日本からの輸出に関する制度菓子の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

調査時点:2023年9月

本ページで定義する菓子のHSコード

1704:チューインガム・ホワイトチョコレートなどの砂糖菓子でカカオを含まないもの
18062010:チョコレート菓子(ブロック、スラブ(板状)、または棒状のもの)
18069010:チョコレート菓子(タブレット、パスティーユ(小粒の飴状))
190531:ビスケット
190532:ワッフルおよびウエハー
190590:その他のもの(あられ、せんべいその他これらに類する米菓等)
2105:アイスクリームその他の氷菓(ココアを含有するかしないかを問わない。)

フィリピンの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年9月

日本からフィリピンへの菓子の輸出は可能です。ただし、次の「部分水素添加油脂の使用規制」に該当する菓子は、輸出できません。

部分水素添加油脂の使用規制

フィリピン保健省は2021年6月、保健省行政命令第2021-0039号(「非感染症疾患の予防と管理のための油脂の加工由来のトランス脂肪酸排除に関する国家政策」)を公表しました。
これに基づき、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)は2021年12月、FDA通達第2021-028号(「トランス脂肪酸を含む包装済み加工食品のガイドライン」、2022年10月に一部改訂)を公表しました(2023年6月19日施行)。これにより、次に該当する菓子は、フィリピン国内での製造、売買、輸入、流通および販売が禁止されているため、フィリピンへの輸出はできません。

  • 部分水素添加油脂を含む包装済み加工食品
  • 油脂の加工由来のトランス脂肪酸の量が脂質100 g(またはml)あたり2 gを超える包装済み加工食品

関連リンク

関係省庁
フィリピン貿易産業省(DTI)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン食品医薬品管理局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン関税局(BOC)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
フィリピン共和国法第10863号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(9.4MB)
Section118に輸出入が禁止されている製品が規定
フィリピン保健省行政命令第2021-0039号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(335KB)
「非感染性疾患の予防と管理のための油脂の加工由来のトランス脂肪酸排除に関する国家政策」として、トランス脂肪酸の規制の方針を記載
フィリピン食品医薬品管理局行政命令第2021-028号(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
「トランス脂肪酸を含む包装済み加工食品のガイドライン」。部分水素添加油脂を含む包装済み加工食品、油脂の加工由来のトランス脂肪酸高含有の包装済み加工食品の取り扱いを禁止
フィリピン食品医薬品管理局行政命令第2021-028-A号(英語)(通達第2021-028号を一部改訂)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
上記通達を一部改訂
その他参考情報
農林水産省「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「貿易管理制度」
農林水産省トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況(フィリピン)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年9月

日本から菓子を輸出する場合、輸出者側がフィリピン政府に対して行う手続きは特にありません。
一方、輸入者はフィリピン食品医薬品管理局(FDA)から(1)営業許可(License to Operate: LTO)と(2)製品登録証明(Certificate of Product Registration: CPR)を取得する必要があります。また、ココアを含有しないホワイトチョコレートなどの砂糖菓子(HSコード:17049020、17049099)、ブロック・スラブ(板状)・棒状のチョコレート菓子(HSコード:18062010)の輸入に際しては、砂糖規制庁(SRA)から(3)砂糖規制庁許可書(Premix Commodity Release Clearance:PCRC)を取得する必要があります。 輸入者が(2)製品登録証明の申請手続きを行うにあたり、次の書類の提出が求められており、輸出者側での取得支援が必要になります。また、輸入者は輸入商品のラベルや写真などもフィリピン食品医薬品管理局(FDA)に対して提出する必要があり、これらの作成・取得についても輸出者は輸入者を支援する必要があります。

