日本からの輸出に関する制度アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き

フィリピンの輸入規制

1. 輸入禁止(停止)、制限品目(放射性物質規制等)

調査時点:2023年10月

日本からフィリピンへのアルコール飲料の輸出は可能です。

2. 施設登録、輸出事業者登録、輸出に必要な書類等(輸出者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

アルコール飲料を輸出するためには、日本において輸出酒類卸売業免許を取得する必要があります。詳細は関連リンクの「酒類の免許」「酒類卸売業免許の申請等の手引」を参照してください。

日本からアルコール飲料を輸出する場合にフィリピン政府に対して輸出者側で行う手続きは特別ありません。
一方、輸入者はフィリピン食品医薬品管理局(FDA)から(1)営業許可(License to Operate: LTO)と(2)製品登録証明(Certificate of Product Registration: CPR)を取得する必要があります。
輸入者が(2)製品登録証明の申請手続きを行うにあたり、次の書類の提出が求められており、輸出者側での取得支援が必要になります。また、輸入者は輸入商品のラベルや写真などもフィリピン食品医薬品管理局(FDA)に対して提出する必要があり、これらの作成・取得についても輸出者は輸入者を支援する必要があります。

  1. 次の書類のうちいずれか一点を提出
    • 適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)の規定を順守していることの証明書
    • 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)または衛生証明書(Health Certificate)
    • 国際標準規格ISO 22000の要求事項を順守していることの証明書
    • 原産国で発行された危害要因分析重要管理点(Hazard Analysis and Critical Control Point: HACCP)適合証明書
    • 原産国の管轄規制官庁が発行した、または商工会議所などの公認の組織が発行し輸出国のフィリピン領事館が公証した自由販売証明 (Certificate of Free Sales)
  2. 分析証明書(Certificate of Analysis)
    食品分類ごとに求められる分析証明書を提出します。具体的に求められる分析証明書については、輸入手続きの「輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録など(輸入者側で必要な手続き)」を参照してください。
    なお、試験場所について特に規定はなく、日本でもフィリピンでも可能です。また、日本で行う試験について具体的な試験項目などは規定されていません。
  3. 食品のラベルや広告において栄養や健康面の効果などに関する訴求(Claim)をする場合、当該内容を裏付ける書類(関連する研究や報告書など)

また、輸入通関にあたり、フィリピン政府が日本の輸出者に対して提出を求める書類は特別ありませんが、「輸入通関手続き(通関に必要な書類)」に記載する輸入者が提出する書類の作成を適宜支援する必要があります。

3. 動植物検疫の有無

調査時点:2023年10月

日本からアルコール飲料を輸出する場合、動物検疫および植物検疫の証明書は求められていません。

フィリピンでの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2023年10月

アルコール飲料全般に適用される規格としてはフィリピン食品医薬品管理局覚書通達第13-1989号(Memorandum Circular No.13 s.1989)があり、輸入されるアルコール飲料については要件が次のとおり定められています。

  • メタノールは、自然なアルコール発酵工程に由来するものであり添加されたものでなければアルコール飲料に含まれていてもよい。
  • 輸入されるアルコール飲料の製品登録を申請する際には、次の書類を添付しなければならない。
    • 原料と最終製品の技術仕様(メタノール含有量を含む)
    • 原産国におけるアルコール飲料の規格および規制に準拠していることの証明
    • 上記規格および規制の写し
  • 未登録のアルコール飲料のメタノール含有量については、製造者が次の書類を提出することにより正当化できる
    • 原料と最終製品の技術仕様(メタノール含有量を含む)
    • 配合アルコール飲料の原料に使用されるエチルアルコールの供給源(メタノールが自然なアルコール発酵に由来することを示すもの)

また、一部のアルコール飲料に対する食品規格は次のとおり定められています。フィリピンにおいて規格が定められていない製品については、コーデックス委員会(CODEX)の定める規格値が参考情報として参照されます。
なお、焼酎については個別の食品規格が定められていないため、コーデックス委員会(CODEX)の定める規格値が参考情報として参照されます。

