日本からの輸出に関する制度

菓子の輸入規制、輸入手続き

品目の定義

本ページで定義する菓子のHSコード

1704:砂糖菓子(ホワイトチョコレートを含むものとし、ココアを含有しないものに限る。)
1806:チョコレートその他のココアを含有する調整食料品
1905:パン、ペーストリー、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品
(ココアを含有するかしないかを問わない。)および聖さん用ウエハー、医療用に適するオブラート、シーリングウエハー、ライスペーパーその他これらに類する物品

関連リンク

マレーシアの食品関連の規制

1. 食品規格

調査時点:2020年7月

菓子の定義および規格は「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」で定められています。主な菓子のカテゴリー別の定義と規格は次のとおりです。

小麦粉を用いた菓子(ケーキ、ビスケット、ペストリーなど)
保存料であるソルビン酸およびナトリウム、カリウム、カルシウム塩が2,000 mg/kgを超えないこと、およびプロピオン酸、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩が2,000 mg/kgを超えないこと。認可された着色料、香料のみを使うこと。塩化アンモニウム、およびその他の許可された食品調整剤を、使用する小麦粉またはミールの量1kgあたり2,500mgを超えない量で用いること。
砂糖菓子
主に砂糖、ブドウ糖、ソルビトール、またはその他の甘味物質から作られた、非栄養甘味料以外の食品で、ほかの食品の有無にかかわらず、ガムその他の菓子およびケーキの装飾を含むが、冷菓は含まれない。許可された着色料、香料、調整剤の含有、そして 3,500mg/kg以下の人工甘味料アセスルファムカリウムの含有を認める。ガムについては、1,200mg/kg以下のつや出し剤カルナバワックス、20,000 mg/kg以下の調整剤B-シクロデキストリンの含有を認める。
パン
小麦粉またはミール、またはこれらと水および酵母を合わせた酵母発酵生地を焼いて得られる製品。 パン1kgあたり2,000mg以下のプロピオン酸およびナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩の保存料、使用する小麦粉またはミール1kgあたり2,500mg以下の塩化アンモニウム、脂肪酸乳酸塩およびフマル酸塩のカルシウムおよびナトリウム塩、トランスグルタミナーゼの食品調整剤、認可された着色料の含有を認める。また45%以下の含水量でなければならない。
氷菓子
ほかの食品と水を一緒に凍らせたものであり、アイスクリーム、アイスキャンデー、アイスシャーベットなどが含まれる。
チョコレート
チョコレートは、ミルク成分、ココアバターおよびその他の食品の有無にかかわらず、ココアペーストまたは砂糖入りのココアから調製された製品でなければならず、ココアバター以外の乳脂肪または食用植物脂肪の含有量が5%以下、カカオペーストの含有量が14%以上でなければならない。添加物含有量はレシチンが0.8%以下、モノグリセリドおよびジグリセリドは0.5%以下、ポリグリセロールポリリシノール酸は0.5%以下、乳化剤全体の1.5%以下でなければならない。また、つや出し剤である蜜ろう、カンデリラワックス、シェラック、カルナウバは500mg/kg以下でなければならない。またビスケットなどのコーティング用のチョコレートは、カカオペーストの含有量が12%以上でなければならない。
ホワイトチョコレート
ホワイトチョコレートは、カカオバター、砂糖、牛乳成分の有無にかかわらず、その他の食品から調製された製品でなければならない。ココアバター以外の乳脂肪または食用植物性脂肪を5%以下で含むことができる。また許可された香料と食品調整剤の含有を認める。レシチンは0.8%以下、モノグリセリドとジグリセリドの割合が0.5%以下、ポリグリセロールポリリシノール酸は0.5%以下で、乳化剤含有量は1.5%以下とする。許可されているつや出し剤としての蜜ろう、カンデリラワックス、シェラック、カルナウバワックスは500mg/kg以下とする。
ミルクチョコレート
ほかの食品の添加の有無に関係なくカカオペーストまたはココアと砂糖、乳固形分、ココアバターと混合することにより調製された製品とする。また乳脂肪2%以上、無脂肪ベースの乳固形分10.5%以上、ココアペースト3%以上を含む必要がある。「リッチフルクリームミルクチョコレート」または「デアリーミルクチョコレート」と表記する場合には、乳脂肪4.5%以上、無脂肪ベースの乳固形分の10.5%以上、ココアペースト3%以上を含む必要がある。許可された香料と 蜜ろう、カンデリラワックス、シェラック、カルナウバワックスなどの調整剤500mg/kg以下の含有を認める。

