日本からの輸出に関する制度

鶏卵の輸入規制、輸入手続き等

品目の定義

調査時点:2022年8月

本ページで定義する鶏卵および鶏卵加工品のHSコード

040711~040790
:殻付きの鳥卵
040811~040899
:殻付きでない鳥卵、卵黄
210690
:調製食料品(豆腐など)
350211~350219
:卵白

輸入食品の品質・安全管理を所管するシンガポール食品庁(SFA)は、輸入管理品目である食品のHSコードをさらに細かく分類したSFA独自の商品コードを規定しており、輸入者は輸入許可申告の際に、HSコードとともにこの商品コードをシンガポール税関およびSFAに申告することが求められます。

2019年4月1日以降、農食品・獣医庁(AVA)が解体され、シンガポール食品庁(SFA)が新設されたことで、AVAが所管していた輸入食品および動植物の管理・検疫業務が三つの組織へ分割移管されました。食品関連はSFAが、非食品関連は国立公園局(NParks)の管轄となり、非食品のうち動物・家畜部門はNParks内の組織である、動物・獣医サービス(AVS)が担当となっています

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2022年8月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
鶏卵および同加工品の輸入は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する動物・鳥類法および食品販売法(Sale of Food Act)により規制されています。
ハイリスクの食品に分類される鶏卵・同製品についてはSFAが認定した原産国の、認定された食品事業所(孵卵場、食品加工工場など)からのみ輸入することができます。SFAへの原産国認定および食品事業所認定の申請は輸出国政府の管轄機関により行われなければなりません。シンガポール向けに輸出が認定されている原産国および食品事業所のリストはSFAのウェブサイトで参照することができます。
日本からの食用卵の輸入はSFAにより認定されています。食用卵をシンガポールへ輸出することができるSFA認定事業者(生産農場)は、青森県、茨城県、神奈川県、愛知県、大分県、沖縄県、千葉県、に所在する7県の11事業者となっています。また、鶏卵加工品を含む、家きん肉や家きん肉製品および家きん卵製品についても、日本からの輸入が2019年5月31日から解禁となり、調査時点で佐賀県と静岡県の家きん卵製品の生産認定事業者が2社認定済みです。
東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制
2021年5月28日付けで、東京電力福島第一原子力発電所事故にかかる輸入規制はシンガポール政府により撤廃されました。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2022年8月

食用卵
シンガポールへの食用卵の輸出がシンガポール食品庁(SFA)より認可されている国は、日本を含めた16カ国であり、「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に記載のとおり、日本からは食用卵生産農場として、11事業者がSFAより輸出認可されています。SFAより認可を受けるためには、申請の際に、農場および孵卵場の名称、住所、位置、規模、家きんの数、品種、毎月の推定生産量、衛生状態、管理方法、輸出国獣医当局によるワクチン計画などの情報を、すべて英語で提供する必要があります(SFAサイト内「Application form for export of table eggs to Singapore」参照)。なお、SFAによる認定または再認定を希望する農場は、SFA認定種鶏場から、新たに初生雛を導入することを求められる場合があります。
鶏卵製品
「1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に記載のとおり、2019年5月31日から、鶏を含む家きん肉や家きん肉製品および家きん卵製品の日本からシンガポールへの輸出が解禁となり、家きん卵製品製造施設として、2事業者が認定されています。
家きん肉や家きん肉製品および家きん卵製品の輸出を希望する場合には、当該食鳥処理場、食肉処理場および製品製造施設の設置者または営業者が、当該施設を管轄する都道府県、保健所設置市または特別区の衛生部局および畜産部局の協力を得て、SFAのウェブサイトに定める申請書類(日本語および英語一部ずつ)を作成し、厚生労働省宛に提出します(その場合、施設を管轄する都道府県知事、保健所を設置する市の市長または特別区長を経由)。また日本語の写しを当該施設が所在する地域を管轄する地方厚生局宛に提出します。その場合、次の1~3に適合していなければなりません。
  1. 食鳥検査法第3条に基づく食鳥処理の事業の許可または食品衛生法(昭和 22 年法律第 233 号)第 52 条第1項に基づく営業許可を有していること。
  2. HACCP に基づく衛生管理を実施していること。
  3. その他食鳥検査法、食品衛生法などの関係法規を順守していること。
申請書類を受理した厚生労働省がSFAへ書類を送付、書類審査および必要に応じて施設の現地調査を実施し、認定を受けるとその情報がSFAのウェブサイトに掲載されます。厚生労働省は都道府県などを通じて、その旨を輸出希望者に通知します。
さらに家きん卵製品の輸出にあたっては、食品衛生検査所または保健所が発行する食肉衛生証明書(Heath Certificate)と、動物検疫所が発行する輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)を付して輸出しなければなりません。輸出検疫証明書の発行にあたっては、動物検疫所に対し、衛生証明書の複写を添えて輸出検査を申請する必要があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2022年8月