  1. 次の書類のうちいずれか一点を提出
    • 適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)の規定を順守していることの証明書
    • 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)または衛生証明書(Health Certificate)
    • 国際標準規格ISO 22000の要求事項を順守していることの証明書
    • 原産国で発行されたHACCP適合証明書
    • 原産国の管轄規制官庁が発行した、または商工会議所などの公認の組織が発行し輸出国のフィリピン領事館が公証した自由販売証明 (Certificate of Free Sales)
  2. 分析証明書(Certificate of Analysis)
    食品分類ごとに求められる分析証明書を提出します。具体的に求められる分析証明書については、輸入手続きの「輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」を参照してください。
    なお、試験場所については特に規定はなく、日本でもフィリピンでも可能です。
    また、日本で行う試験について具体的な試験項目などは規定されていません。
  3. 食品のラベルや広告において栄養や健康面の効果などに関する訴求(Claim)をする場合、当該内容を裏付ける書類(関連する研究や報告書など)
  4. 砂糖規制庁許可書(PCRC)を申請するための書類(ビスケットについては不要)
    • 船荷証券
    • 商業送り状
    • パッキングリスト

また、輸入通関にあたり、フィリピン政府が日本からの輸出者に対して提出を求める書類は特別ありませんが、輸入手続きの「2.輸入通関手続き(通関に必要な書類)」に記載する輸入者が提出する書類の作成を適宜支援する必要があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年9月

日本から菓子を輸出する場合、動物検疫および植物検疫の証明書は求められていません。

フィリピン内の輸入関税等

1. 関税

調査時点:2023年9月

菓子の関税率は次の表のとおりです。関税は日本・フィリピン経済連携協定(JPEPA)または日本・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)の適用税率を受ければ「無税」となります。なお、JPEPAまたはAJCEPの適用を受けるためには、日本商工会議所が発行する特定原産地証明書の取得が必要になります。

菓子の関税率
品目 JPEPA・AJCEP RCEP 適用税率 MFN税率
1704:チューインガム・ホワイトチョコレートなどの砂糖菓子でカカオを含まないもの 0% 10% 15%
18062010:チョコレート菓子(ブロック、スラブ、棒) 0% 0% 7%
18069010:チョコレート菓子(タブレット、パスティーユ) 0% 0% 7%
190531:ビスケット 0% 0% 15%
190532:ワッフル及びウエハー 0% 0% 15%
190590:その他のもの(あられ、せんべいその他これらに類する米菓等) 0% 0% 15%
2105:アイスクリームその他の氷菓(ココアを含有するかしないかを問わない。) 0% 0% 10%

2. その他の税

調査時点:2023年9月

日本から輸入される菓子には関税のほかに、付加価値税(VAT)、輸入品処理費用(Import Processing Fee)、収入印紙代(Documentary Stamp Fee)、コンテナ利用料(Container Security Fee)が課されます。なお、物品税(Excise Tax)はかかりません。

付加価値税(VAT)
製品名 税額
全菓子類 一律12%
輸入品処理費用(Import Processing Fee)
製品名 税額
全菓子類 輸入額が250,000ペソ以下:
250ペソ
輸入額が250,001-500,000ペソ:
500ペソ
輸入額が500,001-750,000ペソ:
750ペソ
輸入額が750,001ペソ以上:
1,000ペソ
収入印紙費(Documentary Stamp Fee)
製品名 税額
全菓子 一律280ペソ
コンテナ利用料(Container Security Fee)
製品名 税額
全菓子類 5USD相当額のペソ/20フィートのコンテナ
10USD相当額のペソ/40フィートのコンテナ

3. その他

調査時点:2023年9月

なし

その他

調査時点:2023年9月

フィリピンは人口の8割以上を占めるカトリック教徒と約5%のイスラム教徒で構成されています。イスラム教徒については、豚肉やアルコール成分を排除したイスラム教徒向け特別製造プロセスを経た食品を「ハラール食品(Halal Foods)」として公式に認証する制度があります。
ハラール認証についてはフィリピンでは義務ではないものの、認証を受ける場合にはムスリム・フィリピン国家委員会(The National Commission on Muslim Filipinos:NCMF)公認の団体で認証を受けることができます。