2. 残留農薬規制

調査時点:2020年7月

マレーシアでは残留農薬(最大許容残留値、使用禁止農薬)について、「1985年食品規則」(Regulation 41ならびにSIXTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
本規則で、菓子については個別の基準値は指定されていませんが、そのような食品に関しては、CODEXが定める基準値に従うものとし、CODEXでも特に定めのない農薬についてはすべて0.01mg/kgの最大許容残留値が適用されます。

3. 重金属および汚染物質(最大残留基準値/禁止)

調査時点:2020年7月

マレーシアで消費されるすべての食品に関する重金属および汚染物質(最大許容残留値)については、「1985年食品規則」(Regulation 38ならびにFOURTEENTH SCHEDULE)において品目ごとに定められています。
菓子に関する重金属(ヒ素、鉛、水銀、カドミウム、アンチモン)の最大残留基準は、それぞれ次の表のとおりです。

菓子に関する重金属の最大残留基準値 (mg/kg)
食品 ヒ素 水銀 カドミウム アンチモン
ココアおよびココア加工品 1 2 0.05 1 1
特に指定がされていないすべての食品
(水および食品添加物を除く)
1 2 0.05 1 1
含有禁止の化学物質
マレーシアではすべての食品に関してβアゴニスト(ラクトパミンを除く)、ニトロフラン、クロラムフェニコールが禁止されています。
食品の成分として使用が禁止される物質
マレーシアで消費されるすべての食品に含有が禁止されている物質については、「1985年食品規則」(Regulation 40ならびにFIFTEENTH A SCHEDULE)において品目ごとに定められています。

4. 食品添加物

調査時点:2020年7月

マレーシアで消費されるすべての食品添加物は、「1985年食品規則」(PART V)に定められています。食品添加物は「食品が有している品質、質感、堅さ、外見、匂い、味、アルカリ度または酸性度に影響を与えるために、もしくは食品の製造、加工、調製、処理、梱包、包装、運搬または保存において、その他の技術的な機能を付与するために、意図的に食品に少量導入される、および、その結果、直接的または間接的に当該物質またはその副産物が食品の一成分となるか、なることが合理的に期待される、あらゆる安全な物質をいい、すべての保存料、着色料、香料、風味増強剤、酸化防止剤、食品調整剤などを含むが、栄養強化剤、偶発的成分あるいは塩は含まれない」と定義されており、これらに関する使用については、次のように定められています(Regulation 19)。

  • 食品添加物として許可されていない物質は食品添加物として使用してはならない。
  • 食品規則で具体的に定められた基準に準拠しない認可食品添加物もまた食品に使用してはならない。
  • 食品添加物の食品への添加は、食品規則で認可が明文化されていない限り禁止する。
  • 食品に使用される食品添加物は、その最大許容値を超えないこと。

添加物としてのポジティブリストや使用許容値は、食品添加物の種類および対象となる食品ごとに細かく数値が定められています(表参照)。

食品添加物の種類別食品規則および付表
添加物の種類 食品規則 付表
保存料 Regulation 20 SIXTH SCHEDULE
抗菌剤 Regulation 20A SIXTH(A)SCHEDULE
着色料 Regulation 21 SEVENTH SCHEDULE
香料 Regulation 22 EIGHTH SCHEDULE
風味増強剤 Regulation 23 NINTH SCHEDULE
酸化防止剤 Regulation 24 TENTH SCHEDULE
食品調整剤 Regulation 25 ELEVENTH SCHEDULE
栄養強化剤 Regulation 26 TWELFTH SCHEDULE
ビフィズス菌 Regulation 26A TWELFTH A SCHEDULE

なお、食品調整剤はさらに次のサブカテゴリーに分類され、基準が整理されています。

  • 乳化剤
  • 消泡剤
  • 安定剤
  • 増粘剤
  • 加工でん粉
  • ゲル化剤
  • pH調整剤
  • 酵素
  • 溶剤
  • 光沢剤
  • 固化防止剤

栄養素が添加されていない甘味物質は、「1985年食品規則」Regulation 133および第17付則(SHEDULE 17)にて規定されています。

5. 食品包装規制(食品容器の品質または基準)