鶏卵は動物検疫の対象となります。

鶏卵を含む生きた動物・鳥類全般の防疫による輸入規制は、動物・鳥類法およびその付属規定である動物・鳥類(輸入)指令に定められています。

動物検疫の指定検疫物である食用卵の輸入にあたっては、輸出国の検疫機関により、船積み前7日以内に発行された輸出検疫証明書の提示が義務付けられています。

シンガポール食品庁(SFA)は食用卵の輸入に際して、次の衛生条件を定めており、低温殺菌処理済みの卵については、さらに厳しい条件が設定されています。

  • 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が輸出国において、届出義務のある伝染病に指定されていること。
  • 輸出日からさかのぼって12カ月間、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生がないこと。
  • 卵は無精卵であり、SFAによって鶏卵の輸入が認定された農場で飼育された鶏に由来すること。
  • 卵を産した農場は検査され、サルモネラ・エンテリティディス(腸炎菌)に感染されておらず、速現性ニューカッスル病が、輸出日からさかのぼって3カ月間、農場で診断されていないこと。
  • 卵は完全な殻に包まれており、清潔かつ新鮮で、ヒトの摂取に適していること。
  • 卵が衛生的な方法で取り扱われ、消毒された包装材に包装されていること。
  • 健康に害のある添加物や着色料が添加されていないこと。
  • 各農場から輸出される卵には、輸出日から7日前までに発行された輸出検疫証明書が添付されていること。
  • 卵を冷凍コンテナで輸送する場合は、製品が衛生的で新鮮な状態で到着するよう、終始温度を維持しなければならない。
  • 卵には生産農場を特定するため、当該国の管轄当局またはSFAが発行した固有の識別コードを表示されていなければならない。

シンガポールの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2022年8月

鶏卵・鶏卵加工商品の食品規格については、「輸入規制」に記載の衛生条件を除き、食品規制(Food Regulations)によっても特に規定されていません。

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2022年8月

シンガポールでは国内販売に供される食品全般の残留農薬をはじめ、残留抗生物質、残留エストロゲン、マイコトキシン)、3-MCPD、メラミン、細菌混入などの偶発混入成分に関する基準を食品規制(Food Regulations)で規定しています。

食品規制第9付表では、食品に残留する農薬の種類が列挙され、農薬ごとに対象となる食品と使用が認められている農薬の最大残留基準(MRL値)が明記されています。残留農薬ポジティブリスト形式で規定されており、この残留農薬基準を満たさない食品の輸入、販売、広告などは禁じられています。本規定で明示されていない農薬については、原則としてコーデックス委員会(国際食品規格委員会:CODEX)の勧告に準じ、同委員会が設定した基準値を超えてはならないと規定されています。
また、2種類以上の農薬が残留している食品については、それぞれの農薬について、実際の残留量を当該農薬の最大残留基準値で割った数値の合計が1を超えてはならないとされています。

