日本からの輸出に関する制度健康食品の輸入規制、輸入手続き

フィリピンの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2020年1月

日本からフィリピンへの栄養補助食品の輸出は可能です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2019年7月

日本から栄養補助食品を輸出する場合にフィリピン政府に対して輸出者側で行う手続きは特別ありません。
一方、輸入者はフィリピン食品医薬品管理局(FDA)から(1)営業許可(License to Operate: LTO)と(2)製品登録証明(Certificate of Product Registration: CPR)および(3)砂糖規制庁許可書(Premix Commodity Release Clearance: PCRC)(HSコード2106.90.69~2106.90.72:その他補助食品が対象。HSコード2936:プロビタミン、ビタミンおよびそれらの派生品では特段求められていない)を取得する必要があります。輸入者が(1)営業許可の手続きを行うにあたり、輸出国当局(民間機関から発行された証明書の場合は、認定された経済団体もしくは商工会議所による認証を受けた後、実務上、輸出国にあるフィリピン領事館の認証が必要)が発行した次の書類の提出が求められており、輸出者側での取得支援が必要になります。
また、輸入者は輸入商品のラベルや写真などもフィリピン食品医薬品管理局(FDA)に対して提出する必要があり、これらの作成・取得についても輸出者は輸入者を支援する必要があります。

  1. 次の書類のうちいずれか一点を提出
    • 適性製造基準(Good Manufacturing Practice: GMP)の規定を順守していることの証明書
    • 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)または衛生証明書(Health Certificate)
    • 国際標準規格ISO 22000の要求事項を順守していることの証明書
    • 危害要因分析重要管理点(HACCP)による証明書
    • 原産国の管轄規制省庁が発行する自由販売証明 (Certificate of Free Sales)
  2. 輸出国において発行された輸出製品の安全性を証明する書類(Administrative Order 2014-0029 Annex C, A. Requirements for Initial Licensing, 9 Specific Requirements, c ivに基づき、日本で行った食品試験の結果を提出します(フィリピンで行った試験結果を提出することも可能)。なお、日本で行う試験について具体的な試験項目などは規定されていません)
  3. 砂糖規制庁許可書(PCRC)を申請するための書類
    • 船荷証券
    • 商業送り状
    • パッキングリスト

また、輸入通関にあたり、フィリピン政府が日本からの輸出者に対して提出を求める書類は特別ありませんが、輸入手続きの「2.輸入通関手続き(通関に必要な書類)」に記載する輸入者が提出する書類の作成を適宜支援する必要があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2019年7月

日本から栄養補助食品を輸出する場合、動物/植物検疫の証明は求められていません。

フィリピンでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2019年7月

栄養補助食品の輸入・流通・販売業者や再梱包業者は、FDA行政命令第2014-0029号(Administrative Order 2014-0029)に基づき営業許可(License to Operate:LTO)と製品登録証明(Certificate of Product Registration: CPR)および砂糖規制庁証明書(Premix Commodity Release Clearance(PCRC))(HSコード2936:プロビタミンやビタミンおよびそれらの派生製品では砂糖規制庁証明書の取得は不要)を取得する必要があります。栄養補助食品の輸入販売に特化した免許(ライセンス)はありません。

I. 営業許可(LTO)の取得

栄養補助食品の輸入・流通・販売業者もしくは再包装業者は、まずフィリピン食品医薬品管理局(FDA)から営業許可(LTO)を取得しなければなりません(共和国法第3720号(Republic Act No.3720))。 輸入者の業態(輸入業、卸業、その他一般企業、個人)により必要とされる登録、許認可の種類は異なります。LTOの有効期間は2年で、以後5年ごとの更新が必要です。 輸入業者がLTOを申請する場合の必要書類は次のとおりです。なお、実際の申請手続きは、FDA通達第2016-003号(Food and Drug Administration Circular 2016-003)およびFDA通達第2016-004号(Food and Drug Administration Circular 2016-004)に基づきオンラインで行うことができます。