調査時点:2020年7月

食品容器に関しては、「1985年食品規則」(PART VI)に次のように定められています。

  1. 食品包装に使用される梱包材料は、中身の食品に対して有毒、有害なものであってはならず、汚染物質を含まず、食品の劣化を早めるようなものであってはならない。
  2. 容器にセラミック〔カテゴリーA: 磁器、ボーンチャイナ、ファインチャイナ、溶化磁器その他吸水率が0.4%以下のもの、カテゴリーB: 陶器、せっ器(ストーンウェア)〕を使用する場合は、マレーシア規格(MS:Malaysian Standard)の「MS ISO 6486-1 食品と接触するセラミック容器、ガラスセラミック容器およびガラス食器」に従わなければならない。また、セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量には制限がある(次の表を参照)。
セラミック容器に含まれる鉛とカドミウムの最大許容量
種類 単位 カドミウム
平らな容器 mg/dm2 0.8 0.07
深みのある容器(小) mg/l 2.0 0.5
深みのある容器(大) mg/l 1.0 1.0

また、セラミック容器は次の要件を満たさなければなりません(テスト方法はマレーシア規格MS ISO 6486-1を参照)。

セラミック容器の要件
パラメータ カテゴリーA カテゴリーB(陶器) カテゴリーB(せっ器)
吸水率(%) 0.4%以下 3.0%以上7.0%以下 3.0%以下
熱衝撃(℃) 160 160
耐チッピング性(J)
プレート直径>220mm 0.25 該当なし
プレート直径≦220mm 0.18 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口あり)
0.10 該当なし
カップ/マグ/ボウル
(注ぎ口なし)
0.12 該当なし
クレージング すべてのテスト片でクレージングがないこと
  1. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  2. 1キログラムあたり1ミリグラム以上の塩化ビニルモノマーを含んだポリ塩化ビニルを利用した容器は禁止されている。
  3. 非食品用に製造された容器を食品用に使用してはならない。
  4. ナチュラルミネラルウオーターの容器として使用した20リットル以下のポリカーボネート容器を同じ目的で使用することは認められているが、次のa~eのような容器リサイクルは認められていない。
    1. 何らかの用途として使用された袋を砂糖や小麦粉、その他の粉類の容器として使用すること。
    2. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    3. 何らかの用途として使用されたボトルや金属容器(食用脂や食用油用のサイロやタンカーを除く)を食用脂や食用油の容器として使用すること。
    4. 何らかの用途として使用されたプラスチック容器を、食品の容器として使用すること。
    5. アルコール類やシャンディ(飲み物)の容器として使用された容器を、それらを除く食品の容器として使用すること。
  5. 次のa~cのような類似用途のための容器リサイクルも認められていない。
    1. 別の用途として使用されたガラス瓶を牛乳、清涼飲料水あるいはシャンディの容器として使用すること。
    2. 別の用途で使用された箱や木箱を野菜、魚、果物の容器として使用すること。
    3. 別の用途で使用された麻袋を精米の容器として使用すること。
  6. アルコール飲料、シャンディ、野菜、果物のための、次のa、bのような容器のリサイクルは認められる。
    1. アルコール飲料の容器として使用されたガラス瓶を、シャンディの容器として使用すること(あるいはその逆)。
    2. 野菜の容器として使用された箱や木箱を、果物の容器として使用すること(あるいはその逆)。
  7. ある食品の容器として使用されている容器に、それとは別の食品のラベルやマークが表示されていた場合、その容器は以前にそのラベルやマークの食品用途として使用されたものである、と推定する。
  8. 破損した容器の使用は認められていない。
  9. 食品の容器の中に玩具やコイン、その他のものを入れてはならない。ただし、食品の無菌状態など食品の望ましい質を保持するためのものや、食品のラベル、酸素を吸収するための還元鉄粉などの同梱は認められている。
  10. 酸素吸収を目的とした還元鉄粉は、食品に混入し、食品を汚染し、食品の内部に侵入しないよう、小袋に入れ、封をしなければならない。小袋の素材は、次のa~lのうち少なくとも1つ以上を含まなければならない。
    1. 塩化カルシウム
    2. 水酸化カルシウム
    3. 活性炭
    4. 石膏
    5. 酸化鉄
    6. 水酸化マグネシウム
    7. ステアリン酸マグネシウム
    8. パーライト
    9. 滑石
    10. 沸石