残留抗生物質については、食品規制第32項(Antibiotic residues)に記載されており、検知可能な抗生物質やその変質した物質が含まれた乳製品、肉・肉製品やいかなる食品も、輸入および販売、広告、製造などを行うことが禁止されています。エストロゲンもほぼ同様の扱いになります(食品規制第33項)。ただし、卵液やチーズの保存料として使用されるナイシンについては、含まれていても問題ありません。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545 KB)
第3部(General Provisions)第29項~35項(Incidental constituents in food)および第9付表(Food with maximum amounts of pesticides)、第11付表(Microbiological standard for food)に農薬、細菌等の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2022年8月

食品に含まれる重金属の残留基準は、食品規制において定められています。鶏卵および鶏卵加工品における重金属の最大残留基準値は、次のとおりです。

ヒ素
1ppm
2ppm
水銀t
0.05 ppm
スズ
250 ppm
カドミウム
0.2 ppm
アンチモン
1 ppm

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545 KB)
第3部(General Provisions)第31項(Heavy metals, arsenic, lead)および第10付表(Maximum Amounts of Arsenic, Lead Permitted in Food)に重金属の最大残留基準値が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Commercial Food Imports(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

4. 食品添加物

調査時点:2022年8月

シンガポールでは食品に使用することが認められる食品添加物は、固化防止剤や酸化防止剤等、14 の機能に分類されており、食品規制(Food Regulations)で規定されている基準に従って使用されている場合、食品への使用が認められます。シンガポール食品庁(SFA)では、その使用が認められている物質を表示するポジティブリスト形式で規定していますが、風味増強剤など一部については、使用が認められていない物質をネガティブリストとして掲げています。食品規制に純度が明示されていない食品添加物の場合、許可された食品添加物の純度は、国際連合食糧農業機関及び世界保健機関(FAO/WHO)による、合同食品添加物専門家委員会が推奨する仕様に適合することが必要です。認可食品添加物および最大使用基準値は食品規制第3付表~第8付表および第13付表に掲載されています。

関連リンク

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2022年8月

食品に触れる容器包装は食品規制(Food Regulations)に一般規格基準が定められており、その規格基準に適合していなければなりません。個別食品に対する包装容器の規定は特に定められていません。

食品規制では、食品容器包装において、塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppm以下を規格とし、塩化ビニルモノマーを0.01ppm以上食品中に溶出させるとみられる容器包装、あるいは発がん性、変異原性、催奇性またはほかの毒性または有害性のある物質であることが知られている化合物を食品中に溶出する可能性のある容器包装の使用を禁じています。塩化ビニルモノマーの残留限度1 ppmは、2012年9月の食品規制改訂で新たに加えられ、かつ溶出限度は0.05ppmから0.01ppmに引き下げられているため、注意が必要です。

また、食品規制では、食品の貯蔵、準備、調理の段階で、鉛、アンチモン、ヒ素、カドミウム、その他の毒性物質を食品に付与する可能性のある器具、容器、食器の使用を禁じています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545 KB)
第3部(General Provisions)第37項(Containers for food)に容器包装・食器の規格が掲載
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

6. ラベル表示

調査時点:2022年8月

シンガポールでの販売時の表示義務は、食品規制に規定されています。食品規制では、食品全般の一般表示義務項目として、包装済み食品のラベルに以下の項目を英語で表示することが求められます。1.~4.については印字の高さが1.5mm以下であってはなりません。
卵には、生産農場を特定するため、管轄当局、すなわちSFAによって発行された個別識別コードを、食用染料(注)で表示しなければならない。
(注)食品染料について、SFA(管轄当局)による事前承認は不要。

  1. 商品名または一般分類名
  2. 成分(2種類以上の成分からなる食品の場合、重量の大きい順に表示)
  3. 合成着色料名(合成着色料タートラジンなどを含有する食品の場合のみ)
  4. 内容量(正味容量または重量)
  5. 原産国および輸入者(代理人)名と住所
  6. アレルゲン表示(鶏卵の場合は商品名の「Egg」が代替表示となるため、あらためて含む旨の表示は不要です。鶏卵加工品にはアレルゲン表示の義務があります。)
  7. 人工甘味料アスパルテームを含有する食品の場合の記載

