知が届く。

申請に必要な書類は次のとおりです。

  • 店舗となる建物や土地を管理する政府機関からの使用許可
  • 賃貸借契約書
    • ライセンスを承認して発行する前の最終段階でのみ必要となるため、承認前の段階では契約しないことが推奨されます。
  • 申請者に関する次のうちのいずれかの情報
    • 個人の場合、国民登録管理カード(NRIC)の両面
    • 会社の場合、会計企業規制庁(ACRA)からの事業構成情報
    • その他の団体の場合、団体登記機関が発行する登録証明書
  • 食品取扱者の食品安全コースレベル 1修了証(SOA)
  • 食品衛生責任者の保有する食品衛生責任者証明書(ケータリング、レストラン、フードコート、食堂事業者のみ)
  • 清掃プログラム
  • 物件のレイアウト図面
  • 認定書(申請がライセンス保有者あるいはライセンスを保有する会社の社員によってなされない場合)
  • げっ歯類、ゴキブリおよびはハエなどを対象とした年間ライセンス期間中の駆除契約書。契約の対象となる食料品店の敷地内検査の頻度は、害虫の侵入のいかなる兆候をも検出するために、少なくとも月に1回とする。
  • 営業時間、店舗名、販売品目などに関する補足情報
  • 11.(重要管理項目が特定されている)食品安全管理計画または「WSQ Apply FSMS for Food Service Establishments」コースへの参加申込(ケータリング事業者のみ)
  • ケータリング車両の内部と外部を写した写真
  • ケータリング車両の所有権を証明するための貸し出し車両の車両記録カードあるいはテナント契約
  • ケータリング車両の清掃プログラム

前記に加え、販売許可の要件として、新型コロナウイルスの拡大に伴い、食品や飲料の販売または販売準備を行うスタッフは、全員マスクもしくは何らかの防護策を講じることが求められるようになりました。違反した場合は、最高5,000Sドルの罰金、もしくは営業停止やライセンスのはく奪もありえますので、注意してください。

食品加工工場や食品貯蔵・保管施設などの運営許可のための要件
牛乳・乳製品を含む食品の卸売りを目的とする冷蔵倉庫、食品加工工場(セントラル・キッチン、容器包装の詰め替えを含む)などの食品事業所の設立には、食品販売法(Sale of Foods Act)および食肉・魚介類法のもと、SFAより食品事業所ライセンス(Food Establishment Licence)を取得しなければなりません。なお、食品貯蔵倉庫は施設登録のみが必要となります。申請から認可までの流れは次のとおりです。
  1. 施設の立地条件の適合性の確認
    食品加工施設、冷蔵倉庫、食肉処理場は、食品ゾーンエリアまたは適合する産業用途があるエリア内に設置する必要がある。
  2. SFAにライセンスの申請
    GoBusiness Licensingのウェブサイトから申請可能。SFAの事前審査には、次の書類が必要。
    • 施設のレイアウト図面
    • 食品加工フローチャート
    • 製品の明細
  3. 最終査察
    SFAライセンスオフィサーに連絡し、最終査察の予約を取ることが必要。最終査察では次の書類が求められる。
    • 施設メンテナンス・プログラム
    • 清掃・衛生プログラム
    • 害虫管理プログラム
    • 食品衛生責任者の氏名・経歴などの明細
    • 食品取扱者の氏名などの明細
    • 施設の賃貸仮契約書
  4. ライセンス承認
    ライセンス申請はGoBusinessライセンスシステムを介して承認され、ライセンス料を支払うと新しいライセンスを印刷できる。

前記のライセンス申請を行うには、事前にACRAまたは法人登録が必要となり、また申請時に申請手数料(初回のみ)として157.50 Sドルがかかります。年間ライセンス料は次のとおりで、GIROもしくはGoBusiness Licensingのウェブサイトからの支払いが可能です。

  • 食肉・水産物加工工場もしくは保管用冷凍冷蔵倉庫:260Sドル
  • 食肉・水産物以外の食品加工工場の運営ライセンス
    • 敷地面積が200平方メートル未満:180 Sドル
    • 敷地面積が200~750平方メートル未満:360 Sドル
    • 敷地面積が750平方メートル以上:600 Sドル
  • 食肉・水産物保管用冷凍・冷蔵倉庫以外の食品貯蔵・保管倉庫:申請手数料・ライセンス料とも不要