6. ラベル表示

調査時点:2020年7月

菓子を含めマレーシアで販売する食品の一般的な表示基準(輸入品、国産品に関係なく)は、「1985年食品規則」(PART IV)に定められています。表示項目、言語、文字の大きさや色、賞味期限表示、栄養成分表示、あるいは表示禁止事項など詳細にわたり、ルールが設定されています。
表示が必要な項目は次のとおりです。

  1. 食品の適切な明示(appropriate designation of the food)、または主成分の一般名を含む食品の説明
  2. 混合食品または配合食品の場合には、食品に応じて内容物が混合または配合されたものであることを示す文言。
  3. 食品が牛肉もしくは豚肉、またはその派生物、またはラードを含む場合には、それらに関する記載。
  4. 食品が添加アルコールを含む場合には、それらに関する記述を、6ポイント以上の大文字かつ太字のサンセリフ書体によって表示。
  5. 食品が、水、食品添加物、および栄養補助剤を除く2種類以上の成分からなる場合には、各成分について、重量に占める割合が多い順に適切な明示を表示し、場合によっては成分の割合も表示しなければならない。また、それらに加えて食品が過敏症を引き起こすことが知られる成分を含む場合には、それらの成分についても当該成分のラベルへの記載が必須となる。(※)
  6. 食品が食用脂肪または食用油またはそれら両方を含む場合には、それらの表示(場合に応じてそれらの脂肪または油が由来する動物または植物の一般名とともに表示)。
  7. 食品が食品添加物を含む場合には、それらの含有に関する記載。
  8. 包装に含まれている最小限の正味重量、容量、数。液状媒体内で包装された食品の場合には、最小限の食品固形量の記載。
  9. 国内で製造または包装された食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所。また、輸入食品の場合には、製造業者もしくは包装業者、または製造権もしくは包装権の所有者、またはこれらのいずれかの代理業者の名称および事業所住所、ならびにマレーシア国内の輸入業者の名称および事業所住所、ならびに当該食品の原産国名。
  10. 特定食品の場合には、1985年食品規則の規制に従ってほかの詳細を表示。

(※)対象物質として過敏症を引き起こすことが知られている特定の食品または成分として次が挙げられる。

  • 小麦、ライ麦、大麦、オート麦を含むグルテンを含有する穀物
  • ピーナッツ、大豆を含むナッツおよびナッツ製品
  • 魚類および魚類製品
  • 乳および乳製品(ラクトースを含む)
  • 卵および卵製品

また、菓子には特定のラベル表示要件があります。

  1. 小麦粉菓子、砂糖菓子、冷菓、氷菓、卓上菓子(ゼリーを含む菓子)のパッケージには、実際に含まれていない場合に「果物」、「卵」、「牛乳」、または同様の意味の単語でラベルを付けてはならない。
  2. 認可された香料によって果物またはその他の天然物質の香りが添加された菓子のパッケージについて、名称が「○○フレーバー」という表現での記載は可能だが、その果物またはその他の天然物質が原材料に含まれていないのであれば、その名称をパッケージに記載してはならない。
    例:原材料に果物の「いちご」が含まれていない商品で、「いちごの香料」を使用している場合、商品パッケージに「いちご」の名称は使用不可。「いちごフレーバー」という記載であれば可能。
  3. 冷菓、氷菓、卓上菓子のパッケージにおける果物の画像、または表現(「フレーバー」という単語と結びついた名称を除く)は、果物またはフルーツジュースが含まれていることを暗示するものであってはならない。ただし、菓子の原材料に果物またはフルーツジュースが5%以上含まれている場合を除く。

輸入食品の場合はマレー語または英語で必要な情報の記載がなされる必要があり、必要に応じてほかの言語を併記するものとしています。その他包装、表示についてのルールの詳細については条文を参照してください。

7. その他

調査時点:2020年7月

食品安全・衛生規制
マレーシアの主要な食品安全・衛生管理行政機関はマレーシア農業・農業関連産業省とマレーシア保健省であり、主に農業・農業関連産業省が生産・一次加工の安全・衛生管理、保健省が輸入・加工食品の安全・衛生管理を担当しています。
輸入食品も含めた食品の取り扱いに関する主要規則は、「1983年食品法(Food Act 1983)」「1985年食品規則(Food Regulations 1985)」「2009年食品衛生規則(Food Hygiene Regulations 2009)」です。