栄養表示/カロリー表示は食品規制第8A~9B項および第11項に規定されています。シンガポールでは、エネルギー価(kcalまたはkJ)、タンパク質(g)、炭水化物(g)、脂質(g)、その他の栄養素の含有量(g、ナトリウム、カリウム、コレステロールなどの分量はmcgまたはmg)を、食品規制第12付表で規定された「栄養情報パネル」(nutrition information panel、栄養情報パネルはビタミン、ミネラルの表示には使用できません)、で表示していないかぎり、「エネルギー源」「タンパク質源」「低カロリー」「シュガーフリー」などと、当該食品に関する栄養面での強調表示を行うことができません。一方、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、葉酸、ナイアシン、カルシウム、ヨウ素、鉄分、リンなどビタミンおよびミネラルの栄養表示を行う場合には、それぞれの食品に含まれるべきビタミン、ミネラルの含有成分量が1日当たり摂取目安量の6分の1以上含まれていなければならず、ビタミンおよびミネラルの強調表示を行う場合には、含有成分量が1日当たり摂取目安量の50%以上を満たさなければなりません。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545 KB)
第3部(General Provisions)第5項(General requirements for labelling)および第2付表(Date-marking of prepacked food)に食品全般の一般表示要件、第10項(Date marking)に日付の表示要件、第IV部(Standards and Particular Labelling Requirements For Food)第71項~77項(Fish and Fish Products)に個別ラベル表示要件が掲載
計量法 (Weights and Measures Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食卓卵の輸入のための衛生条件(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(90KB)
その他参考情報
シンガポール食品庁(SFA) Labelling Guidelines for Food Importers & Manufacturers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) A Guide to Food Labelling and Advertisement(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(620 KB)

7. その他

調査時点:2022年8月

特になし。

シンガポールでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2022年8月

輸入ライセンス
鶏卵の輸入者は、シンガポール食品庁(SFA)から、事前に食用卵の輸入ライセンス(Licence to Import Table Eggs)を取得しなければなりません。
鶏卵加工品の輸入者は、輸入ライセンスは不要ですが、事前にSFAに対し加工食品および食品容器の輸入に関する事業者登録が必要となります(Registration to Import Processed Food Products and Food Appliances)。
SFAへの輸入ライセンスまたは事業者登録申請に必要となる書類は次のとおりです。.
  • 会計・法人規制庁(ACRA)に会社を登記した際に発行され、シンガポール税関に登録された個別企業登録番号(UEN)
  • 年間ライセンス料や輸入許可手数料をSFAが自動引き落としするための銀行口座(GIRO)開設書類
ライセンス申請はSFAのライセンス申請サイトGoBusinessを通じて行います。食用卵の輸入ライセンス取得には5営業日を要しますが、ライセンス料は不要です。
輸入許可
あらゆる食品の輸入者は輸出入規制法のもと、貨物がシンガポールに輸入される前に、貿易に関する電子データ交換システム「Networked Trade Platform」内の「トレードネット・システム」を通じて、船積みごとに事前申告を行い、輸入許可を取得しなければなりません。輸入申告には船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)、必要に応じて衛生証明書などが必要となります。申告から輸入許可取得まで通常、1営業日を要します。
シンガポール税関とSFAによって輸入が許可されると、貨物通関許可(CCP)が発行されます。輸入者はCCPを印刷して、通関のチェックポイントで提示することにより貨物を引き取ることができます。
輸入者はCCPの承認コードに特別な条件が付いていないかをチェックしなければなりません。何らかの条件が付いていると、貨物は封印され、貨物を開梱して販売に供することができません。例えば、CCPの承認コードがA03となっていると、輸入貨物は政府認定試験所による検査を受けなければならないという意味です。その場合、輸入者は政府認定検査・試験所eサービスを通じて検査のオンライン予約をして、SFAの検査官によるサンプリングおよび検査を受けます。検査で不合格となれば、輸入業者は輸入した貨物を輸出元へ返送するか廃棄処分しなければなりません。違反した場合、その性質によって、生産者あるいは輸出者からの輸入停止措置が取られることもあります。
鶏卵・同加工品を輸入する場合、船積みごとに輸入許可手数料として、1件あたり62 シンガポール・ドル(以下Sドル)(生卵、塩漬け卵、皮蛋)、または22 Sドル(その他の鶏卵加工品)が徴収されます。同時に輸入時点の為替レートで換算し、諸税(一般関税、物品税、財・サービス税)をシンガポール税関に支払います。輸入許可手数料および諸税の支払いは、輸入者(代理人)があらかじめシンガポール税関に対し開設している専用口座から自動的に引き落とされます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2022年8月