アルコール飲料の食品規格
飲料 ブランデー ラム ウオッカ ウイスキー
根拠法 SAO#358s. 1978 SAO#257s. 1976 SAO#258s. 1976 SAO#259s. 1976
基準
アルコール(%) 最小32.5% 25゜プルーフ‐37.15%
30゜プループ‐40.01%
35゜プルーフ‐42.85%
最小32.5%
個体物質(%) 最大1.0% 最大0.005% 最大0.2%
灰分(%) 最大0.02% 沈殿物や浮遊物があってはならない 最大0.02%
酢酸 最大50g
(無水アルコール100Lあたり)
ヘビー:25-60g
ミディアム:11-24g
ライト:5-10g
(無水アルコール100mlあたり)
最大2g
(無水アルコール100mlあたり)
最大40g
(無水アルコール100Lあたり)
酢酸エチル ブランデー:
最小20g
混合/フルーツブランデー:
最小8g
(無水アルコール100Lあたり)
ヘビー:56-565g
ミディアム:13-55g
ライト:0.6-12g
(無水アルコール100mlあたり)
最大10g
(無水アルコール100mlあたり)
モルトウイスキー:
最小20g
ストレート/ブレンド:
最小8g
(無水アルコール100Lあたり)
アミルアルコール 30-350g
(無水アルコール100Lあたり)
ヘビー:114-238g
ミディアム:36-136g
ライト:0-35g
(無水アルコール100Lあたり )
最大0.03% 30-350g
(無水アルコール100Lあたり)
フルフラール 最大5g
(無水アルコール100Lあたり)
ヘビー:1-5.4g
ミディアム:0.6-0.9g
ライト:0-0.5g
(無水アルコール100Lあたり)
0(ゼロ) 最大5g
(無水アルコール100Lあたり)
アセトアルデヒド ヘビー:17-19mg
ミディアム:8-16mg
ライト:0-7mg
(無水アルコール100mlあたり)
最大2g
(無水アルコール100mlあたり)
最大60g
(無水アルコール100Lあたり)
銅(Cu) ヘビー:11-14
ミディアム:7-10
ライト:3-6
(ppm タンニン)
最大10g ppm
(無水アルコール100Lあたり)
飲料 ワイン(※清酒も該当) サトウキビワイン(BASI) トロピカルフルーツワイン ココナツランバノグ
根拠法 SAO No. 357s. 1978 PNS/BFAD 20:2009 ICS67.160.10 PNS/FDA 30:2010 ICS 67.160.10 PNS/BAFPS 47:2011 ICS 67.160.10
基準
アルコール(%) ドライ、セミドライまたは甘いワイン:7-16%
酒精強化ワイン :18-22%
最低12% 7-24% 最低30%
酸度 0.4-1.5(g/100ml) 0.6-0.9%
揮発酸 0.08-0.12(g/100ml) 最大0.034%
酢酸 最大0.14g/100ml
滴定酸度 0.1-9.6(重量%) 最大0.67% 最大0.3%
還元糖 0.1-9.6(重量%)
可溶性固形物 最低8.0゜Bx 最低8%
フェノール 最低1.48mg/ml
添加物 安息香酸:最大1000ppm
残留SO2:最大200ppm
pH 最低3.2

2. 残留農薬および動物用医薬品

調査時点:2023年10月

アルコール飲料について残留農薬を定めた規制はなく、2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。一方、食品規格が存在する製品(例:サトウキビワイン)については、同規格において残留農薬などの基準が定められている場合があります。食品規格がないアルコール飲料については、フィリピン政府で残留農薬を定めた規制はありません。 フィリピン食品医薬品管理局(FDA)では「製品登録証明(CPR)」の申請手続きにおいて、原産国が発行する自由販売証明(CFS)などの提出を義務付けており、これによって該当輸入食品には残留農薬などの問題がないという証明がなされているとみなし、特にフィリピン側で厳しい残留農薬規制を課す必要はないと考えています。
フィリピンには1992年制定の消費者保護法(共和国法第7394号)があり、「人体にとって危険な物質」が発覚した場合には、保健省(DOH)などが中心となって危険物や同物質を含む食品の販売を即時禁止とし、製造業者や輸入業者を取り締まることになっています。