5. その他

調査時点:2022年8月

施設登録・認定
SFAは2023年1月1日から現行制度に代わり、食品施設に対する新たな食品安全保証ライセンスの枠組みである、食品施設安全保証制度(The Safety Assurance for Food Establishments (SAFE) framework)を導入する予定です。この枠組みの下では、小売および非小売食品施設の双方が、食品安全保証に関して良好な実績を示し(記載された期間を通じて食品安全上大きな問題が生じないなど)、上級食品衛生管理者(Food Hygiene Officer/FHO)や食品安全管理システムなど、より高度な食品安全や衛生基準の確保のため、何らかのリソースおよびシステムを導入した場合、ライセンス機関の延長やより上位の認証付与の対象とされます。
食品安全リスクの程度によって、A~Cの食品施設に分類、また衛生上大きな問題が生じなかった期間によって、4段階(No Award:1年 Bronze:3年、Silver:5年、 Gold:10年)に格付け・ライセンス期間の決定がなされます。
またこれに付随し、食品安全コース(FSC)という食品取扱者、FHO、上級FHO向けのトレーニングコースが導入されます。
FSCは四段階にレベル分けされており、すべての食品取扱者がWSQ(Workforce Skills Qualification)食品安全コースレベル1に参加し、合格することが必要となります。また、カテゴリーAに分類されるすべての食品施設は、WSQ食品安全コースレベル3に合格したFHOを任命すること、またGoldを目指す場合はレベル4に合格した上級FHOを任命することが求められます。
衛生管理者などの配置
食品事業所または食品小売事業所の営業許可を取得するためには、FHOの資格を持つ者を管理者として1人以上擁していなければなりません。FHOは、食品・飲料衛生監査コース(WSQ Conduct Food & Beverage Hygiene Audit course)に合格しなければなりません。また、すべての食品取扱者は、食品衛生基礎コースの修了証書を取得し、SFAに登録する義務があります。ただし、食品・飲料衛生監査コースに合格した人が食品取扱者になる場合は、食品衛生基礎コースを修了する必要はありません。
ケータリング事業者には、より高度な食品衛生基準が求められ、2019年4月以降、新しく免許を申請するケータリング業者は、食品サービス事業のための食品安全管理システム(Food Safety Management System:FSMS)の申請コースに出席する職員を任命し、当該コースに合格する必要があります。加えて、ライセンス発行後3カ月以内にFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。また、新たに免許を更新するケータリング業者は、免許更新日の少なくとも3カ月前までにFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。更新日までに、要件を満たすことができなかった場合、当該ケータリング業者は事業を中止しなければなりません。
食品衛生コースなどの職業上の能力・技術を国家資格として認める労働力技能資格(WSQ) 制度は、教育省、労働省、通商産業省傘下のスキルズフューチャー・シンガポール(SSG)が所管しています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
スキルズフューチャー・シンガポール(SSG)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
環境公衆衛生法 (Environmental Public Health Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
環境公衆衛生(食品衛生)規制 (Environmental Public Health (Food Hygiene) Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品販売(食品事業所)規制 (Sale of Food (Food Establishments) Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
計画(クラス使用)規則 (Plannning (Use Classes) Rules)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
農林水産省 輸出食品に関する自由販売証明書の発行申請について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Singapore's Food Safety Standards(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Responsibilities of Food Establishment Operators(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Food Hygiene Recognition Scheme(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Information for Food Handlers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Information for Food Hygiene Officers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Food Retail(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家環境庁(NEA) Code of Practice on Environmental Health(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(686KB)
スキルズフューチャー・シンガポール(SSG) 労働力技能資格(WSQ)制度(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Safety Assurance for Food Establishment (SAFE) Framework外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

その他

調査時点:202年8月

ハラール認証
シンガポールでは、豚肉・豚脂など豚成分を含まず、イスラーム教の定める適正な方法で処理された食品にハラールマークを表示できる、ハラール認証制度があります(なおハラール認証はあくまで任意であり、義務ではありません)。認証は国内唯一の認証機関である政府系機関のシンガポール・イスラーム評議会(MUIS)が発行しています。ハラール認証の取得方法の詳細は、関連リンクのその他参考情報を参照してください。
有機認証制度
シンガポールには有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制では、コーデックス委員会(CODEX)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示 および販売にかかるガイドライン」(GL 32-1999)の第6条第3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度のもとで「有機」と認証された食品には「有機」という語句をラベル表示できるとされています。よって、日本の有機JAS制度による認証を受けた有機農産物および有機農産物加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でそのまま有機農産物、有機加工食品として販売することは可能です。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(596KB)
第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載
その他参考情報
農林水産省 日本語版コーデックス規格外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
有機的に生産される食品の生産、加工、表示及び販売に係るガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(839KB)