鶏卵・同加工品の輸入通関にあたり、船荷証券(B/L)またはエアウェイビル(AWB)、インボイス、パッキングリスト(P/L)に加えて、輸出国の検疫機関が発行した輸出検疫証明書、また必要に応じて、産地証明書、放射性物質検査報告書が必要になります。

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2022年8月

すべての食品の輸入者は、通関後直ちに検査官(authorized examiner)に連絡して、国内流通または販売に供する以前に、輸入直後に保管されている場所で、輸入者の費用負担で輸入検査を実施しなければなりません。
輸入検査は、(1)一般検査(検査対象は輸入された全貨物)、(2)詳細検査(検査対象は輸入許可と衛生証明書において申告された鶏卵のうち、少なくとも一つの基本包装単位)に分かれ、検査の結果、消費に適すると判断されると、販売に供することができます。

SFAは体系的監視プログラムを導入しており、このプログラムのもとで、食品安全性試験のための食品のサンプリングに加え、記述内容を含めた表示要件への順守に関する食品の検査を実施しています。なお、肉・肉製品、卵(鶏卵および加工品)、水産物、果物・野菜、加工食品などについては、検査のための事前オンライン予約が可能です。特に2015年6月以降、チャンギ空港を経由して鶏卵を輸入する場合は、チャンギ空港動物植物検疫所での検査を、少なくとも1日前にオンライン予約することが求められるようになりました。

各食品の試験項目は、食品に関連するリスクに依存します。SFAは基本的な試験検査項目として次のリストを公表しています。このリストは網羅的なものではなく、SFAは次のリストに記載されていない追加項目について試験を実施することもあります。

理化学試験検査項目
  • 残留農薬:有機塩素、ピレスロイド、N-メチルカルバメート、ジチオカルバメート、有機リン酸塩
  • 保存料:安息香酸、ホウ酸、ソルビン酸、二酸化硫黄、メチルパラベン、メチル-p-ベンゾエート、プロピルパラベン、プロピル-p-ベンゾエート、ホルムアルデヒド
  • 重金属:ヒ素、アンチモン、カドミウム、銅、鉛、水銀、スズ、セレン、無機ヒ素
  • マイコトキシン:アフラトキシン(B1&2、G1&2)、オクラトキシンA、フモニシン、デオキシニバレノール、ゼアラレノン
  • 着色料:パラレッド、スーダンI、II、III&V、クリソジン、ベーシック黄色
  • 甘味剤:アセスルファム-K、スクラロース、ステビオシド、サッカリン、シクラメート、レバウジオシド
  • その他:ブロメート
微生物試験検査項目
コロニー数/プレート数、大腸菌群、大腸菌、糞便性大腸菌、大腸菌O157、サルモネラ、枯草菌、バチルスエンテロトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンス、リステリアモノサイトゲネス、ブドウ球菌、ブドウ球菌エンテロトキシン、クロストリジウムボツリヌス菌