  1. 申請書
  2. 支払証明書
  3. 事業登記証明書類
  4. 貿易産業省(DTI)から発行される企業登録証(Certificate of Business Name Registration)、証券取引委員会(SEC)から発行される法人登記証または協同組合開発庁(CDA)から発行される登録証明書(登記情報と実際に事業を行う事業者名や住所の情報が異なる場合)
  5. 建物使用許可証(Proof of Occupancy)
  6. 輸入品のリスト
  7. オフィスや倉庫等の地図
  8. 事業所や倉庫のフロアプランまたはレイアウト (寸法の記載が必要)
  9. 次のいずれかの書類(実務上、輸出国にあるフィリピン領事館の認証が必要)
    • プロフォーマ・インボイス
    • 海外業者との代理店契約書(Foreign Agency Agreement)
    • アポイントメントレターまたは販売特約店契約(Distributorship Agreement)など
  10. 輸出国の政府機関が輸出者に対して発行する次のいずれかの書類のコピー(民間機関から発行された証明書の場合は、認定された経済団体もしくは商工会議所による認証を受けた後、実務上、輸出国にあるフィリピン領事館の認証が必要)
    • 適性製造基準(Good Manufacturing Practice: GMP)の規定を順守していることの証明書
    • 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)または衛生証明書(Health Certificate)
    • 国際標準規格ISO 22000の要求事項を順守していることの証明書
    • 危害要因分析重要管理点(HACCP)による証明書
    • 日本政府が発行する自由販売証明(Certificate of Free Sales)など
  11. 輸出国において発行された輸出製品の安全性を証明する書類

II. 製品登録証明(CPR)

LTOを取得後、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)に商品登録をしなければなりません。商品登録に必要な書類は次のとおりです(初回申請時の場合の要件)。商品登録が完了すると、製品登録証明(CPR)が交付されます。有効期間は2年から5年で、以降は5年ごとの更新が必要です。
なお、実際の申請は、FDA達第2016-014号(Food and Drug Administration Circular 2016-014)に基づきオンラインで行うことができます。

  1. 申請書
  2. 登録費用の納付証明書
  3. 商品ラベル
  4. 商品の写真
  5. FDAが必要と判断する場合、商品の技術、栄養、安全性などに関する情報書類

栄養補助食品の中でもリスクカテゴリーでハイリスク(幼児向けの食品や特殊用途食品など)に分類されている製品についてはフィリピン食品医薬品管理局(FDA)より追加の書類提出を求められることがあります。詳細についてはFDA行政命令第2014-0029号(Food and Drug Administration Administrative Order 2014-0029)を参照してください。

III. 砂糖規制庁証明書(Premix Commodity Release Clearance(PCRC))の取得

輸入された栄養補助食品(HSコード2106.90.69~2106.90.72:その他補助食品が対象。HSコード2936:プロビタミン、ビタミンおよびそれらの派生品では求められていない)を税関から回収する際に必要なもので、登録に必要な書類は次のとおりです。登録完了後に発行費用(含有の乾燥砂糖量によって費用は異なる)などを支払う必要があります。なお、この申請については砂糖規制庁へ直接提出する必要があります。

  1. 申請書(公証が必要)
  2. 輸入商品許可書(Import Commodity Clearance)をプリントアウトしたもの
  3. 船荷証券
  4. 商業送り状
  5. パッキングリスト
  6. 申告書類(Import Entry/Import Declaration)
  7. 一時課税通知書 (Temporary Assessment Notice(Asycuda))
  8. 混合商品(Premix Commodity)のサンプル

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2019年7月

日本から栄養補助食品を輸入する場合、営業許可(LTO)と製品登録証明(CPR)および砂糖規制庁許可書(Premix Commodity Release Clearance:PCRC)の提出に加え、関税局通達第No.11-2014(Custom Memorandum Order No,11-2014)および関税局通達第No.05-2018(Custom Memorandum Order No,05-2018)に基づきフィリピン関税局(BOC)アカウントマネジメントオフィス(AMO)に対して輸入者としての登録を行う必要があります。当該登録に必要な書類(初回の場合の要件)は次のとおりです。

