日本からの輸出に関する制度

牛肉の輸入規制、輸入手続き

シンガポールの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2019年10月

シンガポールの法令により輸入が禁止・制限されている品目
牛肉を含む肉・同製品の輸入は、シンガポール食品庁(SFA)が所管する食肉・魚介類法および食品販売法により規制されています。シンガポールへ輸出しようとする肉・同製品は、食品販売法の付属規定である食品規制で定められている食品規格を満たしていなければなりません。肉・同製品の食品規格は食品規制の第Ⅳ部(食品規格と個別ラベル表示要件)第59項~第70項(肉・同製品)に記載されています。
ハイリスクの食品に分類される肉・同製品については、SFAが認定した原産国の、認定された食品事業所(と畜場、食肉処理場、食品加工工場など)から、認定された製品のみを輸入することができます。SFAへの原産国認定および食品事業所認定の申請は輸出国政府の管轄機関により行われなければなりません。シンガポール向けに輸出が認定されている原産国および食品事業所などのリストはSFAおよび厚生労働省のウェブサイトで参照することができます。
なお、既にSFAから認定されている食品事業所が、新たな製品をシンガポールに輸出するには、食品事業所は加工法、製造工程、製品仕様書などを含む情報をSFAに提出して、新製品の認定を受けなければなりません。
一方、動物性油脂を含む肉の内容量が5%未満の加工食品に関しては、食品事業所はSFAの認定を受ける必要はありませんが、輸出に先立ち、製造工程一覧図、熱処理条件、原料肉の産地などの詳細に関する情報をSFAでの審査のために提出し、事前承認を受けなければなりません。製品の承認を受けると、輸出する食品事業所は船積みごとに、肉の種類、原料肉の産地、肉の熱処理工程、加工工程における衛生基準準拠を証明する宣誓書を添付することが義務付けられています。さらに食品事業所の宣誓書は輸出国の政府管轄機関によりその内容が保証されなければなりません。
なお、牛肉・肉製品のうち、検査強化品目に指定されているのは、牛肉エキスおよび牛肉角、牛肉汁、牛肉由来ゼラチンなどの牛肉エキスを含む加工食品です。牛肉エキスおよび牛肉エキスを含む加工食品の輸入は牛海綿状脳症(BSE)または狂牛病の影響を受けていない国からのみが許可され、輸出国の動物検疫当局による検疫証明書(船積みごと)の提出が必要となります。検疫証明書には、(1)牛肉エキスなどの原産と日付、(2)製品が BSEの影響を受けている国由来でないことの記載が必要となります。さらに検疫証明書には、次の情報を含める必要があります。
  1. ブランド名、製品名
  2. 容量(重量)
  3. 製造ロット識別番号、製造日
  4. 製造者または加工工場名、住所
  5. 輸入者(荷受人)名、住所
  6. 輸出者(荷送人)名、住所
  7. 原産国
  8. 仕向け国

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2019年10月

1.輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)」に記載のとおり、肉・同製品についてはシンガポール食品庁(SFA)が認定した原産国の、認定された食品事業所(と畜場、食肉処理場、食品加工工場など)から、認定された製品のみ輸入することができますが、SFAへの原産国認定および食品事業所認定の申請は輸出国政府の管轄機関において行われなければなりません。日本側での認定手続きは次のとおりです。

対シンガポール輸出食肉を取り扱おうとする食品事業所の設置者は、食肉衛生検査所長や保健所長、都道府県知事、保健所設置市の市長のいずれかを経由して、厚生労働省あてに関係資料を添付のうえ申請し、併せて、申請書類の副本を当該事業所の所在する地域を管轄する地方厚生局あてに提出する必要があります。

厚生労働省は書類審査および現地調査において、事業所の施設や設備などが要件を満たしていると判断した場合、対シンガポール輸出食肉取扱施設として認定、SFAあてに通知をします。SFAのウェブサイトに当該事業所の名称などが掲載されたことが確認できた時点で、厚生労働省は都道府県知事または保健所設置市の市長を通じて、当該事業所に通知をします。

さらに食肉の輸出にあたっては、食肉衛生検査所または保健所が発行する食肉衛生証明書(Health Certificate)の原本と、動物検疫所が発行する輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate)を付して輸出しなければなりません。輸出検疫証明書の発行にあたっては、動物検疫所に対し、衛生証明書の複写を添えて申請する必要があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2019年10月

牛肉は動物検疫の対象となります。

牛肉を含む食肉全般の防疫による輸入規制は、食肉・魚介類法(Wholesome Meat and Fish Act)およびその付属規定である食肉・魚介類(輸出入・トランシップ)規則(Wholesome Meat and Fish (Import, Export and Transhipment) Rules)に定められています。

動物検疫の指定検疫物である牛肉・肉製品の輸入にあたっては、輸出国の検疫機関により発行された輸出検疫証明書(Export Quarantine Certificate、家畜の伝染性疾病の病原体を拡げる恐れがないことを証明したもの)の提示が義務付けられるとともに、シンガポールの検疫検査を受けたものでなければ輸入は認められません。

動物検疫所の輸出検疫を受けるためには、厚生労働省の「対シンガポール輸出食肉の取扱要綱」にのっとり施設認定を受け、食肉衛生検査所または保健所が発行する食肉衛生証明書が必要となります。

その他

調査時点:2019年10月

ハラール認証
シンガポールでは、豚肉・豚脂など豚成分を含まず、イスラーム教の定める適正な方法で処理された食品にハラールマークを表示できる、ハラール認証制度があります。認証は国内唯一の認証機関である政府系機関のシンガポール・イスラーム評議会(MUIS)が発行しています。ハラール認証の取得方法の詳細は、関連リンクのその他参考情報を参照してください。
牛肉およびその派生品でハラール認定を受けるためには、イスラームの方式に従ってと畜された牛でなければなりません。
有機認証制度
シンガポールには有機農産物、有機加工食品などの法律に基づく有機認証制度または自国の有機認証機関がありません。食品規制では、コーデックス委員会(CODEX)の「有機的に生産される食品の生産、加工、表示 および販売に係るガイドライン」(GL 32-1999)の第6条第3項「公的に認められた検査・認証制度」に準拠した認証制度の下で「有機」と認証された食品には「有機」という語句をラベル表示できるとされています。よって、日本の有機JAS制度による認証を受けた有機農産物および有機農産物加工食品のパッケージなどに有機JASマークを貼付してシンガポールに輸出し、店頭でそのまま有機農産物、有機加工食品として販売することは可能です。

関連リンク

関係省庁
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根拠法等
食品規制 (Food Regulations)(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(545KB)
第9B項(Limitations on making particular statements or claims on labels)に「有機」ラベル表示の制限が掲載
その他参考情報
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