関連リンク

4. 販売許可手続き

調査時点:2022年8月

食品小売販売許可のための要件
食品小売販売許可は、以前はシンガポール国家環境庁(NEA)の管理下にありましたが、2019年4月1日以降、シンガポール食品庁(SFA)の管轄になりました。2019年3月31日以前にNEAにより発行されたライセンスに関しては、当該ライセンスに記載された期日までは有効です。
レストラン、カフェ、バーなどの外食店、ケータリング事業者、スーパーマーケットを含む食品小売事業所は、環境公共衛生法に基づき、SFAより食品店舗ライセンス(Food Shop Licence)を取得しなければなりません。ライセンスは1年間有効で年間ライセンス料が195 シンガポール・ドル(以下Sドル)かかります。ライセンス取得までに要する時間は、諸要件を満たすための店内の改装や、規定に順守しているか確認するための事前実地検査、書類の準備、ライセンス料金の支払いなど、それぞれにかかる時間によって異なります。
ライセンスの申請は、シンガポール政府ライセンス申請サイトGoBusinessを通して行います。申請から認可までの流れは次の通りです。
  1. GoBusiness Licensingのサイトへ、Singpassを用いてログインし、必要な書類をすべて提出すると、SFAからIn-Principle Approval (IPA)が発行される。所要日数は5営業日程度。
  2. 店舗の改装完了の際に、SFA online feedback form外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます経由で、ライセンス取得前査察の日程を予約。査察日の確定までは2営業日程度。
  3. ライセンス要件に完全に準拠していることが確認され、必要な書類を提出すると、SFAからの認可が下りる。3営業日以内にメールおよびGoBusiness経由で通知が届く。

申請に必要な書類は次のとおりです。

  • 店舗となる建物や土地を管理する政府機関からの使用許可
  • 賃貸借契約書
    • ライセンスを承認して発行する前の最終段階でのみ必要となるため、承認前の段階では契約しないことが推奨されます。
  • 申請者に関する次のうちのいずれかの情報
    • 個人の場合、国民登録管理カード(NRIC)の両面
    • 会社の場合、会計企業規制庁(ACRA)からの事業構成情報
    • その他の団体の場合、団体登記機関が発行する登録証明書
  • 食品取扱者の食品安全コースレベル1修了証
  • 食品衛生責任者の保有する食品衛生責任者証明書(ケータリング、レストラン、フードコート、食堂事業者のみ)
  • 清掃プログラム
  • 物件のレイアウト図面
  • 認定書(申請がライセンス保有者あるいはライセンスを保有する会社の社員によってなされない場合)
  • げっ歯類、ゴキブリおよびはハエなどを対象とした年間ライセンス期間中の駆除契約書。契約の対象となる食料品店の敷地内検査の頻度は、害虫の侵入のいかなる兆候をも検出するために、少なくとも月に1回とする。
  • 営業時間、店舗名、販売品目などに関する補足情報
  • (重要管理項目が特定されている)食品安全管理計画または「WSQ Apply FSMS for Food Service Establishments」コースへの参加申込(ケータリング事業者のみ)
  • ケータリング車両の内部と外部を写した写真
  • ケータリング車両の所有権を証明するための貸し出し車両の車両記録カードあるいはテナント契約
  • ケータリング車両の清掃プログラム

前記に加え、販売許可の要件として、新型コロナウイルスの拡大に伴い、食品や飲料の販売または販売準備を行うスタッフは、全員マスクもしくは何らかの防護策を講じることが求めらえるようになりました。違反した場合は、最高5,000Sドルの罰金、もしくは営業停止やライセンスのはく奪もありえますので、ご注意下さい。