  1. 申請書(Application Form)(公証が必要)
  2. 申請費用の納付証明書
  3. 会社を証明する書類(Corporate Secretary Certificateなど)(会社の場合)
  4. 申請者または役員などの政府により発行された有効な身分証明書2点
  5. 申請者の無犯罪証明書(NBI Clearance)
  6. 最新の会社情報(年次・企業情報書(General Information Sheet)(会社の場合)など)
  7. 申請者、社長および役員の個人プロフィール(写真付き)
  8. 会社のプロフィール(会社の建物および表札の写真付き)
  9. 輸入品が保管される倉庫の住所
  10. オフィスおよび倉庫の占有証明書
  11. 輸入商品一覧
  12. 輸出入者情報を登録するデータベース(CPRS)への登録を証明する書類
    通関手続きを行う輸入者は、関税局(BOC)の輸出入者情報を登録するデータベース「Client Profile Registration System: CPRS」への登録が義務付けられおり、BOC公認の次のプロバイダーを通じて登録できます。
    • E-konek
    • Intercommerce
    • CDEC
  13. 集荷業者による承認書類
  14. 内国歳入庁(BIR)への登録証明書
  15. 内国歳入庁(BIR)に提出した最新の所得税申告書類
  16. 管轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Permit)

また、日本から栄養補助食品を輸入する際の通関への提出書類は次のとおりです。

  1. 輸入申告書(The Single Administrative Document)
  2. 船荷証券(Bill of Landing)または航空貨物運送状(Air Waybill)
  3. 商業インボイス(Commercial Invoice)または試算送り状(Pro-Forma Invoice)
  4. 産地証明書(提出を求められた場合)
  5. 輸入品のリスト
  6. 輸入品の価格書類(Supplemental Declaration of Valuation)(公証が必要)
  7. 必要に応じて次の書類の提出も求められる。
    • 輸入許可書(Import PermitまたはClearance)
    • フィリピン内国歳入庁(BIR)による輸入品リリース許可証(Authority to Release Imported Goods)
    • 自由貿易協定(FTA)を証明する書類(関税局へのヒアリングでは、輸入者がオンラインなどでFTAの締結・規定をコピーした書類などでよいとのこと)
    • 優遇措置などを適用する場合に当該特例を証明する書類
    • 免税を証明する書類など

なお、輸入申告書(The Single Administrative Document)は、関税局通達第No.29-2015(Custom Memorandum Order No,29-2015)に基づき、関税局(Bureau of Customs)が認める次のサービスプロバイダーなどを通じてオンラインで取得することができます。

  • E-konek
  • Intercommerce
  • CDEC

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2019年6月

日本から輸入する栄養補助食品については、対象となる輸入品の申告内容によりイエローレーンやレッドレーンなどに分けられ、通関時の審査内容が異なります。各レーンにおける審査内容は次のとおりです。なお、輸入時の検査・検疫の費用は不要です。

レーン 審査内容
イエローレーン ドキュメントによる個別審査が行われます。また、関税の管理者による許可の下、現物調査が行われることもあります。
レッドレーン ドキュメント調査および現物調査による審査が行われます。
それ以外 特別な審査はありません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2019年7月

栄養補助食品の販売にあたっては営業許可(LTO)と製品登録証明(CPR)および砂糖規制庁許可証(PRCR)以外の販売許可手続きは不要です。具体的な手続きについては「輸入手続き」を参照してください。

5. その他

調査時点:2019年7月

なし

その他

調査時点:2019年7月

ハラール認証についてはフィリピンでは義務ではないものの、認証を受ける場合にはムスリム・フィリピン国家委員会(The National Commission on Muslim Filipinos(NCMF))公認の団体で認証を受けることができます。