関連リンク

関係省庁
フィリピン保健省食品薬品管理局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
フィリピン肥料・殺虫剤局(FPA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
共和国法第10611号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(13.1MB)
SEC.9.Setting of Food Safety Standardsに基づく
共和国法第7394号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(164KB)
Article5,6,10に、人体にとって有害な物質が発覚した場合には保健省(DOH)などが中心となって危険物や同物質を含む食品の販売を取り締まる旨が記載
その他参考情報
コーデックス委員会「残留農薬基準」(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
ジェトロ「2016年度 日本からの農林水産物・食品 輸出に関する各国・地域の制度調査 (フィリピン)」PDFファイル(656 KB)

3. 重金属および汚染物質

調査時点:2023年10月

フィリピンでは、重金属および汚染物質に関する規制制度はなく、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)は、2013年食品安全法(Republic Act No.10611)に基づきコーデックス委員会(CODEX)が定めるガイドラインを実務上参照しています。なお、具体的な食品における重金属および汚染物質の規格値については、食品規格(Philippine National Standards)で定められている場合があります。

関連リンク

関係省庁
フィリピン保健省食品薬品管理局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
共和国法第10611号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(13.1MB)
SEC. 9. Setting of Food Safety Standardsに基づく
フィリピン食品薬品管理局通達第2006-16号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7.2MB)
添加物(FDA通達2006-016号 SectionII 5の規定により重金属等も含む)については、FDA通達2006-016号 Section III A.1およびA.5により JECFA ( Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives(CODEX))での規定に基づくことが記載。また、SectionVIIによりJECFAの最新版の内容が適用される。
コーデックス委員会「汚染物質」(Contaminants)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
厚生労働省「食品及び飼料中の汚染物質及び毒素に関するコーデックス一般規格」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(446 KB)

4. 食品添加物

調査時点:2023年10月

アルコール飲料は、FDA通達第2006-016号に基づき食品添加物規制の対象となります。フィリピンではコーデックス委員会(CODEX)の「食品添加物に関する一般規則」(CODEX STAN 192-1995)における基準を採用しており、食品添加物ごと、食品カテゴリーごとに使用可能な基準量を示しています。具体的な添加物の使用および最大基準値については関連リンクの「コーデックス委員会 食品添加物に関する一般規則」や「食品添加物基準値の検索サイト」を参照してください。なお、具体的な食品における添加物の許容値については、フィリピンにおける食品規格(Philippine National Standards)が存在する場合には同規格において定められている場合があります。

5. 食品包装(食品容器の品質または基準)

調査時点:2023年10月

2023年10月現在、食品容器に関する規定はありません。フィリピン食品医薬品管理局(FDA)によると、明文化はされていないものの、輸入元が日本である場合、日本の基準に従っているものであれば問題ないとのことです。

6. ラベル表示

調査時点:2023年10月

アルコール飲料のラベル表示については、共和国法第3720号(Republic Act No.3720 : Food, Drug and Cosmetics Act)、FDA行政命令第88-B(Administration Order 88-B)、およびその改訂版にあたるFDA行政命令第2014-0030(Administration Order No.2014-0030)などによって規定されています。これらの規制で表示が義務付けられている情報は次のとおりです。表示言語は英語またはタガログ語の表記が義務付けられています。言語のフォントについての規定はありませんが、通常の購入や使用の際に消費者がはっきりと読み取れるように印字する必要があります。