食品加工工場や食品貯蔵・保管施設などの運営許可のための要件
鶏卵を含む食品の卸売りを目的とする冷蔵倉庫、食品加工工場(セントラル・キッチン、容器包装の詰め替えを含む)などの食品事業所の設立には、食品販売法(Sale of Foods Act)および食肉・魚介類法のもと、SFAより食品事業所ライセンス(Food Establishment Licence)を取得しなければなりません。
なお、食肉、魚介類、卵の冷蔵倉庫および食品加工工場については、CONDITIONS OF LICENSING FOR MEAT, FISH, EGG PROCESSING ESTABLISHMENTS AND COLD STORESにて、 A(構造)からZ2(書類の提出)まで28項目、さらに各項目の下に詳細にわたる条件が設けられています。
これらの条件を満たしたうえで、ライセンス取得申請を行うにあたっては、次のプロセスが必要となります。
  1. 施設の立地条件の適合性の確認
    食品加工施設、冷蔵倉庫、食肉処理場は、食品ゾーンエリアまたは適合する産業用途があるエリア内に設置する必要がある。
  2. SFAにライセンスの申請
    GoBusiness Licensingのウェブサイトから申請可能。SFAの事前審査には、以下の書類が必要。
    • 施設のレイアウト図面
    • 食品加工フローチャート
    • 製品の明細
  3. 最終査察
    SFAライセンスオフィサーに連絡し、最終査察の予約を取ることが必要。最終査察では以下の書類が求められる。
    • 施設メンテナンス・プログラム
    • 清掃・衛生プログラム
    • 害虫管理プログラム
    • 食品衛生責任者の氏名・経歴などの明細
    • 食品取扱者の氏名などの明細
    • 施設の賃貸仮契約書
  4. ライセンス承認
    ライセンス申請はGoBusinessライセンスシステムを介して承認され、ライセンス料を支払うと新しいライセンスを印刷できる。

前記のライセンス申請を行うには、事前にACRAまたは法人登録が必要となり、また申請時には申請手数料(初回のみ)として157.50 Sドルがかかります。年間ライセンス料は次のとおりで、GIROもしくはGoBusiness Licensingのウェブサイトから支払いが可能です。

  • 食品加工工場の運営ライセンス
    • 食品加工工場で敷地面積が200平方メートル未満:180 Sドル
    • 食品加工工場で敷地面積が200~750平方メートル未満:360 Sドル
    • 食品加工工場で敷地面積が750平方メートル以上:600 Sドル
  • 食肉・水産物保管用冷凍・冷蔵倉庫を除く食品貯蔵・保管倉庫の登録:無料

5. その他

調査時点:2022年8月

施設登録・認定
SFAは2023年1月1日から現行制度に代わり、食品施設に対する新たな食品安全保証ライセンスの枠組みである食品施設安全保証制度(The Safety Assurance for Food Establishments (SAFE) framework)を導入する予定です。この枠組みの下では、小売および非小売食品施設の双方が、食品安全保証に関して良好な実績を示し(記載された期間を通じて食品安全上大きな問題が生じない等)、上級食品衛生管理者(Food Hygiene Officer/FHO)や食品安全管理システム等、より高度な食品安全や衛生基準の確保のため、何らかのリソースおよびシステムを導入した場合、ライセンス機関の延長やより上位の認証付与の対象とされます。
食品安全リスクの程度によって分けられたA~Cの食品施設に分類、また衛生上の大きな問題が生じなかった期間によって、4段階(No Award:1年 Bronze:3年、Silver:5年、 Gold:10年)に格付け・ライセンス期間の決定がなされます。
また、これに付随し食品安全コース(FSC)という食品取扱者、FHO、上級FHO向けのトレーニングコースが導入されます。
FSCは四段階にレベル分けされており、すべての食品取扱者がWSQ(Workforce Skills Qualification)食品安全コースレベル1に参加し合格することが必要となります。また、カテゴリーAに分類されるすべての食品施設は、WSQ食品安全コースレベル3に合格したFHOを任命すること、またGoldを目指す場合はレベル4に合格した上級FHOを任命することが求められます。
衛生管理者などの配置
食品事業所または食品小売事業所の営業許可を取得するためには、FHOの資格を持つ者を管理者として1人以上擁していなければなりません。FHOは、食品・飲料衛生監査コース(WSQ Conduct Food & Beverage Hygiene Audit course)に合格しなければなりません。また、すべての食品取扱者は、食品衛生基礎コースの修了証書を取得し、SFAに登録する義務があります。ただし、食品・飲料衛生監査コースに合格した人が食品取扱者になる場合は、食品衛生基礎コースを修了する必要はありません。
ケータリング事業者には、より高度な食品衛生基準が求められ、2019年4月以降、新しく免許を申請するケータリング業者は、食品サービス事業のための食品安全管理システム(Food Safety Management System:FSMS)の申請コースに出席する職員を任命し、当該コースに合格する必要があります。加えて、ライセンス発行後3カ月以内にFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。また、新たに免許を更新するケータリング業者は、免許更新日の少なくとも3カ月前までにFSMSプランを提出し、それに従う必要があります。更新日までに、要件を満たすことができなかった場合、当該ケータリング業者は事業を中止しなければなりません。
食品衛生コースなどの職業上の能力・技術を国家資格として認める労働力技能資格(WSQ) 制度は、教育省、労働省、通商産業省傘下のスキルズフューチャー・シンガポール(SSG)が所管しています。

