日本からの輸出に関する制度

コメの輸入規制、輸入手続き

マレーシアでの輸入手続き

1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等

調査時点:2020年8月

食品輸入管理は、マレーシア保健省(MOH: Ministry of Health)の食品安全品質管理部(Food Safety and Quality Division)がマレーシア関税局と協力しながら実施しています。具体的には、オンラインの食品安全情報システム(FoSIM:Food Safety Information System of Malaysia)を通じ、国内で消費される輸入食品が安全であるかどうかも含めた輸入食品の管理が行われています。
マレーシアにコメを輸入する際には、輸入業者はFoSIMにアクセスし、輸入者・輸入エージェント登録をはじめ、必要な登録を行うことによって輸入手続きを行います。

なお、コメ(精米、玄米)はマレーシアでは保護品目となっており、輸入は農業・農業関連産業省傘下の米穀会社、パディベラス・ナショナル社が独占的に行っています。このため同社に輸入したいコメの品種(ブランド)を申請し、代理で輸入を行ってもらう手順になります。

パディベラス・ナショナル社に依頼する前に、まず農業・農業関連産業省米穀産業部(IPB)のウェブサイトを通じて、コメのホールセールライセンス(ウェブサイト(http://www.elesen.mafi.gov.my)から申請できます)を取得する必要があります。ホールセールライセンス申請者は、21歳以上のマレーシア国民、もしくはマレーシア企業であること、流動資金がブミプトラ(マレー人および先住民族の総称)は10万リンギ以上、非ブミプトラは15万リンギ保有していること、100トン以上を卸売りすること、地階にあり且つ洪水に遭う懸念のない保管場所を所有、同じ住所ですでにコメのライセンスを保有していないことが条件となります。

必要書類は、コメのホールセールを事業内容としていることを示した会社委員会(Company Commission of Malaysia, SSM)の登記書類コピー、ブミプトラは10万リンギ以上、非ブミプトラは15万リンギの払込済み資本を証明する書類、ブミプトラは10万リンギ以上、非ブミプトラは15万リンギ以上の資金を有していることを示した銀行取引明細書、事務所の賃貸契約書もしくは不動産売買契約書コピーが求められます。
手数料は最初の100トンまでは年間200リンギ、以降100トンごとに10リンギとなっています。

ホールセールライセンスが下りた段階で、次は同じウェブサイトを通じて輸入ライセンスを申請します。
必要書類は、コメ販売を行っている事を示した会社委員会(Company Commission of Malaysia, SSM)の登記書類コピー、 有効なホールセールライセンスのコピー。
手数料は200リンギ。これらの手続きには1~2カ月かかります。

二つのライセンスを取得した後、パディベラス・ナショナル社の営業部に連絡し、申請フォームに輸入元や品種、数量(最低コンテナ1個分)など必要な事項を記入して返送。手続きには2カ月ほどかかります。併せてマレーシア国内での販売先の詳細、サンプル米の提出、販売価格などの情報提示が求められます。

2. 輸入通関手続き(通関に必要な書類)

調査時点:2020年8月

マレーシアでは「Dagang.Net」とよばれる 官庁間の統合通関登録システムが導入されており、輸入申請から認可取得、通知、関税諸税、手数料などの支払い手続きが自動的に一括処理されています。

またコメのような加工品については、商品ごとにマレーシア食品安全情報システム(FoSIM=Food Safety Information System of Malaysia)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます を通じて保健省食品安全品質管理部(Food Safety And Quality Division)にオンライン登録を行う必要があります。
申請状況については、オンタイムで確認することができます。また登録内容は自動的に税関と共有されます。

保税区から商品を受け出す際には、「Dagang.Net」を通じて取得したオリジナルの輸入許可証をプリントアウトしたものに加え、次の書類が必要になります。

  • 税関申告書(K1フォーム)
  • インボイス
  • 船荷証券
  • 梱包リスト

3. 輸入時の検査・検疫

調査時点:2020年8月

現在、日本からの輸入米については、日本側の植物検疫証明書は不要となっています。 マレーシア側の空港や港湾で書類検査、現物検疫が行われ、不合格の場合、輸入が許可されません。

4. 販売許可手続き

調査時点:2020年8月

コメを含めマレーシアの食品販売に関しては、販売店舗の形態に応じて外資企業に対する参入規制が存在します。国内取引・協同組合・消費者省(MDTCA :Ministry of Domestic Trade and Consumer Affairs)は2020年2月、さらなる規制緩和策を盛り込んだ最新版「流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドラインGuidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia、MDTCAガイドライン)」を公表しましたが、百貨店、スーパーマーケット、スーパーストアなど小売店の種類に応じて外資企業の参入規制が定められています。

コメをマレーシア国内で販売する場合、日本企業を含めて外資が51%以上出資する企業は卸売・小売許可(WRTライセンス)を取得する必要があります。
WRTライセンスは国内取引消費者行政省(KPDNKK)に申請します。
最低払込資本金は100万リンギ以上が条件。卸売業、小売業、フランチャイズ、直販、国内市場向けサプライヤー、国際貿易業者の現地代理人などを含む流通サービス業が対象となります。
Business Licensing Electronic Support System(BLESS)を通じてオンライン申請することができます。企業概要、ビジネスプラン、役員のリスト(会社委員会=SSM登記書コピー)、内国歳入庁(IRB)登録書コピーが必要です。
このほかマレーシア資本か外資かに関係なく、事務所や店舗を置く地方自治体(市、郡など)から、PBTとよばれる開業ライセンスを取得する必要があります。
販売ライセンスを申請する場合には、基本的に次の書類が必要です。

  • 会社の登記書
  • 会社委員会(CCM)における覚書および定款、会社登録証明のフォーム24、44、49のコピー。(フォーム24〜資本金&株主構成、フォーム44〜事業所の所在地や営業時間、フォーム49〜取締役リスト)

5. その他

調査時点:2020年8月

なし