  1. 商品名
  2. ブランド名、トレードマーク(ある場合のみ)
  3. 原料成分(含有量の多い順)
  4. 容量(メートル法で内容量表示)
    容量の許容誤差については、食品医薬品管理局通達第6-A s.1998(Bureau Circular No.6-A s.1998)を参照してください。
  5. 輸入者の会社名、住所および原産地
    外国ブランド製品もしくは外国企業の許認可に基づき製造された製品については、当該製品を製造する外国企業の名称および住所はローカル企業のそれらより小さな文字で記載する必要があります(ローカル企業名が記載される場合)。
  6. ロット識別番号
  7. 保存方法
  8. 消費期限
    消費期限は「日」、「月」、「年」の順序で記載し、「日」と「年」は数字、「月」は混乱を避けるため単語で表記することが求められています(例:Expiry date: 01 January 2012 または 01 Jan 12)。
  9. アレルギー表示(該当する場合)
    記載が必須のアレルゲンは次のとおりです。対象のアレルゲンについてはフィリピン食品医薬品管理局(FDA)の判断により適宜追加される可能性があるため、最新の情報を確認してください。
    • グルテンを含む穀物(小麦、ライ麦、大麦、オート麦、スペルト小麦、当該穀物混成品およびこれらを含む製品)
    • 甲殻類および当該製品
    • 卵および当該製品
    • 魚および当該製品
    • ピーナツ、大豆および当該製品
    • 牛乳および当該製品(ラクトースを含む)
    • 木の実および当該製品
    • 濃度10mg/kg以上の亜流酸塩
  10. アルコール含有量(パーセンテージまたは度数)
    アルコール度数の温度設定条件は、プルーフ・スピリッツ以外の酒類については規定されていません。プルーフ・スピリッツについては、内国歳入法(National Internal Revenue Code)において、摂氏15度でアルコール含有量50%と定義されています。
  11. 添加物に関する表示
  12. 食品許可番号(任意)
    ラベルには、登録製品に割り当てられる食品許可番号(営業許可番号と製品登録番号で構成)を任意で記載することができます。

なお、アルコール飲料における栄養成分表示については、FDA行政命令第2014-0030(Administration Order No.2014-0030)に基づき免除されています。

関連リンク

関係省庁
フィリピン食品医薬品管理局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
共和国法第3720号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(928KB)
フィリピン食品医薬品管理局行政命令第88-B号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(60.8KB)
Section3でラベル表示要件に関して規定。また食品医薬品管理局行政命令第2014-0030で記載要件が追加。
フィリピン食品医薬品管理局行政命令第2014-0030号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(674KB)
VIでラベルに記載する事項が規定。また、VI.A.11.h.10の規定によりアルコール飲料の栄養表示が免除されている。
フィリピン食品医薬品管理局通達第6-A s.1998号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(6.8MB)
内国歳入法(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Chapter III, Sec 141において、プルーフ・スピリッツ(proof spirits)の温度条件を定義

7. その他

調査時点:2023年10月

なし

フィリピンでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)

調査時点:2023年10月

アルコール飲料の輸入・流通・販売業者や再包装業者は、FDA行政命令第2014-0029号(Administrative Order No.2014-0029)に基づき、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)の営業許可(License to Operate:LTO)と製品登録証明(Certificate of Product Registration: CPR)を取得する必要があります。アルコール飲料の輸入販売に特化した免許(ライセンス)はありません。

I. 営業許可(LTO)の取得

アルコール飲料の輸入・流通・販売業者もしくは再包装業者は、まずフィリピン食品医薬品管理局(FDA)から営業許可(LTO)を取得しなければなりません(共和国法第3720号(Republic Act No.3720))。 輸入者の業態(輸入業、卸業、その他一般企業、個人)により必要とされる登録、許認可の種類は異なります。LTOの初回登録有効期限は2年で、2回目以降は5年ごとの更新(有効期限5年)が必要です。 輸入者がLTOを申請する場合の必要書類は次のとおりです。なお、実際の申請手続きは、FDA通達第2021-012号(FDA Circular No.2021-012)に基づきオンラインで行うことができます。

初回登録の場合
  1. 電子申請フォーム(誓約書含む)の提出
    電子申請システム「FDA eServices Portal」にアクセスし、誓約書に同意したうえで、次の情報を入力して電子申請フォームを提出する。
    • 事務所と倉庫の住所
    • GPS情報
    • 権限者および有資格者の氏名
  2. 事業名登録を証する書類の提出
    次のいずれかの書類の写しを添付資料として電子申請システム上で提出する。
    • 個人事業主の場合:貿易産業省(DTI)への事業登録証明書(Certificate of Business Registration)
    • 株式会社、パートナーシップ、その他の法人の場合:証券取引委員会(SEC)への登録証明書および基本定款(Articles of Incorporation) の写し
    • 協同組合の場合:協同組合の所管省庁への登録証明書
    • 政府により所有または支配されている会社の場合:会社設立に関する法律がある場合は当該法律、ない場合はSECへの登録証明書および基本定款
  3. 収入証明書(最新の監査済み財務諸表など)の提出(添付資料として電子申請システム上で提出)
    • 食品取引業者の場合、資本金を記載した貸借対照表付きの最新の監査済み財務諸表の写しなど、所得・資本を証明する書類を提出する。
    • 新規に設立された会社で、まだ財務諸表がない場合は、会社所有者または会計士の署名入りの資本金証明書を提出する。
  4. 申請料の納付
  5. 事業名と住所がDTIやSECに登録された名称や住所と異なる場合:管轄の市長が発行する営業許可証(Mayor’s Business Permit)、またはバランガイ(フィリピンの地方自治単位) が発行するバランガイ営業許可証(Barangay Clearance)
  6. 追加要件(該当する場合)
    次のいずれかの書類を添付資料として電子申請システム上で提出する。
    • フランチャイズの場合、フランチャイズ契約書の写しの提出が推奨される。フランチャイズ契約書上の事業名が営業許可書に記載される。また、当該事業名は、事業名登録と整合がとれている必要がある。
    • 営業許可書に記載される活動を適切に判断するために、申請者(輸入事業者)とその販売先またはサプライヤーとの契約書の写しを提出することが推奨される。

II. 製品登録証明(CPR)

LTOを取得後、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)から製品登録証明を取得する必要があります。製品登録証明の申請要件は次のとおりです(初回申請時の場合の要件)。申請が承認されると、製品登録証明(CPR)が交付されます。有効期間は2年から5年(※)で、以降は5年ごとの更新が必要です。なお、実際の申請は、FDA通達第2020-033号(FDA Circular No.2020-033)に基づきオンラインで行うことができます。

※初回申請時の有効期間については、申請者が申請時に任意で定めることができます。5年で申請することが一般的と言われています。 なお、申請料は有効期間の年数により変動します。アルコール飲料の場合、申請料は「250ペソ/年」×「有効期間の年数」となります。なお、申請料のほか、リーガルリサーチ料(申請料の1%。申請料の1%が10ペソに満たない場合は10ペソ)もかかります。

  1. 有効な営業許可(LTO)
  2. 電子申請フォームの提出
    電子登録システム「ePortal v2.0」上で必要情報を入力して電子申請フォームを提出する。
  3. ラベルおよび製品に関する書類の提出
    次を添付資料として電子登録システム上で提出する。なお、FDAのラベル表示規制については、食品関連の規制の「6.ラベル表示」を参照のこと。
    • FDAのラベル表示規制に基づく、明確かつ完全なラベルまたは図版の写し(包装サイズが複数ある場合は、各サイズについて提供)
    • あらゆる角度、および各角度について複数の距離から撮影した製品写真(包装サイズが複数ある場合は、各サイズについて提供)
  4. 製品の販売権、および製品の規格等への準拠を証する書類の提出
    次を添付資料として電子登録システム上で提出する。
    • 事業者の正式な権限を持つ代表者が署名した次の書類のいずれかの写し
      • 外国代理店契約
      • 販売代理店証明書
      • アポイントメントレター
      • 試算送り状(Pro-Forma Invoice:プロフォーマインボイス)
      • 製造業者との契約書(製品単位での契約)
    • 次の書類のいずれかの写し
      • 適正製造規範(Good Manufacturing Practice: GMP)の規定を順守していることの証明書
      • 植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)または衛生証明書(Health Certificate)
      • 国際標準規格ISO 22000の要求事項を順守していることの証明書
      • 原産国で発行されたHACCP適合証明書
      • 原産国の管轄規制官庁が発行した、または商工会議所などの公認の組織が発行し輸出国のフィリピン領事館が公証した自由販売証明 (Certificate of Free Sales)
  5. 分析証明書(Certificate of Analysis)の提出
    食品分類ごとに求められる分析証明書を添付資料として電子登録システム上で提出する。食品分類ごとに求められる分析証明書については、FDA通達第2020-033号(FDA Circular No. 2020-033)Annex Dを参照のこと。
    なお、試験場所について特に規定はなく、日本でもフィリピンでも可能。また、日本で行う試験について具体的な試験項目などは規定されていない。
  6. 食品のラベルや広告において栄養や健康面の効果などに関する訴求(Claim)をする場合、当該内容を裏付ける書類(関連する研究や報告書など)の提出
  7. 申請料の納付

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2023年10月

日本からアルコール飲料を輸入する場合、FDAからの営業許可(LTO)および製品登録証明(CPR)に加え、関税局通達第11-2014(Custom Memorandum Order No.11-2014)、関税局通達第05-2018(Custom Memorandum Order No.05-2018)、関税局通達第31-2019(Custom Memorandum Order No.31-2019)、および関税局通達第08-2022(Custom Memorandum Order No.08-2022)に基づきフィリピン関税局(BOC)アカウントマネジメントオフィス(AMO)に対して輸入者としての登録を行う必要があります。当該登録に必要な書類(初回の場合の要件)は次のとおりです。

  1. 公証済み申請書(Application Form)の原本
    • 申請書は、client.customs.gov.phから入手可能
    • 個人事業主の場合はオーナー、会社の場合は役員、組合の場合は会長、パートナーシップの場合は権限のある社員による署名が必要
  2. 申請費用の納付証明書(BOC発行の領収書の原本)
  3. 輸入における正式な署名者を証明する書類の写し
      • 会社の場合、秘書役証明書(Corporate Secretary Certificate)
      • 個人事業主の場合、宣誓書
      • パートナーシップの場合、パートナーシップの決議書
  4. 申請者、社長、責任者などの政府発行の有効な身分証明書2点の写し
  5. 申請者の無犯罪証明書(3カ月以内に発行されたNBI Clearanceの原本)
  6. 次のいずれかの写し
    • 個人事業主の場合、貿易産業省への登録
    • 会社の場合、証券取引委員会の登録および最新の年次・企業情報書(General Information Sheet)
    • パートナーシップの場合、パートナーシップの定款および最新の年次・企業情報書
    • 組合の場合、協同組合開発庁(CDA)への登録および最新の組合年次業績報告書
  7. 申請者、社長および役員の個人プロフィール(写真付き)
  8. 会社のプロフィール(会社の事務所および倉庫エリアの写真付き)
  9. 最新の賃貸契約書、所有者からの同意書など、事務所および倉庫の合法的な占有の証明書(契約書の場合は写し、宣誓書または証明書の場合は原本)
  10. 輸出入者情報を登録するデータベース(CPRS)への登録を証明する書類
    通関手続きを行う輸入者は、関税局(BOC)の輸出入者情報を登録するデータベース「Client Profile Registration System: CPRS」への登録が義務付けられおり、BOC公認の次のプロバイダーを通じて登録できます。
    • E-konek
    • Intercommerce
    • CDEC
  11. 内国歳入庁(BIR)への登録証明書
  12. 内国歳入庁(BIR)に提出した直近3年間の所得税申告書類の写し(該当する場合)
  13. 管轄市長発行の営業許可証(Mayor’s Permit)
  14. 商品を輸入する資金力があることを証明する書類(Top1000納税者とスーパーグリーンレーン(SGL)の対象業者については免除)
  15. 集荷業者による承認書類

また、日本からアルコール飲料を輸入する際の通関への提出書類は次のとおりです。

  1. 輸入申告書(The Single Administrative Document)
  2. 船荷証券(Bill of Lading)または航空貨物運送状(Air Waybill)
  3. 商業インボイス(Commercial Invoice)または試算送り状(Pro-Forma Invoice)
  4. 産地証明書(提出を求められた場合)
  5. 輸入品のリスト
  6. 輸入品の価格書類(Supplemental Declaration of Valuation)(公証が必要)
  7. 必要に応じて次の書類の提出も求められる。
    • 輸入許可書(Import PermitまたはClearance)
    • フィリピン内国歳入庁(BIR)による輸入品リリース許可証(Authority to Release Imported Goods)
    • 自由貿易協定(FTA)を証明する書類(関税局へのヒアリングでは、輸入者がオンラインなどでFTAの締結・規定をコピーした書類などでよいとのこと)
    • 優遇措置などを適用する場合に当該特例を証明する書類
    • 免税を証明する書類など

なお、輸入申告書(The Single Administrative Document)は、関税局通達第29-2015(Custom Memorandum Order No.29-2015)に基づき、関税局(Bureau of Customs:BOC)が認める次のサービスプロバイダーなどを通じてオンラインで取得することができます。

  • E-konek
  • Intercommerce
  • CDEC

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2023年10月

日本から輸入するアルコール飲料については、対象となる輸入品の申告内容によりイエローレーンやレッドレーンなどに分けられ、通関時の審査内容が異なります。各レーンにおける審査内容は次のとおりです。なお、輸入時の検査・検疫の費用は不要です。

レーン 審査内容
イエローレーン ドキュメントによる個別審査が行われます。また、税関の管理者による許可の下、現物調査が行われることもあります。
レッドレーン ドキュメント調査および現物調査による審査が行われます。
それ以外 特別な審査はありません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2023年10月

アルコール飲料の販売にあたって販売許可の取得は求められていません。一方、輸入に際しては、「1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等」で記載のとおり、フィリピン食品医薬品管理局(FDA)より営業許可(LTO)および製品登録証明(CPR)を取得する必要があります。

5. その他

調査時点:2023年10月

フィリピンにおけるアルコール飲料の商業的陳列、販売、宣伝、広告については、FDA通達第2019-006号(FDA Circular No.2019-006)にガイドラインが規定されています。内容は次のとおりです。

  • すべてのアルコール飲料は、包装の種類にかかわらず、すべてのコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、食料品店、その他の食品小売店において、"ALCOHOLIC BEVERAGES(アルコール飲料)"という目立つ看板を掲げ、指定された目立つ場所でのみ陳列しなければなりません。アルコポップ(アルコール含有のフレーバー飲料)のような、アルコール含有量に関係なくアルコールを含むその他の飲料も同様に、同じ指定場所に陳列しなければなりません。これらの飲料は、ジュース飲料のようなほかの商品と一緒に陳列してはならず、子供が手に取れるような場所に陳列してはいけません。
  • アルコール飲料およびアルコール含有飲料のための場所を指定するのに十分なスペースがない可能性のあるサリサリストア(フィリピンの雑貨店)の所有者または運営者は、対象飲料が未成年者(18歳未満)に販売されないことを保証する責任を負います。
  • アルコール飲料およびアルコール含有飲料(量の多少を問わない)の宣伝・広告物には、当該飲料にはアルコールが含まれていることを明記または消費者に周知し、未成年者への販売や未成年者による飲用を促すような宣伝・広告をしてはいけません。また、包装・表示材料は、子供の興味をそそるようなものであってはいけません。

なお、電子商取引(EC)におけるアルコール飲料の販売については、現時点で規制はありません。

関連リンク

関係省庁
フィリピン保健省食品薬品管理局(FDA)(英語)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
根拠法等
フィリピン食品医薬品管理局通達第2019-006号(英語)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.1MB)
アルコール飲料の商業的陳列、販売、宣伝、広告のガイドライン