関連リンク

関係省庁
シンガポール食品庁(SFA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
スキルズフューチャー・シンガポール(SSG)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
環境公衆衛生法 (Environmental Public Health Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
環境公衆衛生(食品衛生)規制 (Environmental Public Health (Food Hygiene) Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品販売法 (Sale of Food Act)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
食品販売(食品事業所)規制 (Sale of Food (Food Establishments) Regulations)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
計画(クラス使用)規則 (Plannning (Use Classes) Rules)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
その他参考情報
農林水産省 輸出食品に関する自由販売証明書の発行申請について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Singapore's Food Safety Standards(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Good Food Safety Practices(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Responsibilities of Food Establishment Operators(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Food Hygiene Recognition Scheme(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Information for Food Handlers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Information for Food Hygiene Officers(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Food Retail(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
国家環境庁(NEA) Code of Practice on Environmental Health(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.1MB)
スキルズフューチャー・シンガポール(SSG) 労働力技能資格(WSQ)制度(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
シンガポール食品庁(SFA) Safety Assurance for Food Establishment (SAFE) Framework外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

シンガポール内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2022年8月

鶏卵は関税の課税対象品目ではありません。

2. その他の税

調査時点:2022年8月

物品税
鶏卵は物品税の課税対象品目ではありません。
財・サービス税(GST)
あらゆる商品の輸入者は輸入申告の際にCIF価額(FOB価額+保険料+運賃)に関税、物品税、手数料を足した合計に7%の税率をかけた財・サービス税(GST)をシンガポール税関に納付しなければなりません。
輸入者は、シンガポール内国歳入局(IRAS)にGST登録しておくと、3カ月ごとに売上税額(売上時に販売先から回収するGST)と仕入税額(輸入時に税関に支払ったGST)とを相殺(仕入税額控除)し、その差額をIRASに納付することになります。

3. その他

調査時点:2022年8月

なし

その他

調査時点:2022年8月

ハラール認証
シンガポールでは、豚肉・豚脂など豚成分を含まず、イスラーム教の定める適正な方法で処理された食品にハラールマークを表示できる、ハラール認証制度があります。認証は国内唯一の認証機関である政府系機関のシンガポール・イスラーム評議会(MUIS)が発行しています。ハラール認証の取得方法の詳細はその他参考情報をご参照ください。
有機認証制度
シンガポールには有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制(Food Regulations)では、コーデックス委員会(CODEX)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示および販売にかかるガイドライン」(GL 32-1999)の第6条第3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度のもとで「有機」と認証された食品には「有機」という語句をラベル表示できるとされています。よって、日本の有機JAS制度による認証を受けた有機農産物および有機農産物加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でそのまま有機農産物、有機加工食品として販売することは可能です。

関連リンク

関係省庁
農林水産省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545 KB)
第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載
その他参考情報
農林水産省 日本語版コーデックス規格外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます